INTERVIEWEE

dely株式会社 CTO 大竹雅登氏

2013年、インド・バンガロール、シリコンバレーでインターンを経験。帰国後に飲食店の自動予約システムを開発し事業化を試みるが拡大が困難と判断し断念。
2014年初め、弊社代表の堀江氏と出会いdely株式会社を共同で創業。iOSアプリ、サーバサイド、データ解析など開発業務全般を担当。現在はCTOとしてプロダクト責任者。

エンゲージメントが高いチーム(※)の秘訣を探る、DIO STORY。

今回は、料理動画レシピサービス『kurashiru(クラシル)』を運営するdely株式会社 CTOの大竹雅登氏にお話を伺いました。大竹氏は、1人開発体制から『kurashiru(クラシル)』の立ち上げを成功させ、昨年「CTOオブ・ザ・イヤー2017」にて優勝した実績の持ち主。そんな大竹氏率いるチームの取り組み内容と、チームビルディングへの思いについて語っていただきました。

※ エンゲージメント計測サーベイwevox(ウィボックス)にて測られたエンゲージメントスコアが81点以上(100点満点)のチーム。(wevoxにて計測されたエンゲージメントスコアの上位1%に当たる。)

メンバーの「サービス志向」をいかに高めるか?

− 最初に、エンジニアリングチームの仕事内容について教えてください。

当社は「70億人に1日3回の幸せを届ける」をサービスビジョンに、レシピ動画サービス『kurashiru(クラシル)』の運営を行っています。2016年5月にローンチし、今では月間で数千万人が視聴する日本最大級のレシピ動画サービスと言っていいと思います。

私たちエンジニアリングチームでは、iOSやAndroid用のアプリ開発から、社内ツールの企画・開発まで、幅広く担っています。基本的には、『kurashiru(クラシル)』がより多くの人に使っていただけるアプリとなるよう、システム面含め、いろいろと取り組んでいます。

− 組織の特徴があれば教えてください

技術者であってもサービス志向の人が集まっているという点ですね。技術力は当然高いものがあるのだけれど、サービスを伸ばすことを第一に考えられる人をずっと採用してきました。

実際にwevox(ウィボックス)でエンゲージメントスコアを計測してみると、うちのチームは「事業やサービスへの愛情」、「理念への共感」といった項目が相対的に高かったんです。そういう組織を作りたいと思ってずっとやってきたので、それが数値ではっきりと分かったのは嬉しかったですね。

− もちろん採用時の見極めもあるとは思いますが、そういうサービス志向のマインドを維持するために、どういった取り組みを行っているのか教えてもらえますか?

まず、サービスに触れる機会を増やすことが重要かなと思っています。たとえばアプリを改善しようという時に、僕らは世界中にあるサービスを徹底的にリサーチするんです。
さらに、自分たちのアプリを見る場合も、データを元にしっかり見るようにしています。

そういう意味では、アプリに限らず、僕たちは仕事をする上でデータというものを非常に重要視しています。

−それはユーザーについてのデータでしょうか?

それももちろんあります。
僕たちのサービスは、テレビCMを打っているくらいなので、マス向けです。だから「この層の人しか使わない」というのがないんですね。いろんな人が使っているからこそ、「この人にとっては良いが、こっちの人にとったらあまり良くない」という機能や施策が当然出てくる。だから、そうしたことをデータを元に一つずつしっかり評価していくんです。

− それはなぜですか?

皆で共通認識を持つためです。社内では、いつでもいろいろなデータにアクセスできるようになっています。自分がやった施策、自分が実装した機能、自分がデザインしたパーツといったことに対してどういう反応・結果が出たかが、全てデータとして見られる環境を整えています。

データを元にユーザーを知ることがサービス愛を育む

− どういうデータかについて、もう少し教えてください

『kurashiru(クラシル)』はユーザーが投稿するのではなく、コンテンツから全て自分たちで作っています。ですから、どんなレシピを考えて投稿するかが非常に重要となります。それをユーザーがフリーテキストで検索するわけですから、その検索データはまず大事なデータとなりますよね。

料理名や食材が多いですが、「簡単」「旬」みたいなワードもあるので、そうしたワードを一つずつよく見て、「検索数が多いのにクリックが少ない」とか、「クリックは多いがお気に入りされにくい」といった分析を行っていく。そうやって細かく見てみると、違和感があったところには何か変なことが起きているものなんです。

− 実際のユーザーに直で触れる機会はあるんですか?

もちろんです。データでカバーできないところは、ユーザーヒアリングを重視しています。『kurashiru(クラシル)』を使ってくれているユーザーさんはもちろんですが、使っていない人にも話を聞くようにしています。

長々とデータの話をしてしまいましたが、そうやってユーザーを知ることが、メンバーの仕事に対する満足度に間違いなくつながると考えています。

− それがサービス愛にも繋がる、というわけですね。

そうです。だってせっかくサービスを作れるわけですから、意識したいじゃないですか。サービスを作っている人と対象ユーザーが乖離しているケースもよくありますが、当社が扱っている料理というものは、毎日の生活の中で欠かせないものです。

特に『kurashiru(クラシル)』は、料理ができない人でも簡単にできる点が売りなので、いろんな人に使ってもらえる。実家に帰った時に家族や親戚が実は使っていたみたいな瞬間って、一番モチベーションが上がりますよね(笑)

クリエイティブな仕事の時間を増やすための効率化

− 他にもチームで行っている取り組みがあれば教えていただけますか?

またデータの話になりますが、意思決定におけるデータの活用です。具体的に言うと、意思決定の精度を高めるためにいかにデータを使うかという話です。

普通の組織において陥りがちなのが、チームの人数が増えていく中でどうやってサービスをグロースさせるかを考えた時に、感覚的に意思決定をしてしまうことです。感覚的に行うと、まず納得感が低くなる。それが精度の低さにもつながります。そうではなく、客観的な根拠に基づいて意思決定をする必要があって、そのためにはデータを使うべきだというのが、私の考え方です。

− データに対しては、社内でもリソースを割いているんですか?

もちろんです。組織的な満足度に直結する部分だと考えていますから、結構な投資をしています。

「TechCrunch Tokyo CTO Night powered by AWS」にてCTOオブ・ザ・イヤーを受賞

 

− リソースの話ですが、サービスの規模に比べてメンバー数が少ないと感じました。少数精鋭であるためには効率化も重要だと思いますが、そのあたりはどうしていますか?

おっしゃる通り、どれだけ生産性を上げられるかにはこだわっています。気付いたら毎日ルーティンの仕事ばかりしていたなんてことがよくありますが、そういう場合はすぐに自動化するようにしています。

定期実行でbotにしたり、スプレッドシートにログを埋め込んだり。
効率化のための仕組みを考えることが目的ではなくて、単純に空いた時間をクリエイティブなことに使ってほしいんです。そういう時間が増えることが、仕事の楽しさややりがいの醸成にもつながっていくと思っています。

1on1で本音を聞き出すためのひと工夫とは

− メンバー間のコミュニケーションのために取り組んでいることはありますか?

毎月1回、1on1をやっています。目的は、業務以外の普段しないような話をするためです。

実際に僕がやっているのが、A4版くらいの紙を用意し、この1カ月とか半年で思っていることをその場で書いてもらうという方法です。たとえば「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」「もっとやれると思っていること」といったことを3つづつ書いてもらって、それについて話すんです。

よく、1on1の前にシートに議題を記入しておいてくださいみたいなオペレーションをすると思うのですが、それだとやる気を見せるためにたくさん書こうとして、実際にはそれほど重要に思っていないことも書いちゃったりするじゃないですか。
でも、その場で聞かれて書くことは、ずっと頭に残っていることだったりするわけで。その内容をきっかけに、普段考えていることや、その根本にある理由みたいなことを聞き出していきます。

− それは面白そうですね!

1on1は本音を聞かないと意味がないじゃないですか。普段からミーティングでもたくさん話すわけですし。だからといって「本音を話してください」とお願いしたって、人間はそんなに単純じゃない(笑)。それが少しでも簡単にできるようにするための、僕なりの工夫ですね。

だいたい仕事に対する悩みとは、「先が見えない」というところに全部が紐づくと思っています。だったら先をしっかり見せるようなフィードバックをする。あと、話していて明らかなズレがあったら、次の日の業務から変える。そういうことはすぐにやります。ただ本音を聞いて終わり、にはしません。

承認・評価は「機会の提供」とセットで行う

− 他社の事例を見ていても、「承認期待」の項目について関心が高まっているように感じています。承認する、評価するという点で、何か気をつけていることがあれば教えてください。

そこも1on1でまかなっているかもしれません。基本的に、評価したことはすぐに伝えるのが当たり前だと思っているので、特段意識したことはないんですよね。

一つあるとしたら、例えば僕の中で「この人はマネジメントの適性が高そうだ」と思えたら、本人が気付いてない場合でも、それを伝えてチャンスを与えたいなと思っています。「期待値」という話なのかもしれませんが。

−承認するだけでなく、機会も与えると。

そうですね。実は今話したマネジメント適性の例は、実際にそういうメンバーがいるんです。僕は彼に対して、エンジニアリング以外のマネジメントの部分で力を発揮してもらいたいと思っていて、だから1on1を他のメンバーとやってもらったり、役割として機会を与えているんです。

エンジニアの場合で言うと、マネジメントができるようになるとチームが作れますから、一人でできることに加えて、チームでもいろいろなものを作れるようになる。やりたいことが長期的にできる力が身に付けば、その分キャリアの幅が広がりますよね。

評価については、「定量評価」と「定性評価」を半々で行っています。定量評価は数値が全て出ているので、それを見てフィードバックしています。一方の定性評価については、チームに対しての影響やカルチャーの浸透度合いを他の人にまで普及できているか、チームビルディングできているか、アクションの意識が高まっているかといたところを、行動指針という観点からバランス良く見て伝えるようにしています。

弊社はカルチャーに”チャレンジ”という言葉あるので、結果だけでなく”チャレンジしていた姿勢”をきちんと褒めるようにも意識していますね。

ついでに目標設定について話すとしたら、うちではOKR(Objective and Key Result/目標と主な結果)を使っているのですが、設定していく過程で一工夫しています。事業的な計画から分解して、一人ひとりにやってもらいたいことをお願いしていくわけですが、その内容を一度本人に渡して、2〜3日の時間を与えて考えてきてもらうようにしています。つまり一つステップを増やしているんです。

これは人事の発案なのですが、「まあいっか」で決めたくないんですよね。本人が抱えている課題だったり、経営の方で見えていない部分を本人から上げてもらう。そうすることで本人の納得感が全然違ってくるんです。些細なことかもしれませんが、実はやっていないチームは多いと思います。ズレを埋めるためのコミュニケーションをおろそかにしない、ということですね。

− データを駆使することも、目標設定の仕方にしても、納得感を大切にした工夫の仕方が大変参考になりました。大竹さん、どうもありがとうございました!

 

ABOUT COMPANY企業情報

dely株式会社

主な事業: レシピ動画サービス『kurashiru [クラシル]』の開発・運営
設立年月日: 2014年4月
従業員数: 90名
(※2019年9月時点)

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