2020年9月3日(木)、チームづくりにまつわる様々な企業様の具体的な事例を共有するTeamwork Sessionをオンラインで開催しました。実際にwevoxを利用されているREADYFOR株式会社の吉川氏をゲストに招き、LT(ライトニングトーク)で具体的な活用&施策事例をお話いただきました。
2017年にwevoxを導入し、停滞期も経験してきた同社。現場のマネージャーに対して、オーナーシップを持った人事がサポートに入ることで徐々に活用サイクルが回ってきました。人事である吉川氏が具体的にどのような取り組みをされてきたか、全文レポートで余すところなくお届けします!
「全員が自分らしく働くことができる会社づくり」の達成度合いを測るためにwevoxを導入
本日はお時間をいただきありがとうございます。日本初・国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を運営するREADYFOR株式会社の人事組織グループ マネージャーをしております吉川と申します。本日はよろしくお願いします。
READYFORがクラウドファンディングのサービスを始めたのは2011年3月29日で、ちょうど東日本大震災の直後でした。日本初のクラウドファンディングサービスとして、中学生から80代の方まで幅広い方々の資金調達をサポートしています。コロナ禍で資金需要が増えたことにより、支援者数は昨年の約3倍となりました。多くの方々がクラウドファンディングを使って資金調達をする、そしてそれを応援・支援する文化が広まってきていることを感じています。組織面ではここ1年で人数が一気に増え、現在100人程度の社員が所属しています。またコロナのような外部環境の変化もあり、多くの方々にクラウドファンディングを活用いただく機会が増えたため積極的に採用を続けています。

まず、我々のwevoxの利用経歴を紹介させてください。READYFORは比較的早い段階でwevoxを使い始めました。導入当時は私もまだ入社していなかったのですが、当時の資料を掘り起こしたので、ちょっと振り返ってみたいと思います。導入期、停滞期、再開期、活用期と大きく4つぐらいのフェーズに分けることができます。
まずは導入期。当時の資料を見てみると、まだ40人ぐらいのスタートアップ期で、「全員が自分らしく働くことができる会社を作る」というミッションを人事が持っていました。ミッションの達成度合いを図る手段として、wevoxの運用がスタートしたと聞いています。当時は、サーベイで取得していたデータの活用や、匿名で集まるフリーコメントへの対処などかなり苦戦したそうです。とは言えサーベイを重ねていくうちに、会社全体のwevoxの意識が浸透していった1年だったのかなと思っています。
その後1年が経ち、導入当初から運用を担当していた人事の方が転職されて、人事不在の1年が始まりました。幸いなことに、現場のマネージャーがすごくやる気があって、スコアの振り返り会やマネジメントに関する意見交換を当初すごくやられていたとのこと。ただ、各マネージャーも自チームの目標達成を実現しなければいけないので、このwevoxの運用継続という観点では非常に難しかったと聞いています。
2019年の10月に私が入社し、wevoxの取り組みをリードすることに。どういうふうに運用していこうか、どうやって持続的で効果的に取り組みにするか、いろいろ試行錯誤を始め、今に至ります。
現場に「第三者の視点」を与える人事としての貢献
昨年10月に私が入社してから現在までやってきた内容についてお話します。wevoxの対象メンバーは全社員で、チームで分けてスコアを測っています。2カ月に1度匿名でサーベイを配信し、それぞれのチームのマネジメント行っているリーダーが結果を閲覧できるルールにしています。

直近、8月17日にスコアを取ったのですが、現状全体のスコアが75点。スコア推移を見ると、ここ1年くらいは安定してきているかなと思っています。
マネージャーへのフィードバックは、前回のサーベイよりスコアが大幅に下がったりなど、目立つ変動があったチームに対して、私のほうからwevoxを切り口に直接話を聞くようにしています。なので、全員のマネージャーが必ず2カ月に1度フィードバックを人事から受ける形ではなく、マネージャーに各自ちゃんとスコアを見てもらって、どういう振り返りをして、どういうアクション取るかは基本お任せするようにしています。統一された施策はないので、取り組み内容は結構チームごとにグラデーションがあります
事例の一つをご参考にお話しします。去年、とあるチームで、承認スコアが下がったことがありました。全社平均からも乖離があったので、マネージャーに直接話を聞いたんです。第三者である私との対話によってマネージャー自身がメンバーとのコミュニケーションの改善案に気づきを得たようで、実際に承認を行う機会を設けることで、スコアが徐々に上がるようになりました。言われたマネージャーが嫌な気持ちにならない程度に思ったことを人事として伝えるというスタンスでやっています。
もう一つ、最近始めたのがマネージャーの座談会。チームに課題があるないに関わらず、3人程度のマネージャーと人事で、サーベイ結果を一緒に振り返る会をやりました。明確なアウトプットを定めずに、思ったことをフリーで言い合う形式をとっています。

チームへの問題意識に対して肌感がある人たち同士が議論するので、それぞれ新たな視点を得ている気がします。いろんな角度からのアドバイスをもらえて、そこから必要なところを持ち帰ってもらうことができていると思います。
コロナ禍でも、「今できること」にフォーカス
カスタムサーベイ機能も使わせてもらっています。これは6月からまだ始めたばかりで今のところ実施は2回。wevoxサイドに提供してもらったサーベイの中から6個に絞って、リモート下におけるメンバー状況を拾うためにやっています。

匿名なので個人へのアプローチはできませんが、チーム単位で課題に対してフィードバックをしています。
これまでいろいろやってきましたが、「wevoxをフル活用できている」と断言できるレベルにはまだまだなれていないと思っています。人事からマネージャーへのフィードバックの流れができたり、回答率が上がったり、あとはトータルスコアが改善してきたりということは、大きな成果ではあるのですが、実際にチーム状態を改善できているのかというと…。正直まだマネージャーにチーム運営の改善をおまかせしているかたちになっています。
また、リモートが長くなってきている中で、今まで無意識にやってきたことができなくなっています。直接会えたらこうするのにと思いつつ、できないことが増えてきている。こんな状況下で、組織を俯瞰する人事という立場で、組織に起こった問題を「まあこんなもんか」と流さず、しっかり一つひとつの課題に向き合っていきたいです。
今後リモートをベースにしながら働いていくことにはなりますが、オフィスで会うのが楽しみになる場を作ったり、オンライン上のコミュニケーションの施策をやってみたり、今できることに今後もトライしていきます。そして一つひとつ効果をwevoxでチェックしていく。その上で次に活かすという、PDCAのサイクルを確立していきたいです。また、その際多くのメンバーを巻き込んでいけたらいいなと思っています。
私からは以上です。ありがとうございました。
当日の質疑応答
最後に、登壇者のLTに対する参加者からの質問とその回答を紹介します。
Q.2人や3人といった少人数のチームのスコアは、1人のメンバーのスコア変動に大きく影響されると思います。変動があったチームのマネージャーに声をかけられているということですが、そういった少人数のチームの場合どのような対応を取られていますか?
吉川:私たちの会社は3,4人のチームが半数以上あるんです。なので、おっしゃる通り変動はよく目にします。そういうチームにも人事としてコミュニケーションはとるのですが、前提をまず揃えるようにしています。「人数が少ないから、1人のスコアに大きな影響を受ける」という前提を伝えた上で、「だから大きく下がったことをそこまで落ち込まなくていい」と。その上で、あえてスコアから離れて話すことが多いです。人数が少ないため、だいたい状態がよくないメンバーはわかります。チーム全体の話というより、そのメンバー個人の状況を聞いて、ケアをしています。
Q.マネージャー同士の座談会は具体的にどのように進められているんですか?
吉川:きっちりアジェンダを組むというよりはフリー形式でやっているというのと、まだ数回しか実施していないので明確な形は存在していないのですが、話の切り口として、会社全体のスコアを最初に見せています。自分のチームとの違いが露骨に出るので、全社スコアという基準を元に各マネージャーから「このスコアはなんで低いんだろう」や「ここもっと上げたいけどどうしたらいいんだろう」という話がどんどん出てきます。また、全社だけでなく、チームごとのスコアも全部出しているので、共通の情報として一回全部オープンにするとそれを元に話をすればいいので、場のコミュニケーションが活性化します。