wevox(ウィボックス)で組織改善に取り組んでいる企業様の導入秘話に迫る「導入事例」シリーズ。

今回は、国内最大級ともいわれるアドネットワーク事業を軸に、アフィリエイトや動画広告事業、さらにはふるさと納税専門サイト「ふるなび」の運営など幅広い事業を手掛ける株式会社アイモバイルの事例を紹介します。事業が多岐に渡るがゆえの組織づくりの難しさや、その中でいかにメンバーを巻き込みながらアクションプランを作成していくかといった課題について、人事・広報部マネージャーの佐藤貴亮氏に話を伺いました。

 

事業が拡大する中で自然に生まれた全く異なる2つのカルチャー

 

− 導入をご検討いただいたきっかけは、離職率改善のための組織の可視化でしたよね。

離職率改善も理由のひとつでしたが、それだけでなく、組織の可視化は1つの大きなテーマでした。このテーマが生まれた背景は、社内のカルチャーの複雑化です。創業から10年が過ぎ、カルチャー自体がすごく変遷しているなと感じています。2007年の創業から2012年まで、中途採用が中心に構成されていた組織ということもあり、ベンチャー企業としてそれぞれが熱量を持って業務に取り込むという状況でした。新卒採用を本格的に取り組み始めた2010年から人事組織を立ち上げ、行動指針や研修制度の設定、評価制度の見直しなどを行ってきました。

事業としては2014年まで基幹事業のアドネットワークがほとんどを占めていましたが、2016年の上場から事業の多角化が進んだことで、会社全体の統一したメッセージ以外にも部署ごとのカルチャーや価値観が醸成されてきて全員に同じメッセージを伝えても受け止め方が少しずつ違うと感じるようになってきました。

例えば、ふるなびを運営している部署は、スタートアップのような雰囲気で、「ガンガンやっていこう」というようなカルチャーが強かったり、所属メンバー数が多いアドネットワークの事業部は育成や働き方を意識するメンバーが増えてきました。

– 歴史を重ねていくと、部署や事業ごとに成熟度が異なっていきますよね。

そうですね。同じ組織の中でも「働き方をよくしたい!」という意見もあれば、「熱量があるなら、もっとやっていこう!」という意見もあります。違うカルチャーがアイモバイルという組織内で同時に存在することとなり、複雑化してきたのです。人事制度を整えながらも、どこか一方的だと感じ、「メンバーの納得感はどうなのか?」と、いつも気になっていました。何かイベントを行うたびに、メンバーへのヒアリングは行っていたものの、その声をなかなか次のアクションにつなげられていませんでした。

− 具体的なアクションにつなげるためにも、組織を可視化しようと思ったのでしょうか。

そうです。現在、社員数は単体で200人を超えたのですが、人事の視点から「経営層」、「事業責任者」、「現場」を見ると、少しずつ距離があるように感じることがありました。その間のコミュニケーションや、距離感をどうするのかということも課題だったのです。

経営層から降りてきたことを事業責任者は理解できる。しかしその後、事業部で解釈したことを現場に伝える際に、事業責任者の伝え方次第で、現場の理解度が偏ってしまうこともあります。

− 多角化し、成長している組織だからこそ、発生する課題ですね。

さらに新卒採用を繰り返して行ってきたことで、採用ペルソナも明確化されたり、経営を進めるうえで経営陣から発信されるメッセージもまとまっていきます。そこを軸に組織を作っていきたいと思う一方で、部署ごとの価値観も大事にしたい。そんな現状から前に進もうと思った時に、組織の可視化がスタート地点になるなと思いました。

「とりあえずコミュニケーション」からの脱却

− 現在の実施は、営業部のみですよね。

はい。将来的には対象部署を広げていきたいと考えています。「聞くだけ聞いて改善されない」というハレーションが起こってくる可能性も考えて、各組織同意のうえで導入する部署・しない部署を決めています。

− wevoxを選んでいただけたのはなぜでしょうか?

第一印象はUIの見やすさです。正直、使いやすさはまだ変えられる部分はあるとは思いますが、「可視化する」という一番の目的に対しては、かなり利便性があると感じたからです。

− 実施してみて、メンバーの皆さんの反応にはどんなものがありましたか?

ええと…「あけちゃった」感はありましたよね(笑)。このようなツールを積極的に導入してきた組織ではないのですが、事業柄マーケティングとかウェブ広告に関わるメンバーなので、数字を見みて思考するのが好きな人は多いです。だから、数字の上下に対して「何がダメだった?」とか、「あぁ、やっぱり!」といった声も聞こえてきたりして、いろんな反応が見られますね(笑)。

− 昨年末に佐藤さんから要請をいただいて、一部機能を改善しましたが、そこに至る経緯を教えてもらえますか?

まさに、アクションの話ですね。wevoxを運用していくことで、いろいろな反応があり、少しずつ動きが見え始めたのは良かったのですが、どうしてもアクションが一辺倒になってきました。「とりあえず飲みに行こう」、「ミーティングしよう」、「1on1します?」といった感じで、短絡的に「コミュニケーションが解決策だ」というような話になっていました。もちろんそれも大事ですが、もう少し原因に対して因数分解しないともったいないなと思っていました。

− そのタイミングで、管理画面をマネージャーへ開放することにしたんですね。

それぞれのチームがどういう状況なっているかをよりリアルに見てもらうために、あくまで個人の回答は伏せた形で管理画面の閲覧をしてもらう形にしました。人事としては、客観性を持ってフォローすると立場に徹するのは同じですが、開放したことで、他社のアクションプランも知ることができるようになり、反応が変わってきたと感じています。上司ではないので「やってね」という伝え方はしませんし、あくまでファクトベースで話をしようと心掛けています。

 

経営陣がメッセージを発信していくことの大切さ

− 数値を元に、具体的に取り組んだ施策があれば教えていただけますか?

「理念・戦略・事業」や「組織風土」、「待遇・制度・環境」といった部分については、経営側からの情報発信じゃないと大きく変わらないと思っています。まずはそこをしっかりやろうと考えました。

当社では1年のなかで「社員総会」と「忘年会」の2回、全社で集まる機会があります。2017年8月の社員総会はちょうど創業10周年のタイミングでしたので、再発信する機会と考え、現会長と現社長、さらには役員にも、行動指針に基づいたメッセージを話してもらいました。すると、経営陣からの情報発信が影響すると考えていた数値が上昇しました。

また、忘年会でもあらためて方針を話してもらいました。その直前には評価や給与の制度の改定も若干あったので、こうした部分はダイレクトに数値に表れましたね。経営陣が一人ひとりとコミュニケーションをとるのはなかなか難しいですが、場を使ってうまく伝えていくことで、数字がはっきり変わるというのは実感しましたね。

− どんな伝え方をしたのですか?

当社は、ベースとして自主性や取り組む熱量が大切という意味で「やりたい人に任せたい」というカルチャーがあります。ボードメンバーとコミュニケーションがとれているメンバーはちゃんとベースを理解しているのですが、一部には「やりたい人がやればいい」という空気しか伝わっていない場合もあったりします。

− 背景にある思いやビジョンが抜け落ちて伝わってしまっている。

そうですね。それと、多岐にわたる事業の多角化の意図が伝わっていないこともあり、経営層のメッセージを直接聞くことで腹落ちした結果、それが数値にも表れたのだと思います。

− 戸惑っていたメンバーが、ようやく納得感を持てたのですね。

会社が変わっていくスピードと、メンバーの気持ちに若干のギャップがありました。それをコミュニケーションで解決しようと思っていたが、そこには限界があったということかもしれません。

メンバーの多くが「言いたいこと」を抱えていた

− 「アクションプラン」の策定という部分ではどうですか?

wevoxを実施している全ての事業部の責任者には、レポートされた結果に対してどんなアクションプランを立てるかをチャットワークに全部あげてもらっています。それに対して月に一回全員で振り返りをして、具体的な内容や数値の変化も含めた成果について報告してもらっています。「やりがいの数値が上がっていますが、何をしたのですか?」「人間関係の数値に変化があったけど、何か課題を感じてる?」というような会話が振り返りの際に出てくるようになっていて、チームの数値に対して敏感になってきていると感じています。

− 他の人との情報の共有や、横展開していこうという動きが見え始めたのですね。

はい。会話ができ始めたことで、自身がマネージメントすべき組織に対する気持ちが少しずつ上がってきていると感じます。また、直近1年ほど外部講師を招いてのリーダー研修を始めたことも相互して良い影響になっているのかと思います。

マネジメント層の組織やメンバーに対してのロイヤリティが高くなっていて、自分の行ったことが組織全体を良くすることにつながるという気持ちが強くなってきています。だからこそ、いいタイミングでwevoxを導入できたとも思っています。人事としても、熱があるうちに上手く使ってもらえるように、出来る限りサポートしています。

− アイモバイル社はメンバーからのコメントの集まり方が特徴的ですよね。

wevoxの世界観って匿名が前提ですよね。でも当社では、回答内容やコメントが誰のものであるのかを、人事にだけは分かるようにしています。そのことを、メンバーに伝えたところ、一気にコメントが増えたんですよ。それで、「言いたいこと、伝えたいことがあったんだな」と思いました。最近は、テーマを設けてコメントしてもらいやすいように工夫しています。そういう意味でも、メンバーはwevoxをポジティブなものに捉えてくれているのかもしれませんね。

個人の想いもちゃんと汲んだ組織を作っていきたい

 

− 最後に、理想とする組織像について教えてください。

今以上にメンバー一人ひとりが考えて自走して動く組織にして、自身のやりたいを叶える組織にしたいです。その気持ちはずっとブレなくあります。

メンバーの回答を追っていると、「あの人はこんなふうに言っていたが、実はあまり納得してなかったのかな」とか、「仕事には不満があるのに人間関係はうまくいっているんだな」みたいな、細かいところが透けて見えてくることもあります。上司とメンバーの間にちょっとしたズレがあると、メンバーのやる気が下がることもあると思います。ただ、私はあくまで人事という役割で俯瞰して見ているだけで、本人とは仕事上で直接関わっているわけではありません。人事としてはその間をうまくつなげていきたいですよね。

数値をみられる立場のメンバーからは、「誰が数字を下げているのか気になる」といった声はやっぱり出てきますが、「あくまで組織の数値です」という話はするようにしていますね。これは組織の課題であって、そのためのアクションを一緒に考えていきましょうと。個人を特定すると価値観を押し付けてしまったり、「あのメンバーはこんなことを思ってる」というバイアスがかかってしまうことがあると思うので、そこは基本的に公開しない方がいいと考えています。

一方的に伝えるだけではなく、組織の中の人が何に納得してなくて、現状をどうしたいと思っているかを把握して、実現したい組織の方向性を共有していかなければ、いい組織は作れないと思います。

− 個人の思い、目指すところをいかに汲んで組織をつくっていくか、ということですね。

一方で、メンバーにも組織の問題として捉えてほしいので、組織を改善するために人事ではなく上司が動いているということはちゃんと伝えていきたいんです。

− メンバー側が動いていけば組織はかわるというメッセージは、他社の事例の中でもよく出てくる話です。一方で、マネジメント側にも、もっとメンバーに働きかける部分を期待したいというところですね。

もちろん「こうしてほしい」とは一方的に言えないこともありますが、そうやってメンバーもマネジメントも回っていくと、組織はもっといい方向に向かえると思っています。

人事をやっていて、組織は生き物だと実感します。まだまだやりたい事ややらなくてはいけないことがありますが、wevoxで集まったメンバーの想いを理解して、経営と現場をつなぐ仕事をしていきたいと思います。

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