INTERVIEWEE

株式会社マイネット 執行役員
人事統括グループマネージャー
田中亘氏

1987年生。東京大学農学部応用生命科学課程生命化学・工学専修卒業。2012年4月に新卒入社。マイネットのスマートフォンゲーム事業立ち上げに携わり、戦略担当業務やタイトルディレクション業務を経て、2016年よりゲームサービス事業の事業統括業務を担う。2016年11月よりマイネット執行役員、マイネットエンターテイメント、マイネットゲームスの代表取締役社長へ就任。2018年から現在に至っては、人事領域を担当しデータドリブン人事や組織開発を推進。

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「DIO PLAN」。今回は、独自のビジネスモデルでゲームサービスの領域で躍進する株式会社マイネットにお話を伺いました。頻繁に人事異動を行い、常に流動的な組織状態でいる「アメーバ経営」で組織力の強化に取り組んでいる同社。そうした組織状態において、wevoxはどのように活用され、エンゲージメントはどのように高まっているのでしょうか?

「会社はメンバーのもの」だからこそ、エンゲージメントが大事になる

マイネットの事業は少し特徴的ですよね。

当社は「コミュニティの永続」をミッションに、現在はオンラインゲームの運営に特化した“ゲームサービス事業”を主力事業としています。自社でイチからゲームタイトルを開発して作品を出していくのではなく、他社からゲームタイトルを買い取り、本数をどんどん増やしていくというビジネスモデルです。運営タイトル数は業界でもトップレベルの37タイトル(2019年9月時点)で、チームはタイトルごとに作られているため、社内では37チームがそれぞれ企画から開発、デザインまで全て行なっています。

最近のゲームは、ゲームの世界が1つのコミュニティになっています。私たちは「10年空間を目指す」と言っていますが、そのコミュニティをいかに維持・発展させるかにもっとも主眼を置いています。多くの人に受けるヒット作を生み出していくというよりは、すでにあるコミュニティをアップデートしながら、長く発展させるための方法を考えていく、というのが事業の特徴ですね。

組織面の特徴についても、もう少し教えてください。

一番は、ゲームタイトルを買い取ってきた際に、元々運営していたメンバーも一緒に合流する場合があるということです。

つまり、色々な会社の出身者が集まってできている組織なんです。実際、現在のメンバーのうち約半数は、そうやって合流して一緒にやっているメンバーです。かつては、社員数が300名の時に、新たに300名ほどが合流したこともあったくらいです。

−そのゲームに強い思いを持った人が一緒に合流するからこそ、その後のコミュニティの維持・発展もしやすい、と。

そうですね。

また各チームはゲームごとにプランナー、エンジニア、あとはデザイナーやイラストレーターといったクリエイティブが集まって、10人から12人ほどのチームが多いです。

実はもう1つ特徴があるのですが、それはかなりのペースで異動をするということです。多くのメンバーが1-2年に1回は異動します。

日々、組織が更新されるわけですね。それはなぜですか?

先ほどお話ししたように、私たちは「コミュニティを長く運営し続けること」に価値を置いていますが、やはり長く同じ仕事を続けていくことで、個人の成長が鈍化したり、モチベーションがだんだんと保ちづらくなることはあると考えています。

当社では、一人ひとりが運営に携わりながら、その中でキャリアを積み重ねることを大事にしているからこそ、異動によって仕事の幅を広げたり、同じチーム内であっても違う役割を担ったりということを積極的に行うようにしているんです。

それだけ流動性や変化が多いと、組織づくりは大変ではないですか?

だからこそ、力を入れている部分ではありますね。特に買い取ったゲームタイトルを引き継ぐ最初のフェーズがもっとも難易度が高いので、できるだけ経験のあるメンバーをうまく配置するなど、しっかりとチームアップすることを重視しています。

また、当社の組織づくりの大前提となるのが、「会社はメンバーのもの」という考え方です。これはwevoxの導入理由にもつながる話なのですが、「エンゲージメント」という考え方が、当社の理念というか思想とすごく近いんです。アトラエの新居社長が「エンゲージメントとロイヤリティと従業員満足度の違い」について書かれていますよね。その考え方がしっくりきたんですよ。

そうなんですね!

従業員満足度は環境が与えられることが前提となっているし、ロイヤリティは主従関係が前提となっている。これはどちらも当社の考え方とは異っています。でもエンゲージメントは会社とメンバーの関係性であり、そこに当社が求める組織づくりのヒントがあるだろうと。

そのうえで、これは当社の行動指針なのですが、「数値に基づく合理的判断」を非常に重要視しています。誰が言ったから正しいということではなく、合理的であること、数値に基づいて考えること、これらが重要です。ですから、wevoxのようにエンゲージメントを数値で定点観測していくというサービスは、当社の理念に非常に合っているんです。

これは、コミュニティ運営やゲーム運営ともよく似ています。毎日、色々な指標を見ながら、その時々の状態を把握し打ち手を考えていく。ゲームがコミュニティであるように会社もコミュニティですから、生きた数値を定点観測していくことは、非常に大事なことだと思っています。

 

「点数の推移」と「分布の変化」の両軸から組織の状態をチェック

導入に向けては、どのように進めていったのでしょうか?

3段階で進めました。はじめは2017年の年末になりますが、全体の5分の1ほどのチームでテスト導入しました。実施することで実際にどういう数値が出るのか、さらにはその数値が組織づくりや改善のために使っていけるものなのか、そういった部分をまずは見てみようと考えての試験導入です。

数値を見ての感想は?

面白かったですね。出てきた数値の使い方が見えたことから、これは活用できると思いました。そこで次のステップとして、2018年5月に全社のうちの半分の組織で導入したんです。この時は、各組織へのフィードバックなどのPDCAを回してみました。その時に「これはチームマネジメントのために使えるね」という反応が多かったことから、2019年2月に全社導入した、という流れです。

今は各チームで6週間に1回のサーベイを実施しています。実施後にはチーム単位で結果を取りまとめ、結果をもとに部長とマネージャーに改善案を話し合ってもらったり、メンバーへのフィードバックの仕方を考えてもらったりしています。基本的には導入しているそれぞれの組織が主体となって進め、人事はあくまでサポートをする役割です。

なぜ6週間というサイクルにしたのですか?

当社は社内異動など環境の変化が多いこともあり、実施するなら毎回全ての質問を聞きたいと思っているんです。そうなると2週間に一回などでは設問数も多くて大変だろうなと考えました。

実際にwevoxをやって良かったと感じているのは、「なんとなく」で話していた部分が、より具体的になったことですね。それまで「なんとなくチームの雰囲気が悪い」と思っていたことが、「何がどう悪くてそうなっていたのか」と具体的に語れるようになったわけです。それが語れると、次に何をすればいいかも見えてきますよね。まさに数値に基づいた合理的な判断ができるようになりました。

あとは点数の推移が見られることも大事ではありますが、それと合わせて「分布の変化」というのも、当社ではよく見ていますね。

「分布の変化」とは、どういうことでしょうか?

例えば、同じ70点の項目だったとしても、チームの全員が70点の組織と、低い人から高い人まで満遍なくいたうえでの70点では、チームの状況は全然違いますよね。ただ数字を見るだけではなく、どういう質的な変化をしているのかを追いかける、そんなイメージです。

当社では、普段からチームに対して権限委譲をしています。だからwevoxの結果に対する打ち手についても、各チームで考えて実行してもらっています。やはり、チームが自律的に動けることは仕事をするうえでもすごく大事だと思うんです。

トップダウンで37チームを動かすのは大変ですよね。

もちろんそれも1つの理由です。ですが、それぞれのチームごとに責任を持って決定・実行できる方が、その組織に合った方法を取れますよね。特に当社のように合流が多く、変化が激しい組織はなおさらです。もちろん人事からもアドバイスはしていますが、今後はもっと「他のチームはこんなことをしていた」などと横展開していきたいと考えています。

当社の組織のベースとしてあるのは、「アメーバ経営」という表現をしていますが、チームに権限を委譲するとともに責任を持たせ、チームごとに事業計画を策定しそれに基づいて動く、という方針です。「利益は社会からの通信簿」という考え方でチーム運営をしているため、自分たちのタイトルがどれくらいの利益を出しているのか、1人当たりの利益はどの程度か、そういう数値をはっきりさせることを重視しているんです。

「やりがい」にもつながりそうな話ですね。

そうなんです。チームでどこを目指すか、そのためにどれだけやったのか、その結果がどれだけの利益なのか、それらがわかる状態を作ることが、組織づくりにおいて大事だと思っています。

 

wevox実施後の「リアクション」が非常に大事

他にも、具体的な施策や取り組みがあれば教えてください。

1つのケースとしてお話しできるとしたら、1on1のやり方を変えたことですね。課題だと思うことが見えたら、その話をテーマに1カ月間ほど1on1を継続してみるんです。実際、それを受けてwevoxの数字が変動することはよくあるんですよ。

話の軸を決めて1on1をする、ということですか?

そういうことです。例えば「キャリア」という項目が低めに出ているのであれば、1on1でキャリアについての話を1カ月間してみたり、チームミーティングや普段の情報共有の中でキャリアに関する内容を意識的に話したりするんです。

実はちょうどこの夏から、1on1の新しい手法を全社導入したところなのですが、それをしようと思ったきっかけの1つがwevoxでした。「なぜ評価されたのかがわかりにくい」というコメントが多かったことや、「評価」の数値から、何かしらの施策が必要だということになったんです。

評価軸を厳密に定義し、そこに当てはめるのも1つの方法かもしれませんが、それでも不満は出るでしょう。大事なのは、評価を行なっているマネージャーが考えていることを、もっとメンバーに伝えるようにすることだろうと。そこから、マネージャーとメンバーで月に1回1on1を実施しようという話に展開したわけです。その際、漠然とやっても意味がないので、wevoxでそうしているようにフィードバックの軸を決めて行おうという話になり、全社での導入が実現しました。

ちなみに、メンバーの方々のwevoxに対する反応は?

全問実施していることもあり、「設問数が多い」という声は確かにありますが、回答率は95%なので、協力してもらえていると思っています。

御社の規模では、驚異的な数字ですね。

マネージャーがメンバーに積極的に声をかけてくれている結果だと思います。

 

個人と会社が成長するための大事な指標の1つとして、wevoxの数字を見ていきたい

組織づくりにおいて大切にしていることを教えてください。

当社の強みは、色々な会社から合流した多様な人がいることです。多様な人がいるから多様なバックグラウンドがあって、多様な考えがあるからこそより良いものができ上がっていると考えています。とは言っても、それをきちんとした基盤の上で進めなくてはいけません。

当社では、「マイネットバリュー」と定義している3つの価値観があります。1つ目が「ユーザーさんの方を向いて仕事をする」こと。2つ目が「クロスリスペクト」、すなわち社員がお互いを尊重して仕事をするということ。そして最後の3つ目が、先ほども少し触れた「利益は社会からの通信簿」という考え方です。どんなチームが合流する場合でも、まずこの3つの価値観については揃えることを徹底しています。

色々な会社が合流する場であるためには、組織文化をしっかり作り上げることが重要です。組織文化をより強固にしていくことが、これからもテーマになり続けると考えています。

ちなみに、この3つの価値観を浸透させるために行なっていることはあるんですか?

それこそ「言い続けること」でしょうか。毎週のミーティングなどの中で、それぞれをしっかり話すようにしています。同じことを色々な角度から話したり、折に触れて伝えることが、一番の近道だと思います。

最後に、組織づくりにおいてwevoxをどんな風に活用できそうか、イメージがあれば教えてください。

経営方針の1つ目として「人を大切にする会社」というものがあり、それは社員一人ひとりのキャリアを大切にすることを意味しています。ですから、異動時なども「次にどういう経験を積めばその人の将来なりたい姿に近づけるのか」をしっかり考えて配置するようにしています。目指すのは、会社の成長と個人の成長が共にある状態です。個人と会社が同じ方向を見て共に成長する、その時に重要なのが会社と個人の関係性、つまりエンゲージメントです。

エンゲージメントが高いということは、会社のフィロソフィーをメンバー一人ひとりが体現できているということでしょう。エンゲージメントを高めることが、個人、そして会社が成長するための大事な指標になるはず。ですから、そこはこだわって見ていきたいと思っています。

ABOUT COMPANY企業情報

株式会社マイネット

主な事業: ゲームサービス事業
創業年月日: 2006年7月1日
従業員数: 622名(グループ全体、2018年12月末時点)

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