7月5日(金)、ヒカリエで行われた世界最大規模のチームカンファレンス「PxTX」。業界を越境し、豪華ゲストたちが多様な視点で「これからのチーム」を語り合ったこのイベントでは、数々の記憶に残るセッションが行われました。貴重なセッションをもっと多くの人に届けるべく、今回特別にDIO編集部がセッションの内容を“ほぼ”完全レポートしちゃいます!第3弾は、成長を続ける企業内で、組織づくりに注力する4人による「パフォーマンス」をテーマにしたディスカッションです。ハイパフォーマーの生み出し方、組織としてのまとめ方、そしてこれからのリーダーに求められることなど、現場目線での実践的な知見が散りばめられたセッションになっています。「チームのパフォーマンスが上がらない…」と悩んでいる人は必読のレポートをどうぞ!

SPEAKER

西澤 恭介氏

(Sansan株式会社 執行役員/Sansan事業部 事業企画部部長兼セールスディベロップメント部部長)

大学卒業後、専門商社や全国チェーン系の小売店を経て、株式会社リクルートキャリアへ入社。営業や営業マネジャーを経験し、グローバル事業を手掛ける部門に異動。インドネシアで拠点の立ち上げ、シンガポールで事業の立て直しを行い、中国では買収先企業の社長として経営を指揮。帰国後は、同社でアライアンスや事業開発部門の責任者を務め、2018年にSansan株式会社へ入社。現在は、グローバル戦略統括部に所属しながら、Sansan事業部で事業企画部部長・セールスディベロップメント部部長として、事業戦略の立案や組織力強化などに尽力する。

 

伊藤 靖氏

(株式会社セールスフォース・ドットコム執行役員 セールスディベロップメント本部 本部長)

ハードウェアIT企業のインサイドセールスマネージャー、営業企画、アカウント営業を経て2008年Salesforce.comに入社。以後10年間インサイドセールスの職務に従事。2010年より新規開拓型のチームを作り、大手企業への案件創出を強化。現在は若手営業育成組織(インサイドセールス部門)にてマネジメントを行う。

 

大堀 海氏

(株式会社PR Table代表取締役)

都内の有名カフェを運営するベンチャー企業で営業、広報を担当。2012年からPRコンサルティングを行う会社を創業し、大手企業のPR施策の立案・実施(2016年に同社を売却)。2014年12月には、兄の大堀航と株式会社PR Tableを共同創業し、現在に至る。

 

平田 智丈氏

(Gallup Japan K.K. Business Development Representative)

米国ギャラップ社の新規事業の日本市場導入に1人目のメンバーとして参画し、市場開拓、オフィス開設、日本法人設立を経験。フリーランスの経営コンサルタントとして10年のキャリアがあり、統計的な素養を活かしたデータ分析に基づいた戦略立案やKPI策定に強みを持つ。これまでの主な顧客は世界最大級EC、世界的宅配飲食チェーン、金融業界(外資&日系)など。

匂いがムンムンするチームは人を惹きつける?

西澤:このセッションでは、「ハイパフォーマーの再現性」をテーマに、それぞれの会社の中でどのような取り組みをしているのか、ディスカッションをしていきます。

まずは自己紹介から。私はSansanという会社で事業企画部とセールスディベロップメント部の部長、インサイドセールスの責任者を務めています。前職は人材会社のリクルートキャリアで、13年間色々な仕事をしていました。昨年の2018年に、Sansanにジョインしています。事業企画部の中にセールス・イネーブルメントグループがありまして、営業の生産性を上げる役割も担っています。

大堀:PR Table代表の大堀海です。我々の会社は、様々な事業会社の広報、PR活動をメイン事業としており、30 名程度のメンバーでやっています。まだ少人数ではなりますが、組織づくりにおいては、小さな成功を積み重ねてきた中でちょっとした仮説が見えてきたところです。今日は他のみなさんが、組織づくりを突き詰めている方々ばかりですので、私自身も勉強していきたいと思います。よろしくお願いします。

伊藤:セールスフォース・ドットコムのインサイドセールスの責任者を務めている伊藤靖です。11 年前に入社したときは数名の部門だったのですが、今では数百名までに拡大しました。その過程の中で、多くの失敗も経験してきています。その失敗をどう乗り越えてきたかも含めて、今日はできるだけ詳細をお話ししていきます。

平田:ギャラップの平田智丈です。ギャラップは、才能診断ツール「ストレングスファインダー®」の開発元の企業、と言えば分かりやすいでしょうか。大きな事業としては2つあって、一つはマクロ視点で世の中の人たちが何を考えているか分析をする世界規模での世論調査事業、もう一つは組織やチームのパフォーマンスを感情面にフォーカスして向上させる経営コンサルティング事業で、私は後者の一環で新規事業を担当しています。個人的なキャリアで言えば、経営コンサルティングを中心にしてきました。

西澤:さっそくですが、まずは「パフォーマンスが上がるチームの特徴とは何か」をテーマに話を進めていきます。大堀さんから、お願いします。

大堀:ハイパフォーマーが揃っているチームの特徴は、「外から見たときにそのチームの特徴が掴みやすい組織かどうか」だと考えています。「あのチームらしい意思決定だよね」など、第三者が見たときに分かりやすい特徴がある。そうしたチームは強い求心力を持つのでは、と考えています。

西澤:特徴がハッキリしていると、人々を惹きつけるということでしょうか?

大堀:我々は会社の情報発信を手助けしています。その中で、個々の会社のカルチャーをブレイクダウンしたときに、会社の体臭がムンムンと匂っている方が、情報発信しやすく、周りから見たときに分かりやすい。そうした会社は、マッチしない人を寄せ付けない、という側面もあるのだと思います。

西澤:匂い、とは面白い表現です。伊藤さん、匂いという捉え方はしたことありますか?

伊藤:匂いは考えたことはないですね(笑)。セールスフォース・ドットコムでは、心理的安全性が高くて、失敗を咎められず、チャレンジしやすい環境があるチームがハイパフォーマンスを発揮すると捉えています。そうしたチームを実現するためにも、チームリーダーとメンバーのエンゲージメントの高さ、どれだけ一体感を持って仕事に向き合えているかが重要だと考えています。

セールスフォース・ドットコムには、「Ohana」という従業員やお客様を含めて家族として共に歩むカルチャーがあります。こうしたカルチャーを通して、心理的安全性やエンゲージメントを高めるように努めています。

西澤:心理的安全性を高めるにはどうすればいいのか、もう少し具体的にお聞きしたいです。

伊藤:チームの最小単位は人です。個々人で考えていること、モチベーションの源泉は違いますし、やり遂げたいことも違います。そうした考えをしっかりと1on1などのMTGで把握して、その人の能力を引き出す取り組みを、チームリーダーが実践することが重要です。そうした取り組みを重ねることで、結果的にエンゲージメントが高まり、色々なアクションがチーム内で起き易い環境を作っています。

 

セールスフォース・ドットコム流ハイパフォーマーの生み出し方

西澤:個のハイパフォーマンスをいかに引き出し、それを組織の強さに結びつけていくか、という視点は重要ですよね。そのベースには、心理的安全性が必要です。平田さんは色々な研究をしている中で、どう考えていますか?

平田:私は自社内の取り組みではなく、長年の研究に基づいてお話ししますね。

パフォーマンスが高いチームには、4つの特徴があると言われています。その1つが「基本的なニーズ」です。ゴールとなる山がどこなのか、その山を登るためにどういう道具が必要かをメンバー全員が理解している状態を指します。伊藤さんが言っていた心理的安全性も、「基本的なニーズ」が満たされている必要があると思います。

西澤:なるほど。基本的なニーズをメンバー間で共有するためには、どのような工夫が必要になのでしょうか。伊藤さん、いかがでしょう?

伊藤:私の部門では組織のビジョンを重視していて、組織にいる間に高めてほしい能力を個々人で定めて、トレーニングを用意しています。実は組織がまだ小規模であったときは、今ほどビジョンを重要視出来ていませんでした。その結果、組織内でエンゲージメントを高めることができずに、中には良い関係を築けない人も生み出してしまいました。その反省から、現在はかなり突き詰めてビジョンを作っています。

セールスフォース・ドットコムには「V2MOM」という考え方があり、創業当時より、全社で非常に重視しています。平田さんがお話されたように、まさに我々が目指している山はどこにあるのか、メンバー全員に社長からカスケードダウンし共有していきます。こうした会社としてのビジョンに基づきながら、自部門のビジョンを考えています。

 

これが、私達の部門のビジョン「Insight Sales」です。私達の部門の役割はインサイドセールスですが、あくまでも営業職です。お客様の立場になって考えることをインサイトと考え、“Insight Sales”を目指していくことをビジョンにしました。

 

さらに、そのために必要な能力を6つの能力「Six Sence」として定めています。これらの能力を伸ばしていくことを、自部門のメンバーには求めています。能力向上のために、「Insight Sales University」という部門内大学制度も設けることで、ただ求めるだけでなく、学びの場も提供しています。このような仕組みで、メンバーとコミュニケーションを取っています。

西澤:多くの人がすごいと思いつつも、「ここまでできないよ」と感じたかもしれません(笑)。こうした体制ができあがるまでに、どのようなステップがあったのでしょうか?

伊藤:これらのシートだけを見ると、体系化されていると感じるかもしれません。ただ、こうした体制が固まったのは昨年3月と最近の話です。背景にある課題感として、トレーニングが直属のマネージャーに依存していたことがありました。どのマネージャーに教わるかで、能力向上の進度が大きく変わってしまっていたのです。学びの公平性を担保するために、求める能力や部門内大学などを作っていきました。

西澤:なるほど。平田さんは、トレーニングについてどう思いますか?

平田:何をトレーニングするか、どういう道具を持たせるかを把握するためには対話が必要です。人によってはナレッジやスキル、トレーニングかもしれないですし、ただ単にPCのパフォーマンスが低下している、オフィスが寒いといった問題かもしれない。何が足りないのかを、上司と部下がしっかりと話し合うことが大切になってきます。その人に何を提供すればドライブするのか、明確にするといいでしょう。

 

刺激的でも、拠り所はオープンにすること

西澤:何を相手が必要としているかを明確にすることが重要だということですね。とはいえ、頭では分かっていてもうまくいかないという人も多いと思います。大堀さんは、何か失敗談の中から得られる知見などはありますか?

大堀:我々はまだ30人程度なので、トレーニングについてはさほど体系立ててはいません。ただ、立ち返るための拠り所となる考えはシンプルにまとめてあります。

 

会社の性格・考え方を好き、嫌いという二軸でシート1枚でまとめています。使っている言葉は、割と刺激的ですね。このようにハッキリと明文化することで、組織の純度を高めていかないと、ここから先のスムーズな組織拡大が難しいのかな、と思っています。

実はこの考え、創業時はオープンにしていませんでした。今振り返れば、それが失敗だったな、と考えています。オープンにすると、採用でネックになるのではないか、組織の成長を阻害するのではないか、など色々な懸念があったのです。

しかし、徐々に拠り所が違うメンバーが増えきてしまって、組織に違和感が出始めました。個々人の行動に統一感がなかったり、同じ目標に向かえていない状況が起こったりとネガティブな空気が生まれ始めました。そうした組織課題を解消するために、多少刺激的であっても我々が大切にしているもの、必要ないものをオープンにしたのです。

この考えを浸透させるための特別な仕組みは、まだありません。ただ、日々のコミュニケーションやチャットツールで流れる指示などを見ながら「これは許される、これは良くない」といった拠り所が徐々にメンバー内に浸透していき、今は組織が変わっていったと感じます。

西澤:これは、いつ作られたんですか?

大堀:昨年末ぐらいに作りました。今は採用時にも提示しています。中には、「え…」と思う人もいるでしょうが、それでもオープンにした方がいいと考えています。

西澤:それこそ、組織としての匂いをこうしたツールでハッキリさせようということですね。

大堀:そうですね。もっと組織がスケールしたら浸透させるフレームを構築しないといけないんだろうな、と考えています。だから、先ほどのセールスフォースさんの資料を見て、「うぉぉ」と思いました(笑)。

平田:少し補足しますね。先ほど言ったハイパフォーマンスな組織の4つの定義の続きを説明します。1つ目が「基本的なニーズ」でしたね。2つ目が「貢献実感」、3つ目が「組織への帰属意識」、4つ目が「チームメンバーが成長実感を持てる」。この4つがハイパフォーマンスな組織の定義です。まさに、大堀さんの取り組みはこの3つ目の組織への帰属意識にヒットします。

会社の成長ステージによって、どの定義を優先するかはまちまちですが、基本的には1つ目から順番に固めていくのがいいとされています。

スタートアップは4つ目の成長実感に関する取り組みはできているけど、基本的なニーズが満たされていないパターンが多い傾向にあります。そのケースだと、一時的にはハイパフォーマンスを発揮するのですが、一定期間以上経つと、バーンアウトしていきます。大企業ですでにできあがっている組織だと、ベーシックなニーズは満たされているけど、成長実感が湧かずに辞めていくケースが多い。会社によって色々な傾向があるのは、面白いですよね。

 

組織の成長をドライブする多様性のあり方

西澤:大企業という言葉が出ましたが、伊藤さんどうでしょうか(笑)?

伊藤:成長実感の視点で振り返ると、過去に組織としてすごく苦しいときがあったことを思い出します。私達はお客様との接点を強固にするために、「THE MODEL」というマーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセス、の4部問が緊密に連携し、全体利益を高める体制を構築しています。

とはいうものの全体利益よりも部門利益を優先してしまう場合もあります。まさに、6〜7年前に私達も各部門が自分たちの部門の利益を優先する動きをしてしまったことがあり、最終的に全体利益を出すことができなかった苦い経験をしています。部門の利益だけを追っていては、信頼は生まれません。信頼が感じられなければ帰属意識の低下、そして働きがいの低下にも繋がります。その時も実際に何人かのメンバーの士気が下がってしまいました。

そのときの経験がきっかけとなり、会社全体の目標の設定と、組織における成長実感が重要だと考え、先ほどのトレーニング体制の構築に繋がったのです。

西澤:組織の成長を考えたとき、同じ考えを持つメンバーばかりが集まってもいいのか、という疑問にもぶつかります。多様性を実現しつつ、会社と個人の方向性を合わせていくにはどうすればいいのか。大堀さんはどう思いますか?

大堀:いやぁ、すごく難しい質問ですね(笑)。我々も意思統一に取り組みながら、ハイパフォーマンスな人材を増やしていくフェイズです。今まさにそこは試行錯誤している段階で、まだアウトプットできるものがありません。だから、ぜひ私からもお二人に聞きたいことでもあります。

西澤:では、伊藤さんいかがでしょうか?

伊藤:そうですね、セールスフォース・ドットコムでは私達の部門が人材育成も担っています。この部門で数年経験を積んで、別の部門に移って活躍してもらう。そうしたサイクルをこの6〜7年で強化するように取り組んでいます。実際、これまでに数百名がこの部門を旅立って活躍しています。こうしたサイクルの中で、非常に重視しているのが多様性です。

例えば中途採用では、異業種の方の採用を重視し、元スポーツ選手や人材紹介、金融系にいた方など様々な方を採用しています。SaaS事業やIT事業に関わって来た人ばかりたちが集まる、ステレオタイプな組織にならないように工夫しています。

それから、最初のセッションで岡田武史さんがお話していましたが、リーダーが引っ張る、トップダウン型のチームづくりに限界を感じた経験もあります。私達も一時期は、チームリーダーが強く牽引するスタイルで組織運営を行ってきましたが、なかなかパフォーマンスが上がりませんでした。

この反省を活かし、今ではメンバーの声を聞く、メンバーが中心になれる雰囲気をすごく心がけています。タスクチームを作って、メンバーのアイデアが実行されるような体制を推奨しています。

西澤:そういう場作りをすれば、アイデアは上がってきますか?

伊藤:すぐに、というわけにはなかなかいかないのが正直なところです(笑)。ただ、1つアイデアが上がると、波のように次々と生まれてきます。だから、まずはアイデアを言いやすい雰囲気づくりがリーダーには大切だと考えています。

平田:多様性、という意味ではセールスフォースさんは国籍やバックグラウンドが違う人たちが集まっていますよね。PR Tableさんは、それに比べれば同質的な人を集めようとしています。じゃあ、PR Tableさんに多様性がないか、と言えばそうは思いません。

PR Tableさんのように、一見似たようなタイプが揃っているように思えても、一人ひとり特質は違うはずなんですよ。我々は機械ではありませんからね。例えば採用の場面で、みんなが黒いリクルートスーツを着て座っていても、同じ人間は1人として存在しない。そうした違いに、リーダーが気付くことが重要です。

そして、そうした違いに気付きを得るために、まずは対話を始めることが大事です。対話においては、ネガティブな弱点潰しではなく、人のポジティブな面に目を当ててあげるとやりやすいのではないかと思います。

伊藤:最近、セールスフォース・ドットコムでは、マネージャー自身が弱さも含めて積極的に自己開示をするようにしています。そうやって、メンバーから共感を得たり、あるいはマネージャーが大変そうだから、自分たちががんばらないと、という空気感を出せるようにしています。

 

リーダーがハイパフォーマンスの鍵を握る

西澤:なるほど。大堀さん、今のお話を聞いてどうですか?

大堀:会社の色が出てきたからこそ、違う意見が言いづらくなる、という諸刃の剣のような状態に陥ることもあると思います。我々自身もいつかそういうフェイズに入るかもしれないですから、今の話は大変興味深く聞いていました。メンバーが意見を言う機会の提供の仕方、リーダーがどう意見を吸い上げるのがいいのか、などもっと掘り下げて聞いてみたいです。

平田:答えを言ってしまうと、キーはリーダーです。現場のリーダーであればよくて、管理職やマネージャーといった役職が必ずしもなくてもいい。10-15人程度までの少人数のチームを率いているリーダーが、非常に重要な役割を担っています。古典的なトップダウンと、ボトムアップを繋ぐ存在として重要ですし、個々のパフォーマンスを引き上げるうえでも重責を担っています。

西澤:今、まさにハイパフォーマンスな組織のつくり方の話にはいってきていますね。もっと踏み込んで、再現性を持ってハイパフォーマンスな組織をつくり続けていくにはどうすればいいのか、についてもお聞きしたいです。伊藤さんどうですか?

伊藤:先ほども言った通り、私達の部門は1〜2年でメンバーが別部門に巣立っていき、また新しいメンバーが入ってきます。そのため、再現性は非常に重要視しているポイントです。

そこで、ハイパフォーマーにノウハウを還元してもらう仕組みを取り入れています。ハイパフォーマンスで結果を残している人には、必ず理由があります。その理由を、本人にスライド数枚に残してもらい、他者に還元することを推奨しています。そうすることで後世に生産性を上げるヒントを残しながら、ハイパフォーマーを生み出し続けています。

西澤:ハイパフォーマーは得てして忙しいと思うのですが、ノウハウのシェアにかける時間は取れるのですか?

伊藤:時間を確保するためのタイムマネジメントも、ハイパフォーマーである1つの要因です。効率的な時間の使い方を含めて、細かい粒度で他者にノウハウを還元することを推奨しています。例えば、「クライアントの受付に電話をして、スムーズに役員に繋げてもらうためのトレーニング」といったかなり細かなレベルまでまとめられています。

西澤:そこまで細かい粒度で、ノウハウを残しているのですね。

大堀:新陳代謝まで前提に考えて組織をつくっているのは、すごいです。組織づくりにおいては、維持することと、新しくつくることの2つの視点があります。新しい組織という視点だと、全く同じ状態の組織をもう一度つくるのは難しいですよね。一人ひとりのパーソナリティに合わせて、どう新たにハイパフォーマンスな組織をつくっていくのかも気になります。

伊藤:先ほど平田さんが、リーダーがキーだと言っていましたが、私も同意見です。リーダーにとって、新陳代謝が起きることは、成長を促す大きなきっかけとなります。大堀さんの言うように、同じ組織は二度とつくれません。パフォーマンスの再現はできても、同じ組織はできない。個々のパーソナリティに合わせ、再現性のあるハイパフォーマンスな組織をつくっていくためには、リーダーが新陳代謝を通して色々なタイプの人間と接することで成長していくことが重要です。

私が信頼している事業部長は、双方向性のあるコミュニケーション手法をよく用いています。1対1の場面だけでなく、1対30、1対60などの場面においても必ず意見をもらいながら、それに答えていくというコミュニケーションを取っています。「Sli.do」というリアルタイムで質問を受け付けるツールを使っています。彼は若い人、新しく入った人からの信頼をしっかりと得ていて、優秀なリーダーの一例だと思っています。

 

その人らしいマネジメントスタイルを確立するサポートを

西澤:1対複数の場面でも双方向のコミュニケーションを強く意識しているんですね。平田さんも先ほど、対話という話をされていましたが、よい対話のポイントはどこにありますか?

平田:ポジティブな対話、個人の強みにフォーカスすることが重要ですね。

西澤:強みを活かす、とは思いつつも、できてないことに目がいってしまうのが人の常なのかな、と思います。どう感情をコントロールすれば、ポジティブな対話ができるのでしょうか?

平田:チームリーダーが重要だと言いましたが、必ずしも役職としてのマネージャーだけではなくて、誰もがチームリーダーになり得ると考えています。社長はボードメンバーというチームのリーダーだし、中間管理職の上にいる人は、中間管理職チームのリーダーです。

そこで、「チームリーダーになる人がんばってね」と丸投げするのではなく、会社として彼らをいかにサポートしていくか、という体制の構築が重要になってきます。

「同じチームの再現が難しい」という話がありましたが、当然100のチームがあれば100の色があっていいんです。結果としてパフォーマンスしていればいい。その重要な鍵を握るリーダーを、教育を受けさせたりなどしてサポートしていくことが必要だと考えています。

我々が今推奨しているのが、リーダーに対してのコーチングです。コーチングを通して、リーダーの持っている資質、性格的に持っている強い部分を引き出し、オリジナルのマネジメントのスタイルを確立してあげることが重要です。

大堀:本当にその通りですね。

平田:リーダーが腐ると、組織が腐ってしまう。それほど、重要なポジションです。だからこそ、リーダーの育成は優先度を高くして、集中的に投資をするのがいいと思います。

伊藤:最初の話に戻りますが、心理的安全性の確保がハイパフォーマンスなチームにおいては重要です。そういう意味で、リーダーが持つ“責任”を有効的に活用していく必要があります。

メンバーは何か権限を与えると、多くの人が懸命に取り組みます。その中で、メンバーにとっての心理的安全性の阻害要因は、「はしごを外されるんじゃないか」「失敗したら認められないんじゃないか」という感覚だと思います。そうした不安を取り除くためにも、リーダーは自分が責任を取れる範囲の中で、メンバーにどんどん権限移譲をして、失敗も許容していくことが重要になってきます。

西澤:ありがとうございます。話は尽きませんが、ピッタリ終了のお時間になりました。このセッションでは、「ハイパフォーマーの再現性」をテーマに、ディスカッションしてきました。みなさんも、明日からでも参考にできることがあれば、ぜひ実践していただきたいと思います。

 

セッションの最後に、登壇していただいた4人に「明日からの行動変容」をテーマに色紙にメッセージをいただきました!

 

大堀 「まずはスタンスを明確に!!」

まだ小規模な会社は、これからスケールしていく前に「組織としてのスタンスは何か」という壁にぶつかるのではないかと思います。その先にも組織づくりの課題は続いていくのですが、最初の壁となるスタンスを早い段階で明確にしておくことが大切です。

 

伊藤 「Excecution、Innovation、Observation」

変化をつくることがビジネスにおいては求められています。ダーウィンは160年前に「変化に適用できるものが生き残る」と言っています。現代は少し変わって、「変化をつくる人が生き残る」ように思います。そのために、しっかりと”Observation” 観察をする。そのうえで”Innovation”変化を起こす。それだけだと足りないので、”Excecution”チームで実行していくことがこれから大事になっていくのだと思います。

 

平田 「Focus on Strenghths」

パフォーマンスをするためには、人の強いところを見ないといけません。弱点を埋めようとしても人並みになるだけです。本当に人よりも突き抜けている部分にフォーカスして磨いていく。そうして尖った才能をまとめ上げるのがチームリーダーであり、そのチームリーダーを組織としてサポートしていくと、ハイパフォーマンスの再現性が高まると思います。

 

西澤 「チーム作りはサイエンス」

人を知って、個性を活かすことは重要です。一方で、感覚的ではないものをどう作っていくか、仕組みをどう作っていくかも大切です。仕組みを作っていくためにも、現状を把握して科学していくことも重要。そのうえで、どうチームをつくっていくか。そうした考えをこの言葉に込めています。

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