INTERVIEWEE

Sansan株式会社 人事部 Employee Successグループ所属 新卒社員研修担当
中村登氏

新卒で外資系生命保険会社に入社。3年間法人営業を経験した後に、SaaS企業のカスタマーサクセスに従事。2019年にSansan入社。社内制度の企画運営や、新卒社員のオンボーディング支援を担当。

Sansan株式会社 人事部 Employee Successグループ所属 中途社員研修担当
沢邉崇氏

新卒で証券会社に入社。2011年にSansanに転職。営業、パートナー営業、海外営業と一貫してフロント職に従事。2019年から人事部で主に中途入社者へのオンボーディングを担当。

実践的な組織づくり戦略やエンゲージメント解析ツール「wevox」の活用方法を紹介する「DIO PLAN」。今回は、ビジネスの出会いをより良きものに変え、世界を変えようと取り組むSansan株式会社のケースを紹介します。成果にこだわる同社が、緻密な研修や人事施策を通じて実践している組織づくりについて、Employee Successグループの中村氏と沢邉氏に伺いました。

組織力を強める制度をオンラインでも活用できるように改変

―コロナ渦で全社的にテレワークにシフトしたとのことですが、緊急事態宣言が解除されてからはどのような働き方を進めていますか?

沢邉:解除後は基本的には出社を推奨していて、6月の時点で既に3,4割のメンバーが出社するようになっています。もちろん強制ではなく、自己判断で在宅でも働けるようにはしていますね。

中村:そもそもの当社のスタンスとして、「出社が前提」でこれまでずっときています。申請すれば在宅勤務できる社内制度はあったのですが、直近は新入社員も多く、今回初めて在宅勤務をしたというメンバーは多かったと思います。

―テレワークに働き方が変わる中で、メッセージとして変えたことや具体的に発信したことはありますか?

中村:当社が出社を前提に考える背景には、face to faceでコミュニケーションができることでチームの一体感が生まれ、お互いにプロとして協働してスピードを緩めずに仕事ができるという考えがあるんです。社内ではよく「7人8脚」と言う表現を使ってます。

そういう意味では、コロナによって逆風が吹いたのかもしれません。ただ、少しずつ解消されてきてリモートワークの実践も出来た今だからこそ、「この状況でもできることがあるはず」「ピンチをチャンスに」というメッセージは出すようにしていますね。

―前向きなメッセージですね。

中村:これは、代表の寺田のメッセージを人事としてどう翻訳して皆に伝えていくか、ということになるかと思います。

―スピード感を緩めないために、人事でやっていることはありますか?

中村:社員同士が飲みにいく時のコミュニケーションに対して補助を出す「Know Me」や、部活動の補助を行う「よいこ」といった制度があるのですが、それらをオンラインにも適応させる形で改変しています。

通常業務とは違った縦・横・斜めのつながりを後押しすることで組織力を強めるのが狙いの制度なので、オンラインの部分をしっかりサポートすることで、コミュニケーションの量が減らないようにとは考えていますね。

「成果」にこだわったフルリモートの新卒研修を実施

中村:コロナ渦の新しいチャレンジでいうと、今年は4月の新卒研修もすべてフルリモートで行いました。Sansanでは事業成長のために各個人がプロフェッショナリズムを持って成果を出すことをとても大切にしています。そのためにはオンボーディングは非常に重要になってきます。新しい仲間を受け入れるんだという強い意志を持ち、この状況をピンチではなくチャンスと受け止めて、新しいチャレンジをしたいと思いました。

―研修の内容についても工夫されたのでしょうか?

中村:成果を出すにあたって、私たちが大切にしているMissionやValuesを体現できるか、そこを自ら語れる状態を目指すという大きな枠組みは変わりません。そのうえで、今年は「Be Professional 〜Valuesを体現して、成果を出す」というコンセプトを掲げました。

内容としては、社内ルールのガイダンスから始まって、サービスやプロダクトの基本についてのインプット、さらにはセキュリティについての意識づけのための研修やテストの実施。その後、MIssionとValuesを総称した企業理念である「Sansanのカタチ」のインストールのために、代表の寺田とオンラインでディスカッションするようなプログラムも用意しました。

あとは、お互いの相互理解のために、自分自身の強みを言語化してフィードバックし合う「強マッチ研修」を行いました。各々がアクションを起こしていく時にどう強みを生かすのか、Valuesをどうアクションとして体現していくのかをしっかり整理するのが、前半の1週間です。

―前半はインプットが中心のプログラム。

中村:そうですね。逆に後半はアウトプットがメインで、こちらが出す課題に対して施策を考えてもらったり、その施策を実際に部長クラスに提案してもらう場をつくります。いい提案であれば実際の事業の中で活用されることもあるので、まさに「成果」を意識した取り組みへと繋がります。

―研修の段階から成果にこだわっていることが、その後の業務につながるわけですね

中村:「成果研修」と呼んでいるくらいですからね。提案はすべて役員に実際に報告して、フィードバックをもらうこともしています。

―いきなり役員にまで声が届くとなれば、上との距離が縮まりますし、成果へのこだわりも強くなりそうです。

中村:新卒だと、最初のマインドセットがすごく重要になってきます。その意味では、結構インパクトがあるものにはしていますね。

あとは、ワークショップで見えてきた自分の強みは社内システムに一緒に登録され、さらに配属後の部署で発表の場を作るようにしているので、周りにしっかり認知されるんです。各々の強みを理解したうえで、その強みをどう生かしてチームのパフォーマンスを上げるのかを考えていける仕組みをつくっています。

―配属後の設計までちゃんと繋げてあるんですね。

中村:そこは意識していますね。弱みよりも強みに着目する方が、早く成果も出せるじゃないですか。Valuesの中に「強みを生かし成果を出す」という創業当時から大切にしている価値観があるのですが、まさにそれを体現しているんです。

横のつながりを意識し、中途採用者も集合研修に切り替え

―中途採用については沢邉さんがご担当しているとのことですが、新卒との違いなどがあれば教えてください。

沢邉:形式は特に変わりません。ただ、新卒と大きく違うのは、すぐに業務のスタートを切ってもらえるようなレクチャーがメインになっている点ですね。

―中途社員が早く馴染むために、気をつけたことはありましたか?

沢邉:私自身の経験を踏まえた話を意識的にしています。例えばセキュリティについて、「こういうケースの時はこういうアクションをとりましょう」といくら話しても、当事者にならないとわからないことって多いですよね。だからこそ、経験をもとにした具体的な話をすることで、イメージがしやすくなり理解が深まるはずだと思っています。

あとは、中途の場合は年齢や経験、バックグラウンドもすべて異なる中で全員同じペースでやっていかなくてはいけないので、場の空気を呼んで、一人ひとりの様子を見ながら進めることは大事にしています。

―中途の場合、前職までの企業文化とのギャップをどう埋めるかは大きな課題の1つだと思います。そこで意識していることがあれば教えてください。

沢邉:実は、今のような集合研修を始めたのは今年の2月からで、それまでは最低限の知識の習得を各担当が個別にレクチャーする形でバラバラに行っていました。それだと中途入社の人が横のつながりを意識できる機会がないんですね。歓迎している気持ちも伝わりにくいというか。だったら集合研修にして、「同期がいる」という意識を持ってもらいやすい環境を作ろうと考えたんです。

―その全体を沢邉さんが俯瞰して見て、それぞれの状況をもとにオンボーディングを行なっていくと。ということは、ある種メンター的な立ち位置も担っているという感じでしょうか?

沢邉:確かにそういう部分はあるかもしれませんね。

wevoxで現在地を把握し、施策を生む

―続いて、Sansanの組織づくりについて聞かせてください。コロナの前後でwevoxの運用形態などは変えたりしましたか?

中村:基本は月1の実施で変えていませんが、5月からは「状態理解サーベイ」の実施を加えています。コメント機能で集まったコメントについても、これまで同様に毎月1回、全社で回答を公開しています。

―月1のサーベイの結果を、組織づくりにどのように生かしているか教えてください。

中村:スコアや集まったコメントから施策につなげていくことは、スタート時からずっと続いています。3営業日のまとまった休みを取得できる「チャージ休暇」という制度は、wevoxがきっかけで生まれました。

また、フィードバックのスコアが低かったところから、「フィードバック研修」が新しく企画されています。コーチングの資格を持つ社員が中心となり、メンバーの育成を後押しするようなフィードバックの仕方をマネージャー向けにレクチャーするのです。

―すごく具体的な施策に落とし込まれているんですね。

中村:そうですね。研修によってフィードバックのスコアが上がっただけでなく、ナレッジシェアがうまくできたことで、「自分のチームにも展開できた」という声が多く集まったりして、すごくいい効果が生まれていますね。チームのその時のスコアに合わせてメンバーへのメッセージングの仕方を変えているマネージャーもいます。

私の中でのwevoxの位置づけは、「現在地を把握するためのツール」です。単純にスコアがいいとか悪いとかではなく、毎月変化がある中で「今月のこの変化って一体何だろう?」「どうしてこの変化が起きたんだろう?」といったことを探るきっかけを与えてくれるものというか。

―なるほど。

中村:そうやって、今の組織の状態を具体的に想像しながら、人事として伝えていくメッセージを考えたり、今後必要となる施策を予想したりということができるようになっているのかなと思いますね。

あとは、業務として制度や研修の企画を行っているので、その効果測定を行うためのツールとしても使っています。施策の前後でどんな変化があったかがわかりやすいので、助けになっています。

―変化が見えるからこそ、ですね。

中村:当社はまだまだベンチャーで、市場を開拓していかないといけないフェーズにあります。会社として激しく変化していて、その激しいスピードの中で人事も必要な施策を打っていかないといけませんから、現在地を常に把握できるツールとして、役立っています。

エンゲージメントスコアの高いマネージャーへのインタビュー記事を毎月配信

―wevoxというツールの課題感の1つとして「現場にいかに使ってもらうか」というのがあるのですが、お2人が何か工夫しているや、働きかけていることなどはありますか?

中村:それでいうと、社内チャットの中にwevox情報共有のチャンネルをつくって、情報発信しているんです。具体的には、毎月スコアのいいチームのマネージャーに私たちがインタビューをして、具体的に何を行なっているのか、その取り組みがどうスコアに影響していると思うかといったことを共有する取り組みは、1年くらいやっていますね。

 

―興味深い取り組みですね。

中村:例えば「裁量」「達成感」、「成果に対する承認」のポイントが上がっている営業チームなら、それにつながったと思える具体的なアクションを聞くんです。「組織体制をユニット制に変えて権限を委譲したんです」「週のKPIを設定してフレーム化したことでお客さんの反応が変化しました」「表彰制度を新しく始めました」みたいな話が出てくるので、それを発信します。

「何かやるとチームの状態って本当に変わるんだな」という反応が他のチームから出てきますし、意識づけにもつながっていますね。ナレッジとして参考にもしてもらえているようです。今後は、更に形式を進化させて、ワークショップの開催なども企画中です。

―wevoxを継続して長く使っていくためのコツは何だとお考えですか?

中村:当社では導入から3年以上経ちますが、人事のアクションの中にwevoxを運用する状態がつくられており、自ずと日常の業務で活用するものになっていますね。半期ごとに活用方法の見直しも行っています。 また、毎月コメントを公開することで、社員の声に対して人事の考えを発信する場としても活用しています。

―いかに日常の業務の中に取り入れるかがポイントだということですね。

中村:そうですね。ただ、もちろん必要なものではありますが、「wevoxありき」で物事を考えてはいないです。あくまで「社員や組織の状態を正確に把握し、何をするか」が先にあって、それを続けるうえでwevoxが役立っている、というか。少なくともこの状態ができていれば、wevoxを使う意義が一定あると考えています。

―ありがとうございました。では最後に、これからの組織づくりに向けた「意気込み」を聞かせていただけますか?

沢邉:「変化」に耐えられる組織でありたいと思います。さらに言えば、変化そのものを起こしていくような立場で常にあり続けたいですね。

当社のサービスは流行りに乗って展開するようなものではないと考えていますし、そもそも「自分たちで波を起こそう」という考え方でやってきた組織ですから、まさに今はピンチどころか「追い風」だと思っています。今後も、我々が起こしたと自信を持っていえる波を作り、それを定着させることを主導していきたいですね。

中村:Sansanは変化を作るために市場を創造することに力を入れてきた会社ですが、それってものすごく難しいことだと自負しています。

それを実現するために頑張っている人たちがまっすぐ前を向けるように、人事としては後押しする施策を打ち出していきたいです。そのためにも、その時々の状況をしっかり捉えていけるようにはしておきたいですね。

―ぜひその状況を把握する時に、wevoxを活用していただけたら嬉しいです。どうもありがとうございました。

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