OKRを初めて導入するときは「自分で考える」ことを最重要事項に

昨今、注目を浴びている目標管理のフレームワーク「OKR」。今年度から初めて社内にOKRを導入したミナジンに、導入のきっかけや抑えておくべきポイントなどを伺いました。

LECTURER

株式会社ミナジン 取締役 経営戦略本部長 野崎友邦氏

慶應義塾大大学卒業後、株式会社京都銀行に入行し、約10年間、法人融資営業、新規顧客開拓を中心にを行う。その後、株式会社ミナジン入社。人材サービス営業部マネージャー、営業部部長、管理部部長などを歴任した後、取締役就任。現在は経営戦略部長を兼任し、HRクラウドシステム部門、顧問サービス部門の事業部統括を行い、システムと人事のプロとを組み合わせたサービスの構築、事業提携などを推進している。

ミナジンは、「会社の方針や事業戦略への納得感」のスコアが低く、改善の必要がありました。そこで、他のエンゲージメントスコアの推移も見ながら原因を考え「MBOを導入しているが、目標を設定する力が弱いのでは」「社員間で目標をベースとしたコミュニケーションがなく、会社の方針や事業戦略を自分ごととして捉えられてないのでは」という仮説を立てたんですね。

そして、それらの原因を改善する施策として新たに目標管理フレームワークの「OKR(Objective and Key Result)」の導入を決めました。OKRは「会社の目標」と「個人の目標」がリンクしています。合宿で時間をかけてOKRについて議論することで、目標を自分ごととして捉えやすくなり、全社的な方針や戦略への納得感を高められるのでは、と考えたからです。

導入を決めてから、まずは経営陣とマネージャー陣で外部のファシリテーターを交えて「会社のOKR」を設定しました。その後同じメンバーで集まり「部署のOKR」を設定しました。そこまで進めてから、毎年期末に行っている全社合宿で「個人のOKR」を考えるワークショップをしたのです。

このワークショップ最大の目的は「社員が自分のOKRを時間をかけて考えること」。トップダウンで物事を伝える時間を極力短くするために会社と部署のOKRの説明は、合宿の最初に各10分以内で簡潔に済ませました。

そして「トップダウンの話はここまで。残りの時間は皆さんが考える時間です。自部署の目標、個人の目標を自分でしっかり考え、議論してください。今発表した会社、部署のOKRは変更しても構いません」と声をかけて、部署単位になってワークショップを始めたのです。このワークショップにもファシリテーターに入っていただき、経営陣は極力関与しないようにしました。

始める前はどうなるか心配でしたが、結果的にこのワークショップは大成功でした。みんなが積極的に参加し、チームによっては夜遅くまで議論を重ねたところもあったんです。OKRの内容も当たり障りのない数値目標に終わりませんでした。例えば、新卒で入社後に社労士資格を取った女性社員の目標(Objective)は「社労士営業ヒューマンとしてキラキラ」です。勤怠システムのサービスの営業として社労士の資格がバリューになる。頑張って取った資格だし、それを活かして会社、部署に貢献したい、という気持ちを彼女なりの言葉で表現したようです。

通常のMBOではこういう表現は出てこないと思いますし、他の人が知ることもなく、コミュニケーションも発生しません。合宿後はスコアも大きくあがり、会社の雰囲気は一変しました。

大事なのは、初めてOKRを導入するときは「正しいOKRを設定させる」ことではなく「自分自身でしっかり考えることを最重要事項」とすることです。OKRとしての正しさにこだわり、トップが指摘をしてしまうとせっかくの個人目標が台無しになってしまう。だから、今回我々は個人が設定したOKRについてはあえて一切手は加えていません

自分自身の目標、それを達成するためのKR、それが会社や部署のOKRにもつながるか、などいろいろと主体的かつビジョナリーに考える。初めてOKRを設定することの最大の価値は、そこにあると思っています。