INTERVIEWEE

CTCエスピー株式会社 人事総務部部長 岡田俊樹氏

2000年中途入社で伊藤忠テクノソリューションズ株式会社に入社。2005年人事部人材開発課長(社員の採用・育成等)、2015年流通・EP事業グループ企画統括部 人事企画課長(人事制度運用設計・労務管理等)を経て、2019年より現職。厚生労働省高度外国人材活用に向けた環境整備に関する調査検討委員(2010年度)。

実践的な組織づくり戦略やエンゲージメント解析ツール「wevox」の活用方法を紹介する「DIO PLAN」。今回は、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のグループ会社で、IT関連機器やソフトウェアの販売を行うCTCエスピー株式会社のケースを紹介します。同社は人事とマーケティングチームが連携してワークショップを実施し、会社の「スローガン」を作ることで経営理念の浸透を進めています。ワークショップの詳細や具体的な取り組み内容、そこでどうwevoxを活用したのかなど、人事総務部部長の岡田氏に伺いました。

マーケティングチームと連携し、ワークショップで「スローガン」を作成

―wevoxを導入したきっかけを教えてください。

岡田:私は2年前までCTCの事業グループで人事を担当していて、そこでwevoxの導入と運用を経験していました。当時の事業担当役員が経営方針で掲げていたキーワードのひとつに「元気」がありました。「業績も向上させて、社員も元気にしたい」そんな経営の想いを具現化するにあたり、何か客観的に見る指標がないかと調べていたところ、エンゲージメントの概念と共にwevoxを知ったんです。

事業グループといっても、CTCの中では一番大きいグループで、社員だけでも1600名ほど、外部の人も入れると3000人を超える大きな組織でした。そこでwevoxを導入し、アセスメントを始めたわけですが、サーベイを実施したことでたくさんの課題が見えたんです。そこから実際に足を使った社員インタビューや現場調整などのフィールドワークを通じて、いろいろなことを解決できた経験があったわけです。

昨年、CTCエスピーに異動してきたのですが、会社全体・社員の状況の可視化や経営にとっても有益な情報を入手出来るプラットフォームとして、wevox導入を上申して導入をすることになりました。

―何か具体的な課題はあったのでしょうか?

昨年度に経営と社員との座談会を実施して、経営が社員の声を直接耳にする機会があり、いろいろな社員の要望や意見を耳にされていました。当然のことながら個々人の多様な声があったわけなのですが、そういった課題解決に向けてどういったアプローチをすれば良いのかが今ひとつハッキリしていなかったんです。

―導入は昨年の8月ですね。

はい。実際にパルスサーベイを始めたところ、前の組織のときと同じ傾向で、業績は順調に伸びているのに組織や社員の状況は必ずしも良い状態とは言えませんでした。ただ、フィールドワークを通じて見えてきた状況は異なり、多くの社員が「自分たちが進む方向に迷っている・分からない」という課題が見えてきたんです。これは前組織とは異なる傾向で、ここから「経営方針の浸透」というテーマに対してのアプローチを考え始めました。

―状態は同じなのに、中身が違うというのは興味深いですね。

はい。スコアだけ見れば同じ傾向に見えるのに、中身が全然違ったんです。

―そこで、施策を考え始めたということでしょうか?

そうですね。まず考えたのが、もっとも現場への影響力が強いであろう課長層と、これから近未来に会社の中心となるであろう若手社員にターゲットを絞って、会社のこれからを考えていくワークショップをやってみようということでした。

一方で、ほぼ同じタイミングでしたが、マーケティングの部署が設立30周年を機に、会社に対する帰属意識も含めた「インナーブランディングの強化」を進めたいと考えていたんです。ちょうど人事としても同じような課題意識を持っていて、エンゲージメントを通じて見えてきたこともあったので、そのプロジェクトと我々のワークショップをコラボさせて、1つのアウトプットを出そうと考えました。

具体的には、社員発で30周年のスローガンを考えること、そしてそのためのロゴを作ることでした。会社の方向性をみんなで考え、作り出すきっかけを生み出そうと考えたんです。

社員への問いかけをしながら、会社の方向性を一緒に考えていく

―順番にお伺いしていきたいのですが、まず、wevoxはどのように運用していますか?

毎月のパルスサーベイを全社員対象に実施しており、運用は全て人事総務部で行っています。社員数は協力会社の皆様を除くと180名程なので、そんなにリソースをかけなくてもできる規模だと思っていますね。

実際の活動としては、サーベイの結果を受けて社員へのヒアリングなどフィールドワークを可能な限り行っています。スコアの裏にある本質は、やはり社員の生の声を聞いてみないと分かりません。たとえスコアが低くても一過性のものや業務の特性上仕方ないものはフォロー不要ですし、総合スコアは普通でも1か所だけ極端にスコアが低い場合などは課題を抱えてたりします。あくまでスコアの裏にある本質を理解することが重要ですので、そのための活動を組み合わせることはとても重要です。

また、当社は社員全員が自分の所属する組織のスコアを閲覧することが可能です。これによりエンゲージメントスコアを自分事として捉え、所属組織員全員がその本質を理解して、自律的に課題解決に取り組むことだって出来るのです。

私としてはwevoxの結果を踏まえて社員の生の声を聞ける機会を増やすことは、現場の状況を知るためにも有効な機会であり、そういった機会を意図的に作ってきました。

―ワークショップの中身について教えてください。具体的にどういう対話・投げかけをしたのですか?

昨年8月に1回目を行い、今年2月までの7カ月間で6回ほど実施しました。一番の目的は「CTC エスピーをどういう会社にしたいの?」を考えることです。そのための前段階として、「キャリア研修」のようなことから始め、自分のなりたい姿を出発点に、会社の将来を考える構成にしたのです。

具体的には、オンライン才能診断テストのようなアセスメントを入れたりして、「まずはみなさん自身を理解してください」という話をしました。その中で、「みなさんがキャリアアップをするために必要なものは?」「いい会社にしていくためには何ができる?」といった投げかけをしていきながら、彼らに向き合いつつ、会社の方向性を考えるためのきっかけづくりを行いました。

ワークショップの様子

―ワークショップを進めるうえで、大事にしたことや気をつけたことを教えてください。

前述の通り、私自身が皆さんのこと、現場のことを理解したいという気持ちがあったので、できるだけ相互理解につながるような取り組みは意識しました。そのときに気をつけたのは、彼らが言葉にしてきたことに対してしっかり返すことです。それが経営に対する言葉であれば、しっかり経営に届けて、「こういうリアクションだったよ」と必ずフィードバックする。ワークショップは1回限りではなく連続で行うものだったので、「前回こんな議論があったので、経営陣のいる会議で話してみたらこんな声が返ってきたよ」みたいにすぐ動いて共有するようにしていました。

また、いくつかの施策の提案についてはすぐにトライアルでやってみたり、とにかく彼らの言葉をしっかり受け止めることで、意見しやすい状況をつくろうとは常に考えていましたね。

それぞれの役割を意識し、実りのあるワークショップに

―ワークショップでスローガンやロゴを考える取り組みを行なったとのことですが、具体的にどのように進めたのですか?

CTCグループには「Challenging Tomorrows Change」という、グループ全体の企業理念を示すワードがあるのですが、当社の社員が一体化するには「自分達の言葉」が必要でした。マーケティングチームからも、そういう「拠り所とする言葉」として、新たに企業理念を作りたいという話があり、いろいろ議論を重ねて結果的に「スローガン」を皆で考えることになったというのがその経緯です。

―ちなみに、そのワークショップには何人くらい参加していたのですか?

全部で50人程度です。課長層と、社内で「アンダー10Y」と呼んでいる「社会人歴10年以下の若手社員」が毎回参加しました。

スローガンを決めていく流れとしては、まずは参加者である彼らにスポットライトを当てて、「自分たちはどうなっていきたい」という内容で色々とヒアリングを行っていきました。ただ、その50人だけのスローガンでは意味がないので、課題として現場へのインタビューをしてもらうことにしたんです。

―現場の声を吸い上げてきてもらうと。

そうですね。でもそれだけではなく、彼らを伝道師にして、現場を巻き込んでくれることを期待したんです。現場に「会社はそういうことをやっているんだ」と理解してもらうのと同時に、「自分の声も反映される」と実感を持ってほしかったというのもあります。巻き込みのプロセスを入れて、議論しながら収斂させていったという感じですね。

―課長層と若手で、どんな役割分担をしたのでしょうか?

現場へのヒアリングは、主に若手にお願いしました。自部署の先輩だと聞きにくいところがあるかもしれないと思ったので、他部署の人にヒアリングしてもらいました。

課長層に対しては、毎回ワークショップの冒頭でサーベイの結果を見てもらい、会社の方向性と照らし合いながら、「マネージャーである自分たちはどういう行動をとったらいいか」を話し合うようにしました。まさにwevoxのスコアを活用してその時々の各チームの状況をきちんと把握しながら、「会社が目指すところ」と「好き勝手を言う若手たち」をつないでいく役割を担ってもらう、そんなイメージです。

―課長層はマネジメントへの意識が高まり、若手にとっては参加することで会社への帰属意識が強まる、ということですよね。それぞれの役割をうまく取り入れた、すごく理想的な進め方だと感じました。

ありがとうございます。だからこそ、人事の動きは実はキーだったかもしれません。いうならば、私たちが「ハブ」になり、その場を繋いでいくというか。

ちなみに、でき上がったスローガンは「ひらめき、むすんで、その先へ」というものです。当社の事業は、いろいろなIT商材をインテグレートしてお客様に提供していくというものですから、その意味も込めて繋ぐのではなく「むすぶ」という言葉に拘ったりと、皆の「思い」がこもったスローガンができたと思っています。

―経営陣から反応はありましたか?

実はいくつかの最終候補の中から経営陣が選んだのは、別のスローガンだったんです。ただ、当社の次代を担うメンバーが考えて賛同したものなので、と最終的には社長や経営陣も納得してくださいました。

コロナ禍における組織の健康状態チェックにも活用

―ワークショップの実施や、スローガンの完成などを経て、社内に変化は感じますか?

人事とマーケティングチームもそうですが、社員間でも今までにないコラボが多く生まれたことで、社内の人脈が広がったという声は聞こえてきています。社内の活性化につながりましたね。あとは会社のビジョンや向かう方向性を考えるきっかけになったので、「じゃあこうやっていこう」というような一体感が生まれ始めたと感じています。

wevoxについても、組織の健康状態を気にしつつ、ビジネスの活動を進めていくという癖がついたのは良かったと思います。特に、今年からは課単位まで公開するようにしたので、それぞれが自分の所属している組織の健康状態を気にするようになっています。より細かく見られるようになったことで、コロナ禍であっても「おかしいな」と思えるような数値の動きがあるときにはすぐにアプローチしてみると、何かしらの異変をキャッチアップできることもある。そういう意味でも、組織の健康状態を気にする土壌ができたのは良かったと思っています。

―スコアに反映された部分はありますか?

ありますね。例えば、パワフルなマネージャーがいる部署はスコアが良く、業績も上がっています。メンバーと話してもみんなイキイキとしているんです。

一方で、部署としてうまく活用しているところだけでなく、うまくいかずに沈んでしまっている部署もあったりするので、積極的にヒアリングを続けながら悩みを吸い上げ、打ち手を一緒に考えていければと考えています。

―今後の動きで考えていることはありますか?

おかげさまで経営方針や会社が向かっていく方向について理解は深まったのですが、「じゃあ具体的に何をするの?」という部分に対してはまだまだ納得感や理解が深まっていないところがあるようです。経営方針についてのスコアはまだ上げられる余地があると感じているので、つい先日、経営陣のミーティングの場で「全社員を巻き込んだ新たなワークショップ」の企画を提案したところです。

wevoxで得られた社員の声から「次の波」を作り、組織を盛り上げていく

―人事の視点で、エンゲージメントという概念をどう活用していけると考えていますか?

すごく難しい質問ですよね。エンゲージメントという概念自体が漠然としていて、モチベーションとも違うし、その本質を捉えるのには、人間相手だけにプラスアルファの活動は欠かせないということもあります。ただ、組織や社員の状態を把握する初期の情報としては、大変有効であることは言えると思います。

私自身が人事としてビジョンとして持っているのは「社員がイキイキと働ける環境を作る」ということです。1人1人の社員のキャリアと向き合える人事でありたい。

生き生きと働ける環境といっても、人によって違いますよね。そういう意味では私自身はエンゲージメントに着目することで、人事としての視野は広がっていると感じています。ときには、メンタルヘルスのような視点もあれば、一人ひとりが内々的に感じている感情や思考を知れるという視点もあります。様々な情報をキャッチアップできるということは、人事としてそれらを扱える知識やスキルも持っておかないといけないなと思っています。

―そうやって見えてきたものが「次を考えていくエネルギー」になると。

それは間違いないですね。実際にワークショップなどを絡めた大きなムーブメントにもつなげていけますし、一方では個人の状況に目を向けて、個別に声をかけてリフレッシュにつなげるといった動きも可能です。大小問わず、次を考えていくためのヒントになると思いますね。

―wevoxを導入したことで、人事の業務で変わった部分はありますか?

今までは裏付けもなく「こうだと思う」といっていたことに対して、データをもとにしっかり話せるようになったのは大きいです。そこにフィールドワークも取り入れられれば、自分たちの目で確かめることもできるわけですから、いろいろなことに自信を持って発信できるようになったかもしれませんね。

―最後になりますが、今後作っていきたい組織像を教えてください。

まず全社的な話でいうと、経営方針を考えるところでwevoxをかなり活用しているので、もっと経営方針を叶えるための組織にしていかないといけないと考えています。そこについては、経営陣もwevoxのデータにはすごく興味を持っているので、今後もっと活かされていくはずです。

wevoxのデータから会社や組織のいろんなことが見えるので、スコアをきっかけにして、社員同士がもっと向き合えるような風土を作っていきたいですね。

人事としては、上がってきた声に対して、いかにフィードバックするかが本当に大事だと思っています。社員一人ひとりが自分や組織の状態を見られる環境にしておき、そこで感じた声をきちんと拾っていくことが、組織づくりにおいて大事だと思いますね。

―その声を生かして「次の波」をどう作っていくかがポイントだと。

まさに、それが私たちの役割だと思っています。

―どうもありがとうございました!

ABOUT COMPANY企業情報

CTCエスピー株式会社

主な事業: ネットワーク/セキュリティ関連機器の販売
ストレージ関連機器・ソフトウェアの販売
関連周辺機器およびサプライ品の販売
その他上記事業に関わるコンサルティング・導入/構築・サポート
設立年月: 1990年4月
従業員数: 221人(2020年4月1日現在)

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