INTERVIEWEE

株式会社MUGENUP 人事部 部長 脇恭介氏

創業メンバーとしてMUGENUPに参画。イラストや3DCGの制作を支援するクラウド型プロジェクト管理ツール「Save Point」の開発に加わり、その後、事業部長として活躍。現在は新しい人事制度の構築など組織の面から企業の成長を支える。

株式会社MUGENUP デジタルクリエイティブ事業部 2D制作部 部長 森田真実氏

3Dエフェクトデザイナー、2DイラストADとしてゲームの受託会社を2社経験。3年前にMUGENUPに入社し、現在に至る。

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「DIO PLAN」。今回は、厚生労働省の「輝くテレワーク賞」を受賞し、総務省の「テレワーク先駆者百選」にも選出されている、テレワークのリーディングカンパニー・株式会社MUGENUPのケースを紹介します。在宅クリエイターを多数抱える組織でもある同社が組織づくりにおいて実践していることを、人事部の脇恭介氏とクリエイティブチームをマネジメントしている森田真実氏に伺いました。

拡大する組織の状態を把握するためにwevoxを活用

―MUGENUPさんはクリエイターの社員を多く抱えていますが、そこも含めてまずは組織の特徴について教えていただけますか?

森田:当社は、在宅のクリエイター社員と連携してイラストや3DCGなどの制作を行う事業をメインで行っています。クリエイティブに関しては大きく2Dと3Dのチームに分かれていて、私がマネジメントしているデジタルクリエイティブ事業部2D制作部は、在宅社員約90名を含めた170名が所属し、主にゲーム業界のクライアント向けにイラスト制作を行っています。

―全社員数240名のうちの170名ということは、社内で一番大きな部署ですね。

森田:そうなりますね。しかもメンバーの半数以上が入社の時点から常時在宅勤務という特徴の組織になります。

―創業から9年間で240名の組織ということで、組織拡大のスピードが早いと思うのですが、その間の苦労などがあれば教えていただけますか?

脇:一番は、在宅社員を含めた組織づくりの難しさですね。例えば、お互いに適した距離感がどこにあるのかを探すのは一つの課題だったように思います。役割の定義も含めて、どこからどこまでを在宅社員に求めていくのかといったことですね。

森田:そこは本当に難しいですよね。

脇:そのためにどういったコミュニケーションの手段をとったほうがいいのか、例えばオンラインで会話してチームで動いた方がいいのか、あるいはチャットだけでも十分なのか、を探るのは難しかったです。

私が入社した時は、まだ社員数が4名で、そこから組織が拡大していく経過をずっと見てきているのですが、人数が急激に増えることによる組織の歪みはたしかにありましたし、雰囲気が変わっていく中で一体感をどう作っていくかといった課題は常にあったように思います。

―そこはコミュニケーションをとりながら解決してきたのですか?

脇:そうですね。組織拡大に適切に対処していくという意味でも「組織の状態を知る必要があるな」と思うようになりましたね。

―wevoxの導入をご検討いただいたのは、そうした理由からでしょうか?

脇:まさにそうですね。組織が大きくなっていく中で、組織全体が見渡せなくなったため、組織の状態を見るためのツールとしてwevoxが必要だと感じました。

リーダー層をうまく巻き込みながら運用していくコツは?

―なぜwevoxを選んでいただいたのでしょうか?

脇:人事の視点で見た時の「導入のしやすさ」ですね。半日もかからずにセットアップができて、「このボタンを押せばアンケートまでいける」というところまで持っていけたので、単純に使いやすいと思いました。他社のサーベイとの比較でいうと、要素が多すぎずシンプルなところが、当社のような初めて使う企業にはとっつきやすかったです。

―森田さんは現場のマネージャーとして導入に関わられたと思いますが、当時のチームはどんな状態だったのですか?

森田:実は、導入の少し前にチーム編成を大きく変えたんです。それまでは、私ともう2人のマネージャーが大きく3つのチームに分かれて全員を束ねていたのですが、それでも一つ一つの規模が大きすぎると感じていました。そこで全体を多数のチームに分割し、一つ一つのチームの人数を少なくして、それぞれにミドルリーダーを新たに設置しました。ミドルリーダーがチームを見て、ミドルリーダーをマネージャーである私たちが束ねていく体制にしたんです。

―かなり大きな体制変更ですね。

森田:そのため、マネージャーになりたての人たちがすごく多い組織だったんです。どういう風にマネジメントしたらいいのか、何に気を配ればいいのかといったノウハウがない状態がしばらく続き、それもあって全体の士気が少し落ち始め、メンバーのことを細かく見れていない雰囲気がありました。

私もこういうツールを使うのは初めてだったのですが、みんなが同じ内容についてフラットに答え、それが数値化でき、俯瞰して組織状態を見ることができるというのは、すごくいいなと感じました。

―チームのみなさんの反応は?

森田:正直、「なんでこれをやるんだろう」「何に結びつくのか」といったことを浸透させきれないところで始まってしまった雰囲気はありました。私や1つ下の階層となるリーダーたちが、wevoxを実施する意味についてもう少し噛み砕いて下に伝えておけばよかったかもしれません。

脇:運用については、昨年9月に第1回のサーベイ配信を行い、その後は2、3ヶ月に1回という頻度で進めています。現場の負担を避け、結果を分析してマネジメントに反映させる時間も必要だと思い、それくらいのスパンで実施しています。

―サーベイ後のフローについては?

脇:デジタルクリエイティブ事業部については、私と森田で数値を見てチームごとの状態を分析し、リーダーたちに共有していくという流れで進めています。

森田:私からリーダーに落とす際は、そのチームの傾向や前回からの変化など順を追って見ていきながら、対策方法を1対1で相談するようにしています。

―現場のリーダーを巻き込むコツはありますか?というのも、「導入を決めた人」と「実際に動かす現場」の意識の乖離に悩むケースが多いようで…。

森田:あまりそのような苦労はありませんでした。割と最初のタイミングから「分析結果をもとに一緒にディスカッションをしよう」という感じで、現場のリーダーをうまく巻き込めたのかなと思います。

一つ気をつけたことがあるとしたら、こちらが勝手に施策を決めて下ろさないようにしたことです。数字のデータとしてはこういうものが出ていて、そこに対してリーダー自身がどの程度認識があるのか、そこから毎回話していました。認識がちゃんとあれば、そこから何をすべきか一緒に考えることができます。逆に認識がなければ、「一緒に振り返ってみようか」という感じで進めてきたので、思ったほどの乖離はなかったように思います。

独自の「課題シート」を使って共通認識をとる

脇:当社独自の活用方法としては「課題シート」というものがあります。これは最初にwevoxの運用を担当していたメンバーが独自に作ったもので、現在彼女は産休中なのですが、そのまま引き継いで使っています。「課題シート」とは、リーダーに数値をただ渡すのではなく、出てきた数値の中から彼ら自身が気になったところを書いて埋めてもらい、共にディスカッションするためのフォーマットのようなものです。事前に枠組みを与えることで、リーダーが自ら考えるきっかけを作れています。

実際に使用されている課題シート

―「課題シート」をどんな風に活用しているのか、もう少し教えていただけますか?

森田:サーベイで見えてきたいろんな数値の中で、リーダー自身がチームの強みや弱みを客観的に理解できているのか、それを確認する意味合いが強いかもしれません。注力するキードライバーを設定させるためのものという感じですね。

振り返ると、初回や2回目の調査後はリーダーによっては着眼点がずれていたようで、埋めてもらったシートを見ても「本当にここが課題なの?」ということが結構ありました。だからこそ、「課題シート」をもとにディスカッションを進める中で「実はこっちじゃないの?」という話もできたように思います。リーダーそれぞれがどこを見ていて何を大事にしているのかが、透けて見えたりもしましたね。

―なるほど。

森田:着眼点がずれていなければ、あとは実際のアクションプランをディスカッションしていきます。

―「課題シート」を使ったことで出てきた、効果的なアクションはありましたか?

森田:複数項目の中から1つだけを取り上げるのは難しいですが、強いていえばコミュニケーションの見直しは、複数のチームが取り組んでいます。実際のチーム内でのコミュニケーションはリーダーの判断に任せていますが、私の立場で客観的に見た時に、気になる点や感じるところをアドバイスしてみたりしました。

―ということは、「課題シート」で重視すべきキードライバーの共通認識を取ったうえで、リーダーに施策を打ってもらうと。

森田:そういうことですね。リーダーと共通認識が取れているからこそ、あまり的外れな施策は出てこないというメリットがあります。

脇:「課題シート」は今のところ森田の部署だけでしか使っていません。規模が大きく、レポートラインが複層的な組織だからこそ認識を共有するために「課題シート」が必要だという判断です。今後は全社的に活用していけたらいいですね。

テレワーク環境下だからこそエンゲージメントに着目したい

―在宅社員が多いということで、テレワークの状況下における組織づくりについても伺えますでしょうか? 最近は特に関心が高まっているテーマです。

脇:当社では、平常時から90人くらいが在宅社員だったんですが、今回のコロナウイルスへの対応で全社員が在宅勤務に切り替わりました。行ったアンケートを見る限り、ほとんどの人が「通勤がない」ことをメリットにあげていて、通勤時間が無くなる分、「自分の時間を増やせている」と喜ぶ声は多いですね。働きやすさにもつながっているようです。

森田:評判はかなりいいですよね。

―働きやすさやプライベート時間の確保というメリットがある一方で、組織の一体感という点が気になるのですが、どうでしょうか?

脇:一体感でいうと、そこまで損なわれていないと感じています。特に制作部門は普段から雑談用のチャットがたくさんあって、以前と変わらず会話量が多く、賑わっているようですので、在宅だから一体感が減ったみたいなことはなさそうです。ただ、制作以外の部署、例えばエンジニアや企画部門などでは、口頭での有機的なコミュニケーションがしづらいという声はどうしてもありますね。

森田:そういう声を拾っていく意味でも、wevoxによって組織の可視化ができているのはありがたいですよね。

―まさにテレワーク環境下におけるエンゲージメントの価値、という部分でしょうか?

脇:そうですね。どこに変化が起きているかを知れるという意味で、すごく参考になると思っています。全員が在宅勤務だと社員の様子が物理的に見えないわけですから、数値でわかるのはありがたいんです。今後、テレワーク環境下でのマネジメントを考えていくために、課題を議論するための手助けとしてさらにwevoxを役立てていきたいと思っています。

―テレワークのリーディングカンパニーとして、今後考えていることはありますか?

脇:ありがたいことに、当社のテレワークへの取り組みが評価され、厚生労働省の「輝くテレワーク賞」や総務省の「テレワーク先駆者百選」に選んでいただきました。その流れでセミナーをやらせていただく事もあります。また、クラウド型のプロジェクト管理ツールを自社プロダクトとして持っています。そうした環境を活用して、積極的に情報発信をしていきたいと思っていますね。

「組織づくり」と「評価制度の構築」は両輪

―改めて伺いたいのですが、お二人はMUGENUPという組織のどこに魅力を感じていらっしゃいますか?

脇:全体的に柔軟な組織ではあるのかなと思います。今回も早いタイミングから在宅勤務に切り替えることができました。これは、平時からリモートワークの仕組みを取り入れており、企業風土がうまくマッチしたという要因も大きかったと考えています。クリエイティブ系の社員や扱う仕事の内容をおさえて、働き方を柔軟に考えることで培われた、MUGENUPの魅力かなと思います。

森田:業界内でも年齢層が比較的若いということですね。「こういう風にやりたい」という気持ちを容認してくれて、チャレンジさせてくれる風土があります。現場のクリエイター目線で見ると、周りにたくさんのクリエイターがいる環境は、それだけで大きなプラスになっているはずです。フリーで働きたいという志向を持っている人にとっても、一人では得られない経験ができる場所だと思います。

―最後に、今後どういう組織を作っていきたいとお考えですか?

脇:今回の新型コロナウイルスへの対応であらためて感じましたが、状況の変化に柔軟な組織でありたいです。柔軟さを持ち続けながら、新しい働き方や新しい組織作りに向き合っていけたらいいなと思っています。

その時に忘れてはいけないのが、社員の評価の話です。働き方が変われば評価の仕方も変わっていきます。今後、新しい評価のあり方についても同時に考えていきたいと思っています。

森田:今回の新型コロナウイルスの影響は全世界的なものですから、テレワークの潮流は簡単にはなくならないでしょう。この経験を前向きに生かしていきたいです。

あとは、うちの部署に限った話にはなるのですが、女性比率が高く、20代後半から30代前半の社員が多いため、今後は産休や育休が増えていくと思われます。柔軟性という意味でも、色々な働き方を選べる組織にはしていきたいです。その中には間違いなく在宅勤務というの選択肢が重要になるため、脇がいったように「評価」の部分をちゃんと紐付け、社員が働き方に応じて正しく、そして気持ちよく勤務できるよう整えていければと考えています。

―どうもありがとうございました!

 

(このインタビューは、新型コロナウィルス感染拡大防止のためオンラインで実施しました。)

ABOUT COMPANY企業情報

株式会社MUGENUP

主な事業: クラウドソーシング事業、メディア事業、コンテンツ制作及びライセンス・マーチャンダイジング事業、人材コンサルティング事業
設立年月日: 2011年6月14日
従業員数: 240人(アルバイト含む)

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