業務の問題点を発見して改善策を講じるのは、普通はリーダーをはじめ、マネジメントを担う側が行うものでしょう。しかし、私はプレーヤーの立場であるメンバーにもそうした役割を担ってもらうことにしています。上司から指示されるよりは、メンバー同士で発言・行動した方が楽しくできるだろうと考えたのが理由です。その具体的な仕組みが、営業プロセスごとの「改善大臣制度」です。これは、メンバーが主体となり、営業プロセスの改善案を考えて、発表まで行うというものです。
営業の仕事には、お客様との最初の接点から始まり、契約に至るまでの一連のプロセスがあります。そして、このプロセスの中には、常に何かしらの改善点はあるものなんですね。その改善点について「どうしたら改善できるか、施策を作って明日までに考えてみてください。一人で考えるのでなく、みんなに呼び掛けて作ってください」とメンバーを指名して投げ掛けるのです。
工夫しているのは、改善大臣には改善すべきプロセスにおいて成績(数値)が最も低い人を任命することです。任命されたメンバーは、「みんなでやろう」という声掛けから、メールでの連絡まで、全面的に責任を持って進めていきます。
一番成績の良くない人間に大臣を任命する理由は、明確です。彼(彼女)がメンバーの中で最も課題を抱えているはずだからです。そのような人に、問題点、改善策を自分たちで考えるべき場所を与えることで、その人自身の成長に確実につながっていきます。
改善するためには、成績の良い人、数値の高い人に意見を聞くことを推奨しています。数値の高い人にヒアリングする中で、コミュニケーションも生まれ、それが成長支援につながっていくのです。
また、そうしたやり取りの中で、新しいアイデアが出ることもあって、成績を上げているメンバーが「ちょっとやり方を変えてみよう」と考えるきっかけも生まれています。このように、改善大臣制度はチーム全体のスキルアップにもつながっています。