INTERVIEWEE

株式会社スタディプラス Studyplus企画部部長 島田豊氏

ライター、編集者を経てKLab株式会社に広報として入社。新規事業の立ち上げ責任者を務めた後、マーケティング部を立ち上げて部長に就任。その後、株式会社DonutsにてWebメディアの事業責任者として、既存メディアの運営と新規メディアの立ち上げを行う。スタディプラス株式会社では企画部長としてサービスの運営・改善に従事。

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「DIO PLAN」。今回お話を伺ったのは、スタディプラス株式会社の島田豊さんです。学習管理SNS「Studyplus」の企画部リーダーと経営メンバーを兼任する島田さん。組織再編のタイミングで起こった経営陣とメンバーの乖離を、自らの兼任という立場をうまく活用し見事に解決しました。メンバーの意識を変革し、チームを「売り上げを作ることができる企画部」へと変えてきた島田さんに、コミュニケーションのコツやリーダーとしてのポリシーなどをお聞きしました。

 組織再編によって変わった『会社からのメッセージング』

-まずは、島田さんがリーダーを務める企画部について教えてください。企画部のミッションはどのようなものなのでしょうか。

弊社の主幹事業である学習記録サービス「Studyplus」は3つの部門で構成されます。私がリーダーを務める企画部と、実務面を担当する開発部、そしてマネタイズを担当する広告事業部の3つです。企画部は、「より多くのユーザーに、より高い満足度を持ってもらう」ことをミッションに日々業務を行っていて、ユーザー満足度や定着度をKPIとしています。

 -企画部の具体的な業務内容を教えてください。

プロダクトを進めていくうえでのマネジメントや新規ユーザー獲得のマーケティング、そしてデザイン業務も行っています。感覚としては、全体の調整役といったところで、人数は私を含めて4人です。

 -島田さんが企画部チームのリーダーに就かれた背景を教えてください。

私は、経歴で言うと、ライター、編集者としてメディア関連の仕事に携わることからスタートしています。その後、広報職やマーケティング職などを経験し、新規メディアの立ち上げや運営を行う事業の責任者も務めていました。そうした経験を携えて、昨年4月にスタディプラスに入社。最初はStudyplusのアプリの記事コンテンツを立ち上げる予定でしたが、入れ替わりで前任の企画部のリーダーが退職したんです。これまでの色々な職種、役割に就いていた経験を活かし、昨年の7月に私がリーダーを務める運びとなりました。

 -wevoxの導入背景を教えてください。

私が入社してちょうど1年後、今年の4月に会社全体で、それまで使っていた組織サーベイから移行する形で導入をスタートしました。それまでのサーベイを使いこなせておらず、どうしたものかと考えていたんです。wevoxは的確な質問内容や、直感的な操作性、画面の見やすさが導入の決め手でしたね。

 -ありがとうございます。導入当時の企画部チームはどのような状態だったんですか?

会社全体の組織構成が変わったタイミングでした。先ほどお話した、企画部と開発部と広告部がきっちり3つに分かれたのもこのタイミングで、3つの部の上に事業本部を置く本部制に移行しました。スタディプラスの売上をもっと伸ばさなければならないという課題感が会社として強かったんです。同じタイミングで、売り上げに対して強い意識を持つ方向性にメッセージも変わりました。ですが、これに違和感を覚えるメンバーが多かった。

それまでの企画部は、ユーザーのエンゲージメントや満足度にフォーカスしていました。志向性としても「学ぶ喜びをすべての人に」という会社としてのミッションへの共感が強く、サービスへの愛が深かった。売り上げの数字を追うことを重要だと理解しつつも、ユーザーファーストで社会を変えていきたいという想いを持つメンバーが多くいたためです。

 

コミュニケーションだけでは組織は変わらない

-なるほど。当時の現場の雰囲気はどのようなものだったんですか?

 売上重視のメッセージを発信したのが今年のGWに入る前でした。嫌な予感はしていたのですが、GW後のサーベイで出たエンゲージメントスコアは、今までで一番低い結果に。なんとなく組織の状態が良くないことは分かっていましたが、実際に数値として出たことで、何かしらの組織施策を打つ必要があると強く感じました。

-そのタイミングから、しばらくしてスコアは右肩上がりになっています。どのような施策を行ったんですか?

すぐに着手したのは、より深いコミュニケーションをメンバーと取ることです。それまでも1on1は行っていたんですが、感覚に頼っていたせいか深いコミュニケーションを取れていませんでした。しかし、wevoxがあることで、「この項目のスコアが低い要因って、やっぱり○○なの?」といった、一歩踏み込んだコミュニケーションが取れるようになったのです。

こうした深いコミュニケーションで、メンバーが何に不満を持っているか把握したうえで、次に経営陣の考えやリーダーとしての私の考えを伝えました。「売り上げを重視していくけど、これまで通りユーザーを大切にすることは変わらない」といったことを一人ひとりに話したのです。 

その1on1の後は、「メンバーに納得感を持ってもらえたし、スコアも改善されるだろう」と思っていたのですが……次のサーベイでもスコアは上がりませんでした。wevoxを開いてスコアが目に入ったとき、「やばい!」と思いましたね。コミュニケーションだけは今の組織状態を改善することは難しいとようやく気づくことができました。今考えると、これが転機になりました。 

 

チームにそれまで持っていなかった新しい意識を持たせる

-転機……ですか? 新たにどういった取り組みをされたのでしょうか。

まずはチーム全体に、「これはマネジメント課題じゃなくて、チームの課題」という私の考えを伝えました。リーダーである私1人だけではなく、課題解決の主体をチーム全体に変更したんです。

具体的なアクションとしては、スコアをチーム全員で見るようにしました。そして、スコアを見ながらチーム全員でディスカッションをしたのです。特に、課題の根本にある、自分たちでも理解していなかった悩みまで深堀りするようなコミュニケーションを全員で行いました。 

こうしたディスカッションは月1回、2時間ほどかけて定期的に開催するようにしました。当初は予定時間をオーバーし、3時間以上議論していましたね(笑)。最初の話し合いではアクションを出すことすらできず、課題を認識し合うだけで終わっていました。しかし、ディスカッションを続けていくうちに「課題解決に向かってチームで動いている」という認識を全員が持てるようになったと感じています。まだ改善の途中ですが、チームとしてのまとまりをメンバーが実感できていることに大きな価値があると思っています。

-サーベイ結果をオープンにし、ディスカッションを始めたことからスコアが上がっていったんですね。メンバー全員の話し合いからどのようなアイデアが出てきていますか?

これまでの企画部では出てこなかっただろう、素晴らしいアイデアが生まれていますよ。

先ほど調整役と表現した通り、企画部というチームは直接的な売り上げを作っていません。マネタイズは広告モデルをとっていて、直接的な売り上げには繋がらないユーザーのサポートが私たちのミッションです。ですので、「売り上げを伸ばしていく」という方針に直接寄与しづらい役割の企画部のリーダーとして、モヤモヤ感は持っていました。メンバーに正直にこの想いを話すと、みんなも私と全く同じモヤモヤを抱えていたんです。

こうした課題感について全員で話し合った結果、「企画部も事業を動かす一員であるという考えを強く持ってもいいんじゃないか」と意思の統一ができ、事業開発のミーティングをすることにしたんです。

具体的には、事業の問題点やリソースが最適配分されているかといったテーマで、企画部だけでミーティングを行いました。それぞれ事業計画の本などを読んでインプットしながら、「こういうマネタイズ方法もあるのではないか」「こういうことをしたら売り上げも上がるし、ユーザーの満足度も上がるのではないか」ということを徹底的に話し合ったんです。

話し合いを重ねていく中で、自分たちの業務範囲を超えることはせず、これまでと同じ領域を担当するという前提で、売り上げに寄与するアイデアが生まれ、実施も決まりました。今期中にリリースを出す予定なので、詳細はお楽しみに(笑)。

-すごい!実際にアイデアが生まれて、実施まで決定したんですね。

そうなんです。組織の状態も、事業の立ち上げを始めてから好転してきました。「自分たちとは関係ないのかな」とモヤモヤ感を抱いていたものに対し、実際にアクションを考えて実行することで解消していったのです。中長期の見通しもこれまでよりもクリアになって、ボトムアップで戦略に寄与できるっていう経験が得られたのはチームにとって大きかったですね。メンバーの当事者意識も強くなりました。 

自分主体のアクションと、本音で話すことの重要性

-施策を考え、実行していくうえで、意識したことや心がけたことはありますか?

スコアを見て、改善点を考えて、アクションを実行する、こういった一般的なフローを我々も踏襲しています。この中で、特に重要視しているのが、アクションを考えて実行する際に、「主体者は自分たちなんだ」と常に意識すること。そのためにも、自分ごと化できるアクションになっているかどうか、も大切にしています。 

他部署との関係性や経営に対する不満といった「自分たち以外」が関係してくる課題も多いと思います。そういったときでも「なんとかして!」と言うのではなく、自分たちが主体となって変えていけるアクションを考えるのが大切です。

例えば、「部署間の情報共有が弱い」という課題があったとします。それに対する解決として「よそになんとかしてもらう」「他部署と一緒に仕組みを作る」といったアクションではなく、「自分たちが情報をまとめてSlackで共有する」といったチーム内で完遂できるアクションにしていくのです。すると、効果が出なかったとき、自分たちだけでアクションを改善できるんです。

そうして、アクションの改善をどんどん進めていくことで、課題を解決できる可能性は上がっていきます。そうではなく、アクションを自分たち以外に頼る形にしてしまうと、「あそこがうまくやってくれない」という不満が出てきてしまい、社内関係を悪くしてしまう恐れがあります。チーム全員が「どんな問題も自分たちと繋がっている」という意識を持つことが重要ですね。

-なるほど。当事者意識は大切ですよね。他には意識されていることはありますか? 

話し合いの場で、絶対に忖度をさせないことは意識していますね。私は企画部のリーダーであると同時に経営メンバーなので、こちらから何も歩み寄らず話し合いをしてしまうと、メンバーに言い出しづらさを感じさせてしまいます。そういうときは、私から口火を切って、みんなが言いづらそうな経営サイドへの不満を包み隠さず言いますね。 

そうすると、メンバーも「言っていいんだ」と思い、どんどん意見を言ってくれるんです。最初の発言が本音ベースじゃないと、課題解決のアクションもずれてきてしまうので、自分の本音を言ってから、相手の本音を引き出すことは常に意識していますね。

関わる人全員が事業を進めていく感覚を持つ

-リーダーの心がけとして大事なことですね。wevoxを使い始めて起こった一番大きなチームの変化は何ですか?

これまでも業務に対する改善はもちろんやってきました。生じている問題の解決をするためにユーザーインタビューをしようといった声もよく挙がっており、サービスの本質的な課題を特定し、それに対してアクションを取るといったことは常日頃メンバーもよく行っていました。

しかし、それが組織となると、誰もやってきていなかった。「組織に関する課題解決はマネージャーの仕事」という考えが強く、またメンバーも言い出しづらかったんだと思います。wevox を使うことで、今のチーム状態が項目ごとのスコアという形で分かって、課題について話す場が生まれる。そして、解決アクションを話し合うことで、「組織の課題解決はみんなでするものだ」という今までとは真逆の考えを全員が持てるようになりました。チームへの当事者意識が全体で底上げされたと感じます。

-ありがとうございます。最後に今後の島田さんの展望について教えてください。

私は「ボトムアップとトップダウンが融合する組織」を理想にしています。大枠の戦略は経営陣で決めて、具体的なアクションは現場が決める。全体はトップダウンで、日常的局面ではボトムアップといったイメージです。もちろん、戦略に対するボトムからの提案は常にウェルカムです。ボトムアップが強すぎると、自分の意見が通らなかったらモチベーションが下がるといった自己主義なメンバーが増えてしまいますし、トップダウンが強すぎると業務がやらされ仕事になってしまいます。

関わる人全員が事業を進めていく感覚を持てる理想の組織を、Studyplusの企画部、そして会社全体で実現していきたいです。徐々に近づいていってる感覚はあるんですが、まだまだ足りません。これからも引き続き、理想の実現に向けて組織を成長させていきたいですね。

ABOUT COMPANY企業情報

スタディプラス株式会社

主な事業: 学習記録サービス「Studyplus」、教育機関向け学習管理サービス「Studyplus for School」
設立年月日: 2010年5月

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