エンゲージメント解析ツール「wevox」を活用し、“これからのマネジメント”を実践する人々にフィーチャーする「Next Management with wevox」。今回は株式会社イルグルムの石井文也さんにお話を伺いました。今年の4月に最年少で新設部署の部長に就任した石井さんは、「最初はメンバーとの信頼関係を築けていなかった」と話します。1on1やチームミーティングへのコーチング要素を取り入れるなど、様々な取り組みでエンゲージメントスコアを上げてきた石井さんが、どういう想いでマネジメントをされてきたのかを語ってもらいました。
インタビュイープロフィール
株式会社イルグルム
パートナーアライアンス部 部長 石井 文也氏
株式会社イルグルム(旧株式会社ロックオン)に新卒入社。広告効果測定市場において、国内トップシェアを誇るアドエビスの新規営業に従事。入社後3年間で課されたすべての営業目標を超過達成し続け、2018年にはイルグルム史上初・最速となる18期全社MVPと新人賞をW受賞。その功績とチームで成果に挑む姿勢が認められ、歴代最速で課長、部長に就任。就任後、同営業部門において、史上初となる通期連続目標達成。
チームプロフィール
パートナーアライアンス部
マーケティング効果測定プラットフォーム「アドエビス」の販売パートナーである広告代理店への新規営業・活用支援を行う部署。新規営業を行うパートナーセールス部と活用支援を行うパートナーサクセス部の2つが2020年に統合し、新設された。石井氏はそのタイミングで部長に就任。
【wevoxの第一印象】感情を記録し、個人の振り返りに有効なツール
―石井さんは今年の4月から部長になられたということですが、メンバー時代にwevoxに対してどのような印象を持たれていましたか?
ポジティブとネガティブ両方の印象を持っていました。まず、ポジティブな印象ですが、自分の感情の状態を振り返ることができるのは非常にありがたかったですね。1年目のときに、全社のMVPを取ったのをピークに個人のwevoxスコアがしばらく右肩下がりでした。仕事自体は順調だったんですが、エンゲージメントはずっと下がっていたんですね。これはwevoxに答えていなかったら気づけていなかったと思います。
自分の仕事を振り返るときに、業務内容や成果といった事実情報は記憶していますが、当時の感情を覚えていない。でもwevoxでは感情の部分が記録されているので、個人の振り返りにすごく有効なツールだと思っていました。

―なるほど。
ただ、スコアの閲覧権限がある人に、声が届いていないんじゃないかとも感じていました。気になる点や不安がある場合はサーベイで意思表示をしてきました。おそらく当時のマネージャーは、目標達成もしているし、業務に支障が出ているわけではないので、あまり気にしていなかったんだと思います。「答えても意味がないのでは」と思うようになっていましたね。
―そうだったんですね。部長になって、印象は変わりましたか?
wevox自体は、業績目標の達成度合いや、自身が言葉にしづらい内面の状況を定量的に表現できるツールとして、可能性があるのではないか?と思っていました。なので、自分がマネージャーになった時点で、サーベイから取得した数字やデータにきちんと向き合おうと決めていました。もともと営業出身で、数字と向き合うことは得意だったので、自分の強みをマネジメントにも活かせるツールだと考えました。
【wevoxで見つけたチームの課題】若い自分がまだメンバーに信頼されていなかった
―マネージャーになって最初に行なったサーベイの結果を覚えていますか?
はい。「上司との人間関係」のスコアが明らかに低かったです。今のパートナーアライアンス部は、4月に新設された部署で、それまでのセールスチームとサクセスチームが統合されてできました。私自身は元々セールスチームに所属していたのですが、事業と組織の両面から、サクセスチームと一体化することが、さらなる飛躍に繋がると感じていました。代表に想いと戦略を提案し、その提案が受け入れられて、そのまま部長を任せていただけることになりました。
私が元々所属していたセールスチームは新卒社員がメインの若いチーム、一方でサクセスチームは、中途社員や契約社員の年上の方々をはじめとした現場経験の豊富なメンバーがメインでした。そういった意味で、若く、セールス出身者の私はまだまだ信頼されていないのかもしれないと感じていました。
【課題を解決するためのアクション】コーチング型1on1で信頼関係を強化
―最初のサーベイ後、どのような取り組みをされたのですか?
まずはメンバーとの1on1を始めました。特にサクセス出身のメンバーとのコミュニケーション量を増やしたかったんです。頻度は人それぞれですが、週に3~5時間は、メンバーとの対話の時間に使っていますね。私とのコミュニケーションが少しでもメンバーのためになればと考え、ZaPASS JAPAN株式会社の「コーチング型マネジメント講座」という共感型のマネジメントや、人との接し方を学べるプログラムを受けて、対話にコーチングの概念を取り入れました。
コンサルティング営業の経験もあり、課題解決が得意な自覚はありましたが、メンバーの感情やその裏のニーズを聞いて、信頼関係を築く技術を学び・実践したことは、非常に大きかったです。wevoxから見えてきた仮説と、メンバーの実情を掛け合わせることで、より効果的に組織課題と向き合うことができました。

―本格的ですね。1on1ではどのようなことを話しているんですか?
最初は相互理解に努めました。どういう価値観やビジョンを持っているか、私から伝えるのはもちろん、メンバーにもたくさん話してもらいました。今は業務におけるメンバーの日頃、言葉にはしづらい微妙なニュアンスを含めた感情や思っていること、業務における困りごとなどを聞いています。
実際に効果も出ていて、「70」だったチームのスコアのベースラインが「80」まで上がりました。最初に課題だった「上司との人間関係」のスコアが一番伸びていますね。
―すごく効果的だったんですね。
はい。また、毎週行われていた業績進捗の確認ミーティングをやめました。これはメンバー時代から改善できないかと考えていたことでした。全員集めてミーティングをしなくても、進捗は普段の場で話しています。発表する人も限られますし、全員が発信者になれるミーティングじゃないと意味がないと考えていました。
定例ミーティングは変わらず実施していますが、内容を一新しました。各自が振り返りを持ち寄って、毎回全員に発表してもらっています。振り返りの中で、違和感が出てきたら議題にあげて、全員で議論するという形をとっています。
実はこれもメンバーに対して、「理想の定例ミーティングとは?」という問いかけから、提案をもらい改善を重ねて形になっています。大切なことは、マネージャーが必要であると感じているものだけを実施することではなく、「メンバーとともに、向き合うこと」だと考えています。
―具体的にどのようなことが議題にあがったんですか?
チームには契約社員もいらっしゃる中で、彼、彼女らが日常の業務で思ったことを言いづらいんじゃないか、という議題が出たことがあります。また、全員が漠然と疑問に感じていた業務をなくしてみよう、といった議題も出ました。こうしたことを、全員で話し合うことで、1人の負担を全員で解消する場に変えたんです。新設チームだからこそ、マネージャー1人ではなく、ゼロからみんなでチームをつくっていきたいので、こういう場は有効に働いていますね。
【wevoxがマネジメントに及ぼすメリット】アクセルを踏む・ブレーキをかけるポイントを教えてくれる
―wevoxがマネジメントに及ぼすメリットは何だと思われますか?
瞬間的な業績達成だけではなく、達成し続けながら、メンバーがそれぞれやりたいように自己実現できて、いきいきとしている状態を私は理想としています。業績達成のための方法と、この理想を達成するための方法は少し違うと思っているんです。
チームの理想の状態をつくるには、感情の軸が必要になってきます。明らかに成果に繋がる施策でも、メンバーが違和感を持ったり、感じたまま業務へ向かっているのは、理想の状態とはいえません。メンバーいきいきと働けているかには、常に気を配りたいと思っています。その状態がまさにエンゲージメントだと思っていて、ここが定量的にわかるのがwevoxの一番の強みだと思っています。マネージャーとしてアクセルを踏む、ブレーキをかけるポイントがどこなのか、wevoxはいつも教えてくれます。
―なるほど、わかりやすいです。
あとはシンプルにマネージャーである私のモチベーションにもなっていますね。回答率が高いということが全員に当事者意識があるということですし、「上司との人間関係」スコアが上がるとメンバーに認められていると感じることができて、エネルギーになっています。
【we are the teamになるために】「人間味の溢れるチーム」で業績達成と自己実現の両立を

―これからのチームづくりの意気込みを教えてもらえますか?
先ほど、業績達成とメンバーの自己実現の両立が理想と話しましたが、その中でもやっぱり「人間味の溢れるチーム」をつくっていきたいですね。
業績達成に思考が寄れば寄るほど、考え方が機械的になってしまうと思っています。効率性や費用対効果しか考えなくなる。自分自身、感情を捨てて成果を追求していた時期もありました。ただ今の時代、テクノロジーが発達しているからこそ、人間らしさに向き合いながら、持続可能性のある組織づくりに挑戦していきたいと考えています。
感情に向き合い、組織におけるエンゲージメントの高さを担保しながら、同時に業績達成をし続けられれば、この挑戦は成功したと言えると思います。私の挑戦である理想のチームづくりのためにも、これからもwevoxを活用していきたいです。
―wevoxをこんなにも愛用してくださって、本当に嬉しいです。
wevoxは私にとってツールではないんです。機械という感じがしない。感情を把握し、しかるべき対応を私に教えてくれる、サポートしてくれる「人」のような存在です。マネージャーをやる人には必須じゃないでしょうか。忖度でなく、本気でそう思っています。