事業推進の鍵は、組織推進にあり。現場マネージャーが3年間のwevox運用で学んだこと

2020年7月7日(火)、チーム作りにまつわる様々な企業様の具体的な事例を共有するTeamwork Sessionをオンラインで開催しました。実際にwevoxを利用されている株式会社インタースペースの中山氏をゲストに招き、LT(ライトニングトーク)で具体的な活用&施策事例をお話いただきました。

現場マネージャーとして3年間wevoxを活用されてきた中山氏。スコアの捉え方から実際に行なった取り組みまで、当日のお話の内容を全文レポートで余すことなくお届けします! 

組織の力が、競合との差別化になる

インタースペースの中山です。本日はよろしくお願いします。 

弊社は、1999年設立で、現在創業20年ほどとなり、インターネットビジネスにフォーカスし、事業展開を行っています。現在海外にも拠点を広げており、従業員は450名ほどで、その中で私自身は、営業グループのマネージャーを担当しており、メンバーは現在20名程度です。

私が組織推進に注力し始めた背景をお話しします。私は営業部門のマネージャーなので、社内での役割はもちろん継続的な営業実績を組織として作ることです。マネージャーになってちょうど3年ぐらいになるのですが、その前はメンバーとマネージャーの間に位置する管理職、弊社ではリーダーと呼ばれる役職に就いていました。リーダーからマネージャーに昇格したときに、中間管理職ならではのタスクが増えて、何をしていいのかわからない状態でした。 

加えて、社会的な働き方の見直しの動きが出てきたり、世の中の働く価値観の変化を感じているタイミングで、私の組織においては退職者も出ている状況だったので、何から手をつけたらいいかわからなかったんです。結果として、最初はうまくグループをマネジメントすることができず、グループの業績は落ちてしまいました。

このままではいけないと思い、会食や、アトラエさんが運営するyentaを使って、様々な企業の人事責任者や事業責任者、マネージャーの方と組織について話す機会をたくさん設けました。その中で、これはあくまで僕の主観ではあるのですが、戦略推進ができていない各社の要因に、「競合に負けた」「消費者トレンドが変わった」などの外的要因はありながらも、組織内の自滅が増えていることに気付いたんです。 

事業戦略は立てるものの、組織内の退職や、従業員間の不調和、育成不備、マネジメントの迷走などが原因で戦略がうまく遂行できないケースが非常に多いなと思い、私の担当グループも同様の課題がありました。なので、組織と従業員のエンゲージメントをきちんと築くこと、具体的には従業員の社会・組織貢献と自己実現・自己成長を紐づけ、1人1人が継続的にポジティブに働ける環境を作ること自体が、事業戦略を実行する上で、有効な競合差別化になると考えるようになったんです。

wevox項目の従業員から組織への期待を「誰が与えるものなのか」で分ける

インタースペースではwevoxを3年ほど前から活用させてもらっています。活用目的は、組織の現状把握と把握した上での組織改善です。弊社では、月1回のwevoxのアンケート配信を行なっており、全従業員が回答しています。スコアの閲覧は、マネージャーは全社の各事業部、グループの閲覧ができ、リーダーはグループ内のチーム単位や役職・役割単位、メンバーは自分のスコアと所属組織全体の閲覧ができるようになっています。

アンケート回答者である従業員の心理的安全性を担保するという目的で、匿名回答で運用しています。そのためwevoxスコアにおいて、個人の特定はできません。そのスコアは1on1で活用したり、wevoxをもとにした改善アクションや事例は、社内の他マネージャーとの共有を行っています。

私が管轄するグループのスコア推移はこのようになっています。2017年11月にスタートして、一気に落ちまして、そこから安定的なスコアになって、ここ数カ月はまた上がってきているという状況です。

私たちがどういう風にスコアを捉えているか。wevoxの各項目は従業員が働く理由、会社への期待を細分化したものなので、与える側と与えられる側があり、大きく分類すると、社会や顧客からメンバーに与えられるもの・会社からメンバーに与えられるもの・マネージャーなど上司からメンバーに与えられるもの・メンバー同士が与え合うものの4つに分けることができると思っていて、アクションを考える際は「誰が与えるものなのか」の実行主体者を考えるようにしているんです。また、項目によって数値の変動が激しいもの、じわじわと変わっていくものがあるので、それぞれの項目のスコア変動の特徴を考慮しながら、組織の改善状況を把握していく運用をしています。

 というのも、こういった組織作りにおける全体整理と傾向理解をしておかないと、スコアの上下に一喜一憂し、踊らされてしまいます。

 先ほど話した項目の4分類、「誰が与えるか」の実行主体者をマッピングしています。誰が与えるかは、会社規模や戦略、各役職者の役割によって変わってくるのですが、私たちのグループではこのような図になるのです。 

 まとめると、スコアを捉える際に大事にしている考え方はこの5つです。

まず1つ目。各項目には連動性があるという前提の考えを持っています。例えば、支援が増えたら会話が増えて、承認も増えて、人間関係もよくなる。単一項目の改善だけを目的として、その項目のみが上がるということはなかなかないなと思っています。逆に言うと、何かが悪くなると他も連動して悪くなるといったケースもあるのです。

 2つ目。自分が与えられないものもあるので、全ての項目の原因を自責で考えるのは無理があります。自分の役割と責任領域を明確にすることは、連携する人事や管理職のそれぞれの役割を明確にすることでもあるので、組織推進のしやすさに繋がります。

 3つ目。スコアが低い項目が課題でもないし、高スコアを取るのがゴールでもないと今は思っています。というのも、低いスコアの項目を上げて、組織の労働満足度は上げたのに、業績は落ちているというエンゲージメントの築き方を間違った経験があるんです。またキャリアや社歴に応じて、スコアのベース値の高さは違うことを発見しました。それ以降、自分たちがありたい組織に対して、適切に進んでいるかを後付けで確認する組織状態の把握ツールとしてwevoxを捉えるようになりました。

 4つ目。同じ社内の他組織と比較することによって、自組織の特徴を客観的に見ることは、自組織の課題を把握するのに有効です。というのも、同じ社内においては、同じ社風にも関わらず、どういう違いがあるのかがわかり、組織単位の強みと弱みの理解がしやすいので、他グループでうまくいっているアクションを取り入れるなど、アクションの精度があがります。

最後に5点目は、組織推進は今日やったことが明日の改善に繋がることは、ほとんどなく、毎日の積み重ねが「じわじわ」と変化として表れて、カルチャーとして定着していくので目先の成果は求めず、根気強く試行錯誤を繰り返すことを大事にしています。

「どういう組織にしたいか」の理想像をまず考える

 私たちがwevoxを活用し始めて3年弱の期間を「苦戦期」「改善期」「安定期」「成長期」の4つのフェーズに分けることができます。ここからは、それぞれのフェーズで私たちが何をやってきたか、説明していきたいと思います。

「安定期」の一時的な山を「成長期」と捉えないのは、ここは新卒がグループに複数人配属されたタイミングだからです。会社への期待値が高い新卒が入ると一時的にスコアが上がりやすくなるという全体傾向があると感じていています。

苦戦期は、導入したての時期にいきなり来ました。最初のwevoxアンケート結果が開示されて、自分のグループの状態を定量的に初めて見たときに、人事から「組織改善するためのアクションプランを出してください」と言われたのです。その時に、スコアが一番低いという理由で、「健康」の項目をグループ課題と定義したんですね。上司からの支援や承認、上司との関係は、直属の上司の私からすると触れづらかったので、一番みんながとっつきやすいであろう「健康」の項目を安直に課題定義してしまっていました。

しかし、1on1を通じて「健康」の課題の蓋を開けるといろんな課題が凝縮されていました。上司との関係も駄目で、業務量も多く、他部署との連携には不満があり、戦略にそもそも納得していなくて、周囲からの支援や承認もないなど、たくさんの課題がメンバーから出てきて、結果として疲労や心労に繋がっていたのです。私は、何からやっていいか全くわからなくなってしまい、ヒアリングしたのに、何も解決できず、メンバーからの信頼を失い全部が悪くなるという最悪の事態に。それがずっと右肩下がりだったときの状況です。

今思えば、組織の課題定義が入口ではなくて、まずどのような組織にしたいかという共通目標や理想を立てることが入口です。それがあって初めて、グループの状況や実態把握に意味があり、建設的な改善方法の議論ができます。課題から入ってしまうと、課題はいくつかの原因の集合体なので、芋づる式で出てくる課題の連鎖から抜けれなくなってしまう、課題を更にこじらせてしまう経験をしました。

続いて改善期。先ほどの苦戦期のところで話した、「どういう組織にしたいか」の組織の理想像の議論を重ねました。私たちは営業組織なので、予算達成への承認は大事にしたいという想いが管理職メンバーから強くあがったのです。そのため「数字コミットのカルチャーを強くし、達成しているメンバーを承認、賞賛していこう」という、今思うと安直でごりごりベンチャーすぎて粗いんですけど(笑)、承認の中でもプロセスではなく結果を大事にするという方針を決めました。

その結果、メンバーの予算達成意欲は上がりましたね。ただ、結果承認だけ大事にすると、その弊害として、新しいチャレンジをしていて、すぐ結果がでるわけではない領域にチャレンジしているメンバーが無下にされたり、未達メンバーがモチベーションを保ちづらいようなことが起こってしまいました。しかし、各管理職がメンバーと1on1を重ねていくうちに、結果を出すためのプロセスに対して支援する動きが出てきて、意図せず結果に繋がるプロセスや発言を承認する支援が増え、関連項目のスコアも上がってきました。

人間関係ありきの組織への切り替え

苦戦期、改善期と来て、次は安定期。安定期では、スコアを細分化して見るようにしていました。具体的には、グループ内のチームごとにwevoxスコアをグルーピングし、各チームリーダーにスコアの閲覧権限を与え、組織推進を行うようにしていたんです。

この時期は、「支援」と「人間関係」と「承認」の3点は、チームに関わらず大事にするというグループ方針を決めた上で、運用していきました。

なぜこれらを大事にしたかというと、事業戦略を推進するための報連相しやすいフランクな雰囲気や、周囲を自然に支援、承認できる環境を作るためには、まずメンバー間の不要なコミュニケーションハードルを取り除いた且つ、成果にベクトルが向いた良い人間関係が必要だと考えたためです。

この考えをもとに、私たちは戦略ありきの組織ではなくて、成果にベクトルが向いた相互支援ができる人間関係ありきの戦略を作っていくことにしました。その結果として、メンバーとの1on1や日常会話の量が増え、新しいことにチャレンジするメンバーも増え、戦略に紐づく個人の役割の幅も広がったのです。マネージャーである私自身の役割も、これまでの事業戦略を立案し、その推進のためにメンバーを巻き込んでいくというものから、各個人の意向を取り入れ、戦略との整合性をとり事業推進するという形に変わっていきました。

最後は成長期。メンバーとグループの適切なエンゲージメントが築けていると感じていたものの、マネージャーが与えることができないことがあって、例えば会社環境の整備や理念への納得感の醸成とった動きは経営層からのアプローチがないとスコアが上がらないとは思っていたのですが、経営と従業員の間にいるマネージャーの職務怠慢もあると思うようになりました。なので、メンバーが自グループだけじゃなく会社との繋がりに意識を向けられるように、一歩踏み込むことにしたのです。

変えたこととしては、毎月のグループミーティング。前月振り返りをもとに戦略の進捗を共有する営業進捗のミーティングなのですが、その際に会社のミッション・事業部とグループのミッション・個人のチャレンジを紐づけて、個人の飛躍がグループと事業部の戦略推進になり、会社全体の推進に繋がり、社会貢献していることを繰り返しアウトプットするようにしたんです。

結果として、会社のビジョン、ミッションへの共感や、会社方針・事業方針への納得感などのwevox項目のスコアが上がりました。マネージャーとしてできる範囲が広がり、僕自身としても成長に繋がった期間でもあります。

以上が私たちのグループが実践してきたことです。3年間積み重ねたwevoxの運用を通じ、明らかにグループは成果を出す組織として成長しており、僕個人としても成長実感があります。

 最後に、僕が学んだことをお伝えします。

1つ目は、組織推進のポジティブの積み重ねはじわじわ組織に浸透していきます。ただ、ネガティブは周囲への感染力があり組織衰退は一瞬です。なので、課題の早期発見と、改善の試行錯誤を積み重ねることが重要です。

2つ目は、wevoxを始めてわかったのが、組織状態いわゆるエンゲージメントに影響を与える要素はとても多いということ。一概に「これが原因」と組織課題を特定できることは少ないので、組織推進における共通言語や共通優先度、定量基準を持つことは重要です。wevoxの項目は組織内での会話の際に共通言語として使えるのでありがたく、曖昧なモチベーションという表現を使うことが減りました。従業員のモチベーションはいろいろな要素が重なって成り立っていて、要素の重要度は人それぞれで、時期変動もあります。

3つ目は、組織推進は事業戦略とは全然違って、何を言うかよりも誰が言うかがすごく大事だと学びました。メンバーの理解と納得は別物で、納得と行動も別物です。信頼関係構築のための、日々のメンバーとのコミュニケーションの積み重ねは重要です。

4つ目は、組織の理想像を予め立てることは大事ですが、日々の試行錯誤の積み重ねで理想像はブラッシュアップされ変化し続けるものだと思います。より良い理想像と、その実現方法を前向きに探し試し続けることが重要です。

最後の5つ目は、エンゲージメント向上と一括りで言っても、中身は複合的な要素で成り立っており、自分がどの領域の改善を進めるかは役割次第です。一方でより良い組織作りのために、役割外の領域を他責にせず、コミュニケーションをとって連携を深めると組織推進は効率的に進むと思います。 

以上が僕の3年間のアウトプットです。ご清聴ありがとうございました。


当日の質疑応答

最後に、登壇者のLTに対する質問とその回答を紹介していきます。 

Q:マネージャーとリーダーで施策を考案する場があると思うのですが、どういう会議体を取られていて、どういう話の流れでアクションを決められているのか具体的に教えてください。

 中山:毎月のwevoxアンケート結果をもとに、リーダーと改善アクションを話し合う場を設けていました。組織状態が良くなかった時は、試行錯誤していたので毎月MTGを行っていましたが、組織状態が良い形で安定しだすと、共通認識もでき、新しい改善アクションを実施するというより、うまくいっていることを継続することの方が増えていくので、MTGの数含めた組織推進のための時間は減っていきました。話し合いの中身はwevoxのスコアを見ながら、それぞれがざっくばらんに自分の意見を言うことによってリーダーとマネージャーで共通認識を持つことと、共通認識をもった上で優先度、重要度に沿って改善アクションを出すことを行っています。  

Q:「どういう組織にするか」という理想を立てることが重要という話が出てきたと思うのですが、中山さんのグループではその理想をどのように決めているのですか?

 中山:事業推進に必要な組織の理想像と、各メンバーが働きたい組織の理想像を踏まえて、まずマネージャーである私が「こういう組織にしたい」という自分の軸を作って、リーダーと議論をしています。議論にはポストイットを活用して、グループのミッションを作り直すという名目のもと各々に意見を出す場も設けました。

 なぜこのような決め方をしているかというと、メンバーの意見を取り入れることは大事ですが、取り入れ方を間違えると、理想の働き方の追及になって、会社内での役割の事業推進と矛盾することがあるんですね。なので、事業推進と組織満足度、言い変えるとエンゲージメントなのかもしれませんが、そのバランスをとって決める必要があるため、まず自分の軸を持ちながら、メンバーの意向を取り入れていくという形をとりました。

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