INTERVIEWEE

株式会社野村総合研究所 資産運用ソリューション事業本部 業務管理室
大塚哲也氏

2005年NRI入社。約10年間主に金融(証券会社、資産運用会社)業界のシステムエンジニアとして従事。コーチングスキルなどを活かし、関わるメンバーの関係性を大事にしながらプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーを経験。その後、300人規模の事業本部内での人材育成を中心としたスタッフとの兼務期間を経て、現在は業務管理室として本部運営業務、主に本部内の新人や若手社員育成の施策や、課長/部長向けの研修、本部内1on1面談、本部内での組織開発の企画・運営を担当。

2020年6月、株式野村総合研究所(以下、NRI)の資産運用ソリューション事業本部全体でwevoxの運用が開始されました。そこで、1年以上に及ぶトライアルを経て、本部全体の導入へと発展した経緯を、wevoxの推進担当者である大塚哲也さんに伺います。大企業で新たな取り組みをするうえでの「仲間」の重要性や、困難な取り組みも楽しめる「個人ビジョン」の価値など、wevoxの導入ストーリーをベースに組織づくりのエッセンスをたっぷりと語っていただきました。

大企業だからこそ抱えてしまう5つの組織課題 

―4月にwevox主催のTeamwork Sessionに登壇いただいた際にもお話いただきましたが、大塚さんには非常に積極的にwevoxの活用を推進していただいています。今日は前回のTeamwork Sessionの内容をさらに深堀りしつつ、コロナ禍においてこの数ヶ月で目まぐるしく変わる社会環境の中で、大塚さんがどのような考えで組織づくりに取り組んでいるか、伺いたいと思います。

あのセッションからまだ半年も経っていませんが、本当に日々変化が起きている最中です。私もいろいろとお話しすることを考えてきたので、少しでも読者のみなさんにお役に立てれば幸いです。

簡単に自己紹介をしますと、私は現在NRIの資産運用ソリューション事業本部の中で、本部がより良く回るように本部長・副本部長の元、本部運営を担っている業務管理室という部室に属しています。労務管理や収支管理、経営メッセージの発信支援など幅広い業務の中の1つとして、本部内の人材開発・組織開発も含まれており、その中でwevoxの導入や活用の推進も担当しています。

 ―ありがとうございます。2020年6月から、資産運用ソリューション事業本部全体にてwevoxの運用が開始されました。まずは導入に至った背景として、どのような組織課題があったか教えていただけますか?

はい、今日話すにあたって5つの組織課題をリストアップしてきました。いわゆる「大企業病」とも言われる、規模が大きい組織だからこそ陥りやすい課題も中にはあると思います。

―ぜひ、お聞かせください。

1つ目はwevoxを導入する前に行っていた、年1回の組織サーベイが十分に機能していなかったという課題です。

現場の視点から言うと、従来の年1回のサーベイだと「質問の量が多く、アンケートに回答するのが辛い」とか「タイムリーなフィードバックができない/こない」といったネガティブな要素が目立ってしまうんですね。特に後者については、サーベイの結果が現場にフィードバックされるのに、サーベイ実施から2カ月後ぐらいになることもあります。管理職からすると、早く現場にフィードバックして組織マネジメントに活かしたいのに結果が分かるのに時間がかかりすぎてしまう。現場メンバーからすると忘れたころに結果が共有、説明されますし、プロジェクトの進捗やチーム体制も変わってしまっていることが多い。時間をかけて答えた割には、その結果が現場の改善アクションにつなげづらいという状況だったので「どうにかしたいな」と考えていました。

―組織サーベイが機能していないケースは、特に規模が大きい企業から課題感としてよく聞きます。フィードバックさえもされずに、形骸化している最悪のケースもあります。2つ目の課題は何でしょうか?

「組織課題についての緊急性は低い」という根深い既成概念です。この時代において、組織状態を良くするための取り組みを「必要ない」と考える人はほとんどいないと思います。でも、「他の業務との優先度を考えると、後回し」としてしまう人も同時に多い。

これに関しては、私自身現場で実際にエンジニアとして働いていた経験上、よく分かるんです。多忙な業務の中で、メンバーと向き合う時間を取ることはどうしても後回しになるものです。この意識をどう変えていくか、は重要な課題となってきます。

―wevoxの活用においても、ボトルネックとなりやすい部分です。

特に歴史のある企業だと、過去の実績やそれによってどういうメリットがあるのかというファクトを重んじる傾向にあります。「それだけのメリットがあるなら、優先度を上げよう」という意思決定ですね。それ自体はもちろん悪いことではありませんが、組織課題の取り組みにおいて「どういうメリットがあるか」を示しながら進めるのは難しいし、時間がかかる。ただ、この課題に関しては大企業でも打てる手立てはありますし、私も実践していることがありますので、後で詳しくお話ししたいと思います。

―では、続いて3つ目の課題をお願いします。

3つ目は縦割りとなった部署間の連携の課題です。仮に1つの部署内で組織状態が改善されていったとしても、部署間での連携における課題を解消しないとどうしようもないこともありますよね。片方の部署ではエンゲージメントという概念が浸透し、意識や行動変革が起きたとしても、もう片方の部署の意識が変わっていなければ、組織全体としての変化は止まってしまう。特に開発と営業というようによく利害関係がぶつかりやすい部署間で協力することによって、互いのチームのエンゲージメントを上げるキッカケにもなると思います。

例えば、我々のようにBtoBのシステム開発をやっている開発側からすると自分たちの開発してきたシステムやそのシステムでリリースした機能が実際にお客様にどう貢献しているのか?というのは把握しづらいです。なので「達成感」や「やりがい」というものがどうしても感じづらくなる傾向があるように思います。

例えばですが、お客様と接する営業側が実際のお客様の生の声とか反応を開発側に定期的に連携するようなことが出来れば、開発側も達成感ややりがいを感じられるようになります。さらに、その声を届けてくれた営業側のメンバーに感謝するようにもなり結果的に互いに協力的な関係になる、ということもあるかと思います。

それは、そのまま4つ目の課題である「組織全体を動かす難しさ」に直結します。2つ目に挙げた「組織課題についての緊急性は低い」にも影響を受けていますが、wevoxを導入したとはいえまだまだ上手く活用できているチームは少ないのが現状です。仮に、wevoxをうまく活用できるチームがいくつか生まれたとしても、それが全体に浸透しないと本当の意味で本部全体の組織力向上には繋がりません。

最後の課題は、「組織のビジョンと個人のビジョンの紐付けが弱い」ことです。会社としては、ビジョンやミッションを掲げているけれど、それが個々の仕事とどう結びついているのかが実感しづらい状況ですね。原因はいろいろと考えられますが、どうしても抽象的な表現になりがちな企業のビジョンへ共感している人が少なかったり、そもそも個人のビジョンを持っていない人もいたり…あとは雇用形態の課題もありそうです。

―最近だと、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ、と盛んに叫ばれていますね。

そうですね。「労働契約が会社依存」という、メンバーシップ型雇用だと特に個人ビジョンを見出さなくてもある程度会社にぶら下がってやっていけるという状態になり、無理に自分のやりたい仕事(≒個人ビジョン)を見つける必要性に迫られることもないのかなと思います。

もちろん、NRIでも企業ビジョンを浸透させるような施策や工夫を人事主導で実施しはしています。ただ、ベンチャー企業と比べると、長く続いている企業はビジョンへの共感というよりネームバリューや安定を求めて入社する人が多いと感じており、どうしてもビジョンへの共感は弱くなりがちだな…と個人的に思います。この課題は多くの大企業が抱え、そして仕事へのやりがいや成長を重視する社員が増えている昨今の状況を考えると非常に重要で解決すべき課題だと思います。

―かなり、踏み込んだ課題感について話していただきましたが、他の多くの企業も共感する部分が多いと思います。このぐらい本質的な課題と向き合わないと、抜本的な変化は難しい。

そうですね。それぞれ大きな課題ではありますが、手をこまねいてじっとしているわけではありません。続いて、現状どのような打ち手を取っているか、wevoxの活用を軸にお話していきますね。

仲間の一声がきっかけで加速したwevox導入

―お願いします。

まず1つ目の組織サーベイについては、まさにwevoxの導入がクリティカルな打ち手ですね。サーベイツールは何種類か検討をしましたが、月1回のパルスサーベイを行ううえで、回答のしやすさやシンプルなUIなどの点で、wevoxが最も優れていたと感じますし、また現場のための武器であり、あくまで武器を使う主役は管理職を中心とした現場の皆さんですよという思想が、今後の変化の激しい時代を組織として継続してパフォーマンスを発揮する上では重要と考えていたのでまさにコレだと思いました。つまり、ツールを入れたら終わりではなく、ツールを武器(手段)として使い主体的に組織開発が出来るようになることが最も重要だと考えていました。

wevoxを活用することで、リーダー層が自分たちのチーム状態を把握し、改善のアクションを起こし、またチーム状態を振り返る。こうしたサイクルを繰り返しながら、エンゲージメントの高いチームを生み出していくことを目的としています。

―1年ほど前に数チームでの試験導入をスタートし、時間をかけて検証した後に、今年度から本部全体での運用が開始しました。本部での全体導入はどのように進んでいったのでしょうか?

その経緯が2つ目の課題として挙げた「緊急性の低さ」という意識をどう変えていけばいいかへの対応策になります。大きな組織の中で、こうした新たなツールの導入は一筋縄ではいきません。まして、緊急性が低いとされがちな組織の活性化に関するツールであればなおさらです。

では、どうすればいいか。私が行ったのは、まず数人でもいいので部署内のリーダー層、弊社でいうグループマネージャー(GM)の中で共感してくれる仲間を見つけることでした。これまでの取り組みの中で、組織づくりへの意識が高いGMは把握していたので、彼らに声をかけてwevoxについて、そして目指したい組織づくりについて話したのです。

結果的に、彼らもwevoxの理念には共感してくれましたし、組織状態が可視化されその結果を活用しながらチームづくりをすること自体に興味を持ってくれました。それで1年ほど前に、理解を得られた数チームからトライアルを初めたのです。

―トライアルのポイントについては、「Teamwork Sessionイベントレポート」にて詳しく語っていただいています。そこから、どのように本部全体に広まったのですか?

トライアルを実施していたチームのGMの1人が、副本部長との面談時にwevoxの画面を見せながら「今、こういうのを使って組織づくりを行っているんです」という話を自発的にしてくれたんです。そうしたら、副本部長が興味を持って、すぐにその場で僕が呼ばれて、「大塚、このツールいいじゃん!」って言われたんですよ。呼ばれたときは何事かとびっくりしましたけどね(笑)。

「Teamwork Sessionイベントレポート」にて使用したスライドの一部。トライアルでも様々な施策を実行していることが分かります。

―じゃあ大塚さんからではなく、トライアルで使っていたGMの方から副本部長にwevoxが紹介されたんですね。

そうなんです。それをきっかけに、本部長、副本部長にwevoxを活用した組織活性化活動の企画を提案したのですが、両役員ともエンゲージメントの重要性にも薄々勘付き始めていた時期だったんです。タイミング的にも期初の少し前で、サーベイを切り替えるにはちょうどと良かった。wevoxの方がそれまで行っていたサーベイよりも費用が抑えられ、かつ月1回のサーベイが簡単にできる。タイミング的にも条件的にもバッチリはまり、本部全体での導入が決まりました。

ちょうど本部長、副本部長に正式に提案する時期に、SMBCさんの全行導入のリリースが出たり、コロナ禍の影響で組織状態の可視化の必要性が高まっていた、というのも大きかったですね。時代の流れや、1年かけて数人の仲間とやっていたトライアルの成果など、いろいろなものがガチっと合わさった結果だと思います。

―すばらしいストーリーですね。もともとの質問に戻ると「組織づくりの取り組みは緊急性が低いとされてしまう」という課題に対しては、まずは部分的でもいいから取り組みを始める。そして、その成果をしっかりと横展開して社内に広めていく、ということですね。緊急性を上げようとすると大変骨が折れるから、スモールスタートでまずやっちゃう。

はい、まさにそうです。特にそうした考え方は、大企業にこそ有効ではないでしょうか。真正面から組織づくりの取り組みに重要性を説いたところで、話は理解してもらったとしても、具体的に動き出すまではなかなかいきませんから。少人数でいいから仲間を見つけて、まずは実績を作る。これがとても重要ですね。 

部署間連携、ビジョンなどは引き続き課題に

―ありがとうございます。では、続いて3つ目の部署間の連携について。

ここに関しては、部署間を横断した組織開発プロジェクトを2年ほど続けています。有志が集まり様々な取り組みをしていますが、まだまだ成果が出ているとは言い難いのが現状です。特に違う職種間での連携などは課題として認識しています。

これは、続いての「全体を動かす」にも通じる課題ですね。この課題に対しては、wevoxを活用していい取り組みをしているチームの先行事例を積極的に紹介しています。wevoxはただ導入しても活用しないと意味がありません。「いい動きをしているGMは、スコアからこういう課題を吸い上げ、こういう取り組みをしていて、その成果でチーム状態がこれだけ良くなった」といった具体的な事例を紹介することで、他のチームにwevoxを起点とした取り組みのイメージを持ってもらうようにしています。

もう少しいい事例がたまってきたら、3カ月に1度ぐらいのペースで社内での取り組み事例を共有する研修的なものも用意しようと考えています。こうした取り組みを通じて、少しずつwevoxを活用するチームが増やしていきたいですね。

―大塚さんのような推進担当者の動きとして、大変参考になりますね。5つ目の組織と個人のビジョンについてはいかがでしょうか?

これは、表立って手を打てていないのが正直なところです。個々人のビジョンを見出すことは重要だと思っていますが、仮に本人が自分のビジョンを見出しそこから本当にやりたいことを理解できたとしても、メンバーシップ型雇用形態の企業であれば「はい、ではあなたのやりたい仕事を与えるのでやってください」とはならないですよね。

自分のやりたいことも発信しつつ、周りを上手く巻き込みながら自分のビジョンと会社のビジョンのつながりを見出していくことが重要だと思っていますが、そのような行動に起こせる人は正直少ないと思います。自分のやりたいことを周りのことも気にせずにひとりよがりで発信し、それでもなかなかやりたい仕事が出来ないから会社を離れるという安易に考え行動する人が多いと感じており、この課題は本当に難しいなと思います。

この課題を解決するポイントになるのが、①上司側の「部下の個人ビジョンと会社(組織)ビジョンとの繋がりを見出すことを支援するスキル」、そして②部下側の「自ら積極的に個人ビジョンを考え、描き、発信するスキル」だと思っています。今行っている活動を通して、このあたりのヒントが少しでも掴めたらと思っております。

wevox活用推進者に必要なマインドセットとは?

―wevoxの推進担当者としてどういう取り組みをすればいいか、日々試行錯誤している方がたくさんいます。なかなか結果が出ないで悩む人もいるかと思いますが、推進担当者として大切なマインドセットはありますか?

まず、何よりも大切なのは、自分自身がwevoxの理念に対して共感を持つことです。私自身、これまで組織づくりと向き合う中でwevoxが打ち出している「現場主体の組織づくり」の重要性は身を持って痛感していました。例えば、私のように組織開発を行う部署からのある種の“強制力”がないと取り組みが長続きしなかったり、外部コンサルタントに頼り切ってコストが重なってしまったり…。 現場の当事者意識の欠如からくる弊害はいたるところで感じていました。

そういった背景もあり、導入にあたってwevoxのCS(カスタマーサクセス)メンバーとも話し合う中で、改めて「現場主体の組織づくり」を実現したいという思いが強くなっていったのです。

とはいえ、推進担当者の中にも、もしかしたら「会社が導入を決定したから」という理由でwevoxの活用推進の取り組みをしている方もいらっしゃるかもしれません。特に大きな組織だと、自分が意思決定に関われないケースも多々あるでしょう。ただ、そうしたケースでも「自分や組織にとってwevoxが活用されるメリットは何か」、「それによって自分自身がどういったやりがいを感じられるか」は一度じっくり考えてみるといいのではないでしょうか。それから、自分自身がwevoxを体験することで得られる達成感や喜びをぜひ大切に覚えておいてほしいですね。

―自分自身の体験ですか。

はい。私自身、トライアル時に初めてwevoxオーナーとしてスコアを確認したときはすごくワクワクしました。「ああ、こうやってスコアの変化が分かるから、組織課題が見つかるのか」、「おぉ、他企業の事例なども参考にできるのか」といった気付きや発見も多くあって、刺激的だったことをよく覚えています。こうした体験があると、他のGMにも同じようなワクワク感や刺激を得てほしいという動機にも繋がりますよね。

それに、実際に使い始めると現場から多くの質問がくるので、よりwevoxへの理解を深めながら活用のサポートをしなければいけません。そうしたサポートを通じて、GMがいい取り組みをして、スコアが改善されると自分のことのように嬉しいものです。

―確かに、自分自身がwevoxのどういう点をいいと思ったか、特に初期のころの感覚を大事に覚えておくのは、使い始めの人を巻き込むうえでも重要かもしれませんね。

あとは、先ほども話した「仲間」の存在ですね。少人数でいいので、自分の考えや思いを理解してくれる人、そして実際にアクションに参加してくれる人を見つけることです。心理的安全性にも繋がりますし、勇気ももらえます。wevoxの本部全体導入に繋がったように、仲間からまた別の仲間へ横展開されることもあります。

―ありがとうございます。活用推進担当者のみなさんにとっては非常に励みになるお話です。

とはいえ、私もようやく本部全体の導入がスタートしたところですからね。自分自身、改めて今話したことを肝に銘じながら、活用度の高いチームを増やしていくことに注力していきたいです。

コロナ禍の組織づくりは「見える化と共有」が肝に

―ここ数ヶ月、コロナ禍の影響もあり、組織づくりが困難な局面にあるかと思います。大塚さんのような立場の人の重要性も増してくるのではと思うのですが、どのように感じていますか?

withコロナ時代の組織づくりという意味では変わらないこと、変えなければいけないこと両方あると思います。

まず、本質的に変わらないことは大きく2点。1つは「組織ビジョン、ミッションの提示や共有」。2つ目は上司部下や同僚など、「メンバー同士の関係性構築」。この2点は基本として、withコロナにおいても重要視しなければいけません。

その上で、直接的なコミュニケーションが減ると上記の2点を実現するのが難しくなります。ここがみなさん苦労している点だと思いますが、テクノロジーを活用して適用していくしかないかな、と思います。「使ったことがないツールだから」と敬遠してこれまで通りのやり方を続けていては、この局面は乗り越えられない。逆に言えば、今は失敗してもいいタイミングでもあるんです。初めてのツールでもとにかく使ってみて、合わなければ別のやり方を探ればいい。そうしたフットワークの軽さや柔軟性が重要になってくると考えています。

―変わるチャンスが来ている、と。

はい。ただ、テクノロジーもやみくもに使っていては意味がありません。先ほど挙げた2点のポイントを実現するために、「見える化と共有」を前提にしたテクノロジーの活用が求められているのではないでしょうか。wevoxはまさに「見える化」を実現するツールですし、それ以外でも仕事の成果、あるいは個々人の価値観やビジョンの見える化が重要になってきます。

そして、見える化だけで終わらず、しっかりと共有をして組織のエンゲージメントを高めていく。wevoxもスコアを見て終わりではなく、課題やアクションをメンバー内で議論しながら実行していくことで、初めて本来の価値が発揮されます。その他のツールも同じで、例えば管理職だけが情報を持っていてもツールは最大限活用できません。逆に情報格差を生むデメリットもありますから、どう共有するか、までしっかり考えていく必要があると思います。

―ありがとうございます。ここまで真剣に組織について考える人が社内にいること自体、すばらしいことだと思ってお話を伺っていました。大塚さんはもともとは現場でエンジニアとして働いていたそうですが、どうして今組織開発を担う部署にいるのでしょう? キャリアの歩み方としては少し珍しいのかな、と思うのですが…。

いろいろ紆余曲折がありまして(笑)。課題の部分で個人のビジョンについて言及しましたが、実はかつての自分も明確な個人のビジョンがないままこの会社で働いていたんです。もちろん、クライアントの要望に最大限答えたいとか、スキルアップをしたいとか、仕事に対するエンゲージメントはありました。経験を重ねていき、プロジェクトをまかされるぐらいのポジションにまではキャリアアップしていったのですが、ものすごく多忙でどうしようもない時期があったんですね。

そんなときに、僕は他責になって「上司や会社のせいで今自分はこんな辛い目にあっている…」なんて考えていたんです。

自身のキャリアを振り返りながら、組織開発への熱い思いを語ってくれました。

大塚さんのキャリアを変えた「コーチング」との出会い

―誰しもがありそうな経験です…。

自分のキャリアはこのままでいいんだろうかとか、自分のプロジェクトメンバーに同じような思いをさせないためにどうしたらいいんだろうとか、いろいろと考えているときにふと「コーチング」というスキルがあることを知りました。実際に自分がプロジェクトリーダーとして考えていることや、大事にしていたことが体系化、言語化されていて、感覚的にもすごく近いものを感じたんですよ。

それで、コーチングスキルを学べるスクールに通い始めて、そこで得たノウハウを自分のプロジェクトメンバーに実践してみたんです。忙しい時期だったんですけど、半日ぐらいコーチングや1on1のためだけに時間を取ったりして。社内でそんなことしている人は誰もいなかったので、こそっと始めたんですけどね(笑)。

―すごい。それは勇気のいる行動ですね。

正直なところ、当時は罪悪感というか、「こんなこと業務時間内にしていていいのかな」なんて思いはありました。自分自身も、まだそうしたメンバーと向き合う時間の優先度は下だと捉えていたのでしょう。

それで、こっそりやり続けるのも嫌だったので、当時の上司にその取り組みについて伝えたんです。「1週間のうち、半日ぐらいをコーチングや1on1、そのための準備などに費やしています。もしそれがダメなら残業時間やプライベートの時間でやります」と、正直に話をしたんですよ。その上司がまた厳しい人で、当然叱られるだろうと思っていたんですけど、「君がそういう活動をしてくれてるから、若手も仕事に打ち込んでくれていると思うよ」って言われて。

ビジョンがあれば、仲間ややりがいも見つかる

―なんと! まさかの言葉ですね。

びっくりしましたね。その言葉をきっかけに「現場に近い立ち位置で、コーチングなど活用し人材育成に関わり、プロジェクトに貢献する役割は重要だ」と確信を持つようになったんです。その後、コーチングからさらに視野を広げた組織開発領域も勉強をして、今のような部全体の組織づくりに関わる仕事に、いわゆる社内転職のような形で転身したんです。もちろん、やりたいことに一直線でその後のキャリアも歩めたわけではなく色々ありましたが、その都度、上司や周りの方の理解・協力、そして運やタイミングも重なり今の立ち位置にいます。

そうした経験から、「自分はこの会社で何をしたいのか?」というビジョンを持つ重要性も痛感しました。あの経験がなかったら、もしかしたら私はこの会社にいなかったかもしれません。でも今は「自分の強みであるコーチングや組織開発の知見を活かして、組織の成長に貢献したい」というビジョンがあります。

だからこそ、仲間も見つかるのでしょうし、wevoxのようなツールとも出会い、ワクワクも感じられているのだと思います。例え困難な仕事でも、ビジョン達成の道のりだと思えば、意外にも楽しめるものなんですよね。

大塚さんが取り組む、ビジョンを考えるプロジェクトで実際に使用されているスライドの一部

―大塚さんのように、最初は現場で働きつつも、ビジョンを見つめ直すことで、組織開発の道に進む人が増えると面白いな、とも思いました。

現場でプロジェクトマネージャーを担うぐらいまで経験を積んでいたのは、全く無駄ではないなと思います。wevoxのような新しいツールを導入するとき「現場のことを知らないのに、また余計な手間を増やして…」って感情を抱く人はどうしてもいると思うんです。そうしたときに「業務に追われているのはすごく分かる。だからこそ、チームのエンゲージメントを高めて、いい人間関係、支援ややりがいが生まれる環境で仕事をした方が絶対にメリットになる」と説得力を持って伝えられますからね。

あくまで選択肢の1つではありますが、他の部署、あるいは他の企業でも同じようなキャリアを歩む仲間が増えるといいな、と思います。

―大企業が陥りがちな組織課題とその打ち手、そして大塚さんの強い思いまで今日はたっぷり話していただいてありがとうございました。またぜひ成功事例が増えてきたら、お話をお聞かせください。

はい、もちろんです。まずは本部内で、wevoxを活用し、現場主体で組織改善をできるチームを増やすことが目下の目標です。成功事例をたくさん増やして、それを横展開することは私の重要な役割。少しずつ、変化が起きている兆しはあるので、引き続き自律的に組織を良くしていく活動が、本部全体で当たり前となるように注力していきます。

ABOUT COMPANY企業情報

株式会社野村総合研究所

主な事業: コンサルティング、金融ITソリューション、産業ITソリューション、IT基盤サービス
創業年月日: 1965年4月1日
従業員数: 6,353人(NRIグループ13,278人) 2020年3月31日現在

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