INTERVIEWEE

and factory株式会社 執行役員 梅谷雄紀氏

2007年新卒でパーソルキャリア(旧インテリジェンス)入社。その後、インテリジェンス創業者鎌田和彦氏がオーナーである不動産投資会社にて人事責任者を担った後、人材紹介/採用コンサルティング会社を起業し、and factory社に参画。

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「DIO PLAN」。今回お話を伺ったのは、創業からわずか4年というスピードでマザーズ上場を成し遂げたand factory株式会社人事担当の執行役員である梅谷雄紀さんです。アプリ事業が好調を維持し、IoTなど新領域にも挑戦する同社は、2017年からwevoxを導入し、積極的に活用を続けています。月に一度のサーベイでこれまで、25回以上数値と向き合ってきたという梅谷さんは、「数値に一喜一憂するのではなく、変化を見ることが大切」だと言います。梅谷さんが語る、急成長を支えるwevox活用法とは?

「絶対数値」に振り回されない

今日は、and factoryの急成長を支える梅谷さんが、人事担当役員としてどのようにエンゲージメントスコアと向かいながら、組織づくりを行っているのか、お聞かせください。

はい。「wevox」はかなり活用していて、すでに弊社では組織づくりにおいては欠かせないツールとなっています。20173月から導入をしていて、2年以上の運用の中で培った知見を共有できればと思います。

よろしくお願いします。まず、そもそもの導入のきっかけについて教えていただけますか?

創業当時から、代表の小原崇幹を始め役員は皆「人」がこの会社の何よりの力の源だという認識は持っていました。ですから、人数が少ない内から人事担当役員を置いてましたし、組織づくりにはとても力を入れている方だったと思います。ただ、諸々の人事施策がうまくいっているのか、各々が感じている組織状態が正しいのかどうか、ちゃんと視覚化、共通化できるものがなかった。それで、いろいろなツールを検討した結果、エンゲージメントスコアを数値化してくれて、カスタマイズ性も高い「wevox」の導入を決めたのです。

ありがとうございます。今は、どのような形で運用されていますか?

サーベイは月に一度、匿名で行っています。その集計結果をもとに、私が分析を行い、役員会で結果報告と今後どのようなアクションを取っていくか共有。その共有を踏まえて、役員がそれぞれ直轄のチームに、wevoxのスコアの状況、これから取られるアクションについて話をします。役員会では、wevoxについて議題の時間が取られていますし、サーベイ後のチーム会では必ず役員からwevoxをベースにした話がされるので、かなり組織運営に根付いています。

どのようなアクションがwevoxをきっかけに生まれたのでしょうか?

以前、DIOでもご紹介した、ランダムで役員とランチに行く「シャッフル1on1」が代表的ですね。このアクションについては、上司との関係のスコアや他部署との関係性にネガティブな変化が見られたので、役員会で提案をした結果実行されました。他部署の役員と食事をしながら、話をするというアクションで、上司との関係性強化や横の繋がりづくりなどに効果を発揮しています。

それから、マネジメント体制の変更を行い、ミドルマネジメント層の新設も行いました。それまでは、役員とメンバーのみの階層でしたが、組織の拡大に伴い、上司との関係性にバラツキが見られるようになったからです。とはいえ、ミドルマネージャーはヒエラルキーを増設するものではなく、あくまでも役割です。組織拡大が健全に進み、文化継承や当社の強みがより強化されることを狙って設定しました。

あとは、コメント欄の書き込みへの対応も大切にしていて、スタンディングデスクの設置や会社の飲み会のメニューの変更など細かいところも対応しています。

スコアの分析はどのように行っていますか?

大切にしているのは、「絶対数値」だけを見ないようにしていることです。つまり、数値を単体で見ない、ということです。長く続けていると、極端に高い数値や低い数値が出ることもあると思います。それに一喜一憂するのではなく、「なぜ変化が起きたのか?」という視点で、スコアを分析するようにしています。

-変化、ですか。

はい。長く続けていくと、変化の傾向も掴めるようになってきます。例えば、半年に一度の評価前後とか、サービスに大きな変更があったタイミングとかですね。そういった事業環境を踏まえながら、組織の健康状態を診断して、病気にならないように予防する、という感覚で分析を行っています。

-なるほど。既に病気になっているのはどこか、というのを診るのではなく、ちょっと調子が落ちてきているな、という予兆を診るためのツールとして活用しているということですね。

そうですね。事業環境の変化などによって、調子が落ちそうな気配があればすぐに役員にアクションを取ってもらうように促します。その結果、改善されれば、そのアクションが効いたということ。いい変化が見られなければ、また違うアクションを試してみる。そうした試行錯誤を25回以上のサーベイで繰り返しています。

 

数値上では見えない、肌感覚も重要

-そうした活用方法は、どのタイミングで掴めてきたのでしょうか?

最初は数値が出る仕組みがわからなくて、どうしたらいいか戸惑いもありました。ボードメンバーから「なんで、あのサーベイからこの数値が出るの?」と聞かれても、うまく答えられなくて。だから、wevoxのカスタマーサポートに協力してもらって、どの質問がどのキードライバーに関連しているのかを教えてもらったんです。その上で、この数値の変化は、この項目とこの項目が関係しているんじゃないか、というのを自分なりに考える努力を25回以上続けた結果、今の活用法に至っています。

-数値の変化を分析していく中で、キードライバー同士の関係性での印象的な発見はありましたか?

企業理念、上司との関係性、職務の関連性ですね。これまでの場合役員がチームマネージャーを兼務していたので、上司との関係性のスコアが低いときは、そもそもの会社の方向性との不一致に原因があると思っていました。しかし、企業理念のスコアは高いのに、上司との関係性でネガティブな結果が出てきたことがあった。その原因を考え、職務のキードライバーにも原因があるんじゃないか、という仮説を立てたのです。「会社の向かっている方向性に関しては悪く思っていないけど、裁量や仕事量といった部分でミスマッチが起き、結果的に上司との関係性が悪くなっている状態」なのではないか。

-会社のビジョンには共感しているけど、目の前のプロジェクトではネガティブな感情を抱いている。

そうですね。そう考えると、役員からメンバーへの指揮命令のどこかで不備が起きているな、ということが見えてくるわけです。だから、そこを見直して職務のキードライバーが上がるようなコミュニケーションを各役員に取ってもらうようにし、結果的に改善されました。この分析がなければ、理念の浸透にばかり意識がいって、クリティカルな対応ができていなかったかもしれません。

-かなり、具体的に事象をイメージしているんですね。

数値を見ながらどのような事象が起きているか具体的にイメージしながら、事業環境と組織、人の状態を考えながら読み解いています。だから、wevoxの活用は、事業環境と組織、人の状態を把握できる人が行った方がより効果はあると個人的には思っています。

-まさに、人事担当の役員というポジションはそのひとつですよね。

はい。ボードメンバーのMTGは毎週行っているので、事業の様子はわかりますし、私はよくメンバーの飲み会に顔を出して、コミュニケーションをするように努めています。そうすると、wevoxの数値だけでなく、肌感覚としてちょっと雲行きがおかしいな、というのを感じるようになる。そうした感覚も、数値を分析する上では大事にしています。数値上だけでは見えないことも、当然たくさんありますからね。

 

アクションの本質はコミュニケーション

-対応策として提案するアクションはどのように考えていますか?

個人的には、全てのアクションはコミュニケーションに集約されると思っています。ビジョンが伝わっていないのであれば、改めて代表から話をする、評価への納得感がないのであれば、目標設定時のコンセンサスを重視したり、中間フィードバックを丁寧に行うというアクションをする。「1to1」なのか、「1toALL」なのかは課題に応じて決まりますが、最終的には適切なコミュニケーションをどう取るかでアクションを考えるようにしています。

-なるほど、コミュニケーションに焦点を絞っているのですね。

そうすることで、「次のアクションはどうすればいいだろう?」という漠然とした悩みではなく、「今月はどういうコミュニケーションアクションを取ればいいだろう?」という具体的な思考が可能になります。ですので、何が課題となっていて、コミュニケーション不全が起きているのかの把握が何よりも重要になってきます。

-アクションの前に、課題の抽出がちゃんとできているかが重要。

課題の抽出がしっかりとできていないのに、焦ってアクションに意識がいってしまうのは良くないでしょうね。もう一度立ち止まって、何が課題なのか、なぜそうした事象が起きているのかを徹底的に分析することが大切だと思います。私もサーベイの結果が出てから、次の役員会までの1週間は一番頭を使っています。

and factory4年というスピードでマザーズ上場を果たしました。人事担当役員という立場から、この急成長を可能にした要因はどこにあると考えていますか?

あくまで、人事担当役員としての視点からですがwevoxを活用することで「問題の先読み」が可能になったことが組織づくりの点ではかなり有益だと感じています。退職リスク、仕事へのパフォーマンスに繋がる不満、これらを症状が出る、あるいは悪化する前に対応できている。それによって、ハイパフォーマンスを発揮できる組織状態を維持でき、成長の連続に繋がっていると思います。

-事前に先読みできた問題としては、例えばどのようなものがありますか?

我々はアプリ事業を行っているので、急なレギュレーションの変化が業績に悪影響を及ぼすことも少なくありません。そうした状況があったとき、どうしても達成目標に届かない場合も出てくる。そうした事業環境になったとき、不安を感じるメンバーは多いので、スコアは変動しやすい傾向にあります。

そうした傾向を把握できているので、業績に悪影響を及ぼすような外的要因が発生した場合、事前に役員からメンバーに「こういう状況だから、目標達成が難しいチーム、メンバーが出てくるかもしれない。だから、外的要因も踏まえて評価はする。それに対応策は取っているから、業績への悪影響は一時的なものに過ぎないので、安心してほしい」といったことを説明してもらうようにしました。こうした情報は経営に大きく関わるので役員レベルであれば周知されているのですが、一人ひとりのメンバーにまで共有されているかどうかは意識しないと漏れてしまう可能性もあります。伝え漏れがあって、不安を感じながら業務をするような状況にメンバーを置きたくないですから。

-そうしたことをボードメンバーMTGで伝えながら、メンバーと丁寧にコミュニケーションを取るようにしているのですね。まさに、健康診断をして、病気を予防するためにアドバイスをする先生のようです。

こうしたアドバイスをできるのも、wevoxによって「共通言語」ができたからだと思っています。組織運営ってなかなか言語化しづらくて、ニュアンス的な伝え方が多くなりがちです。それがwevoxをベースに言語化して伝えられるので、役員同士でも組織状態をスピーディーに精確に把握できるようになっています。

-長くサーベイを続けていく上での工夫はされていますか?

組織が急激に拡大しているので、新しく入った人と既にいる人との「サーベイに対する意識」の差を埋める努力は続ける必要があると感じています。「なぜwevoxを使っているのか?」という根本的な意識にズレが生じると、診断結果にも影響を及ぼす可能性もありますから。そういった対応の一環として、以前若手社員が私に対して「wevoxってなんですか?」というテーマでいろいろな質問するというコンテンツを作成してイントラで配信しました。

-すごい手の込んだコンテンツです。確かに、メンバーに対してなぜこのツールを使っているのかを伝え続けるのは大切ですね。

こうしたコミュニケーションを通じて、サーベイに対して飽きさせない努力もしていく必要があるな、と感じています。

-最後に、これからの展望をお聞かせください。

急成長を可能にしているのは、何よりもメンバー一人ひとりの頑張りがあるからこそです。彼、彼女たちが楽しく、活き活きと自分の力を最大限に発揮できる会社であり続けたい。そのために、wevoxを活用しながらメンバーの声を真摯に受け止め、and factory居心地のいいカルチャーを継続できるように努めていきたいですね。

ABOUT COMPANY企業情報

and factory 株式会社

主な事業: SmartPhone App Division / IoT Division
設立年月日: 2014年09月
従業員数:76名(2019年2月現在)

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