INTERVIEWEE

株式会社AbemaTV 開発本部 副本部長 矢内幸広氏

コールセンターCRMのSEを経験後、2004年CyberAgentに中途入社。アメーバブログ、アメーバピグなどのメディアやスマホゲームの開発を経て、2016年よりAbemaTVの開発ディレクターとして従事。2018年1月より「AbemaTV」開発本部 副本部長。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、テレワークを実施する企業が増えています。メンバー間の距離が離れ、先行き不透明な不安が募る中で、どのように組織づくりを行えばいいのか? この大きな課題に対して、wevoxを活用して奮闘する企業にスポットを当てる連載シリーズ「weテレ」。

第5弾は、インターネットテレビサービス「ABEMA」を手掛ける株式会社AbemaTVに話を伺いました。4月7日の緊急事態宣言に合わせフルリモート化した同社は(6月4日現在はフルリモートは解除されリモート活用を推奨)、以前から組織づくりに力を入れており、wevoxも積極的に活用していただいています。「フルリモートになっても大きな不安はなかった。むしろ、組織としての強さを実感できた」と語る開発本部・副本部長の矢内幸広さんに、その組織力の秘訣とwevoxの活用法を聞きました。

プロジェクトマネージャーMTGのオープン化による予期せぬメリット

―組織づくりに力を入れている貴社では、初めての全社的なリモートワークでも大きな混乱はなかったとお聞きしています。こうした有事だからこそ、持ち前の組織力が発揮されたのだと思いますが、今日はその強さの秘訣についてお聞きかせください。

はい、お願いします。4月7日からの全社的なリモートワーク化を機に、私も在宅勤務を続けています。その中で、これまで行ってきた我々の組織づくりの成果、そしてこれからいっそう大事にしなければいけないことが浮き彫りになってきました。そうした気付きをみなさんにも共有し、少しでもお役に立てられれば幸いです。

―ぜひ、お願いします。矢内さんはwevoxの運用担当をはじめ、組織開発に注力されています。今回のフルリモートに、組織が適応するためにどのようなことを行ったのでしょうか?

その話をするにあたってこの1カ月で行ってきたことを、下図の4つの軸でまとめてみました。

今日は、この4つの軸を中心にお話していきたいと思います。

―ありがとうございます。では、「1.業務スタイル」からお願いします。

業務スタイルについては、大きく変化させたというより、「今まで行ってきたことをいっそう徹底する」ことで、コミュニケーション量を確保することに重点を置きました。

例えば、全社テレワークになってすぐに、「朝会は必ず毎日やろう」と各マネージャーに伝達しています。在宅勤務だと仕事モードへの切り替えがしづらいですし、メンバーの様子も把握しづらいですよね。だから、毎朝15分ほどでいいから、スイッチを入れて、困りごとなどを話せる時間を作ろう、とマネージャーたちに伝えたのです。それに加え、週の初めにOKRの進捗確認をするチェックインミーティング、そして月に1回の「KPT」(振り返りのフレームワーク)での振り返りを今まで以上に徹底して行うよう伝えました。

それまで、これらのコミュニケーションに関わる業務はチームによって実施していたり、していなかったりとばらつきがあったので、改めて全チームで行おうと引き締めた形です。

―なるほど。新しく何かを始めるのではなく、チームごとでまばらになっていたものをみんな徹底してやろうと伝えた、ということですね。

そうです。リモートワークにおいては、コミュニケーションは取ろうとしないと取れないので、まずは業務スタイルを振り返ってもらい、丁寧に実施していく重要性をマネージャー陣に理解してもらいました。結果的に各チーム、しっかりとコミュニケーションは取ってくれていますし、仕事に対するコミュニケーションにおける不安の声は上がっていません。

―矢内さんのメッセージを受け取って、マネージャーのみなさんがすぐに実行に移す。組織力の高さは、こういうところに現れるのですね。「2.情報共有」とは何でしょうか?

これは、先程と違って大きく変えたことで、今まで役員含めて10人ほどで行っていたプロジェクトマネージャーMTGを、Zoomを使って全員が参加できるようにしたんです。毎回100人ぐらいが参加していて、コメントで質問を受け付け、リアルタイムで役員やマネージャーが返答するスタイルを取っています。これまでよりも活発で、かつ透明性の高い情報ガバナンスが構築できました。

―プロジェクトマネージャーMTGを全社員が見られるとはすごいですね。

もともと、クローズにしたいという考えはなかったのですが、会議室のスペースの都合上、どうしても参加できる人数が限られていました。それが、リモートでプロジェクトマネージャーMTGを行うことになったので、「せっかくだからみんなに開放しよう」とオープン化したんです。

特に、役員からの事業へのフィードバックが、そのままメンバーに伝わるのは大きなメリットですね。これまでは、マネージャーを通じて伝達していたので、微妙なニュアンスとかテンションを伝えるのが難しかったんです。オンラインであれば直接伝達できるし、その場で突っ込みのような質問が入って、すぐに役員が答えるのでメンバーも納得感を得られやすい。

マネージャーも100人が見ている前なので、「今までよりしっかり資料を作んなきゃ」といいプレッシャーにもなっていますね(笑)。

それから、我々の会社は常に多くのプロジェクトが生まれては走り出しを繰り返しているので、メンバーによっては知らない間にプロジェクトが動き出していた、なんてこともあったんです。そういった情報共有の漏れも、プロジェクトマネージャーMTGをオープンにすることで減らせるし、メンバー全員が全体感を把握できるので、メリットはたくさんあると感じています。

―面白いですね。リモート化によって、期せずして多くのメリットが生まれている。

そうなんです。だから、仮にオフィス勤務に戻ったとしても、プロジェクトマネージャーMTGはオンラインで行って、できるだけオープンにしようと今は考えています。自分でも、新鮮な学びになりましたね。

活性化チームの機転により生まれる新たなコミュニケーション

―ピンチの中で、新たな情報共有の回路が生まれるのも、ABEMAの組織力の強さを物語っています。

「3.組織の活性化」についても、困難なときだからこそ生まれている取り組みです。3年ほど前から、「活性化チーム」というものを結成して、社内のコミュニケーション施策を主導して行ってきました。メンバーは交代制で、半年ごとに私が指名するのですが、今の活性化チームがリモートでのコミュニケーションイベントをたくさん考えて実行してくれているんです。

代表的なのが「Abema LT」という、メンバーがあるテーマについてプレゼンをするイベントです。リモートだと気付けば1日誰とも話さずに終わっちゃう、みたいな日も出てきてしまうので、なるべくみんなが話す機会を作ろうという狙いで始めてくれました。内容も盛り上がるように、「勉強会のような真面目な内容」、「メンバーの人となりを知る」、「メンバーの趣味をひたすら話す」と3つの方向性を組み合わせながら行っています。

それから、「誰でもランチ」も面白い試みです。活性化チームのメンバーが、ランチを食べるときにZoomを開放していて、誰でも入っていい状態にしているんです。気が向いたメンバーが、そのZoomに入って雑談をしながら一緒にランチを食べる。これのティータイムバージョンもあって、夕方ぐらいにお茶を飲みながら何気ない会話をする場をオンライン上で作っています。

こうした取り組みを私が何も言わなくても、動いて実行してくれるので、本当にありがたいです。

―活性化を目的にしたチームが社内に存在することもすばらしいですし、形骸化せずリモート下でもしっかり機能しているのもすばらしいですね。最後の「4.課題の発見」について教えてください。

この課題の発見においては、wevoxをフル活用しています。もともとwevoxは、課題をいち早く発見するためのツールとして使っていたのですが、メンバーの状況が把握しづらいリモートにおいてその重要性がより高まっています。

と言っても活用方法は変えておらず、エンゲージメントスコアが下がっているキードライバーについて「何が原因なんだろう?」とマネージャーと私で話をして、すぐに対応するフローを継続しています。匿名でのサーベイではありますが、マネージャーがスコアを見れば、「ああ、彼今忙しいからスコアが下がっているのかも」など大体察しがつくものです。そうした仮説をもとに、すぐに1on1を行って、課題を吸い上げ、解消に動き出すようにしています。wevoxがなかったら気付けなかった課題がたくさんあるので、本当に使っていてよかったと思っています。

「wevoxの回答率を上げるのが私のミッション」

―ありがとうございます。

それから、コメント機能を使って、リモートワークで何か困りごとがないかアンケートも取りました。こうしてタイミングに応じて必要な声をメンバーから集められるのも、wevoxの強みですね。その結果、在宅勤務における多くの課題が顕在化し、すぐに対応することができたのです。

具体的には、まず在宅で仕事ができる環境が揃っていない人が多くいたので、会社の経費でマイクやルーターなどの備品を購入できるようにしました。それから、デザイナーやエンジニアなどは、開発のためにiPhoneやアンドロイド端末、Fire TVなど複数のデバイスが必要になるので、これらも会社の経費で購入して、それぞれの自宅に送付する仕組みを作りました。あとは、ネットワーク環境ですね。回線が弱かったり、中にはネットを開通していない人もいるので、会社のポケットWi-Fiを貸し出すなど早急に対応を取りました。

こうした個々人が抱える細かな課題を把握して、即対応できたのもwevoxがあったおかげです。

―会社の経費での備品購入などをすぐに実行できる判断力もすごいです。

そういう判断に関して、経営陣はとても早いので、助かりました。ただ、お金だけでは解決できない課題もあって、代表的なのが家庭の事情ですね。

例えば私の場合は、共働きでかつ保育園に通う子どもが2人いるので、今は常にどちらかが子どもの面倒を見なければいけません(取材時は緊急事態宣言中のため保育園が休園)。妻も在宅勤務なので、打ち合わせの時間をずらすなど、調整に手間取ることもあります。

一方、若い社員で独身だとついつい働きすぎてしまう課題もあります。時間の切り替えもしづらいですし、やる気と体力がある分、深い時間まで仕事をしてしまう人もいる。

これらの課題はすぐに解決が難しいものばかりです。しかし、マネージャーが把握しているか、していないかではコミュニケーションの質も変わりますので、wevoxのスコアやコメントも参考にしながら、引き続き早期に課題発見をしていきたいですね。

―wevoxを非常に効果的に活用いただいています。他社も同じように活用するために、何かコツがあれば教えてください。

一番大切にしているのは、「回答率」です。これが低いとデータ自体の信頼性が担保できませんので、毎回90%以上になるようにしています。じゃあ、どうやって回答率を上げているかというと、「私が地道にリマインドを送る」です。こればかりは、近道はないですね(笑)。一人ひとりしつこいと思われるぐらいに回答を促すメッセージを、Slackで送っています。その点、wevoxはSlackとも連携しているので、すごくありがたいですね。

それから、もう1つ重要なのが、wevoxで気付いた課題やコメントに関して、しっかり組織で施策を打つことです。「みなさんがwevoxに回答してくれているおかげで、こんな意見がもらえて今度こんな施策で対応していきます」と、逐一全体にアナウンスすることも忘れないようにしましょう。そうして、wevoxのへの回答をしっかりと組織改善に役立て、無駄にはしていないということを全員に周知することも大切です。これがないと皆がなんのためにやってるかわからないので回答率も下がります。

とは言え、何もしなくても7~80%ぐらいの回答率はあるんですよ。回答率を意識してリマインドをし続けた結果、今は多くの人が回答してくれるようになりました。残りの10%を上げるためにリマインドをコツコツと送るのも、運用担当者の大切な役割なのかな、と思います。その結果、平均して95%ぐらいの回答率は維持できています。

―改めて、貴社、そして矢内さんの組織づくりに対する熱意に脱帽しているのですが、こうした有事の際でも動じない組織でいられる最大の要因は何だと思いますか?

メンバーの主体性の高さ、ではないでしょうか。我々の組織風土として「マイクロマネジメントはやめよう」という考えがあります。「チームを管理する」という言葉を使うときに、多くの人が「人を管理する」ととらえてしまいますが、我々は「目標を管理する」という考えを持つようにしているんです。メンバーそれぞれが納得感を持ち、そして挑戦する意欲が沸き立つように目標を管理し、達成までのサポートをする。メンバーは主体性を持って、目標を達成するためにチャレンジし続ける。

こうした組織の基盤を構築してきた成果が、今回のような緊急事態時に現れたのだと思います。

―今日のお話を聞くと、ただでさえ強い組織が、さらに成長していると感じました。

私自身も、自分たちの組織の強みについて改めて気付くいい機会になりました。新型コロナウイルスへの対応が今後どうなるかわかりませんが、引き続きwevoxを活用して課題の早期発見を心がけていきたいですし、マネージャーMTGのオープン化など今回新たに初めて効果的だったことは継続したいと思います。そして、今まで取り組んでいたコミュニケーションに関わる業務スタイルは変えることなく、いっそう徹底していく。その結果、組織がさらに成長していけるように、私も引き続き組織開発に邁進したいと思います。

(このインタビューは、新型コロナウィルス感染拡大防止のためオンラインで実施しました。)

ABOUT COMPANY企業情報

株式会社AbemaTV

主な事業: 動画配信事業
設立年月: 2015年4月

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