私はもともと営業職だったのですが、今はエンジニアで構成されたチームのマネージャーを務めています。マネージャーに就いた当初から、同じ事業部内にある営業チームとエンジニアチームの間で、文化の違いからくるコミュニケーション不足を感じていました。
そこで、営業にエンジニアの考え方を身近に感じてもらえるように、一緒に意見交換をしながらプロダクトのプロトタイプを開発するワークショップを開催しました。何度か続けていくことで、エンジニアと営業の間で「管理画面のレポートをどういう形で見せると、ユーザーは使いやすいのか」という議論に発展したこともあります。また、営業には顧客から受けたサービスへのフィードバックや意見を、社内SNSへ投稿してもらっています。実際の声を直接受け取れるので、エンジニアにとってはモチベーションアップにつながるいい刺激になっているようです。
逆に、営業の考え方をエンジニアが感じられるように、「売り上げと利益を意識しよう」と常に伝えています。私から伝えることもありますし、時には営業に打ち合わせに入ってもらい、プロダクトの事業上の価値などを説明してもらうこともあります。その成果もあってか、最近ではエンジニアから、「それは、どの事業KPIに関わるんですか?」というようなビジネス視点の質問が自然と生まれるようになりました。
こうしてお互いを理解し合うことで、より事業に深くコミットした開発や、開発自体のクオリティを上げることにつながっていくはずです。
交流の場を設ける際に気を付けたいのが、言葉の壁です。営業とエンジニアでは、同じ言葉でも認識のズレがたくさんあります。例えば、「バグ」という言葉。開発者としては、仕様外の動きをしている場合や、プログラミングに間違いがあった場合などを「バグ」といいます。それに対して、営業は思っていた動きではない場合でも「バグ」と表現してしまう。営業からすれば何気なく「バグ」という言葉を使うのですが、エンジニアは「バグではなくて、仕様上避けられないことなのに…」となる場合があります。この時は、私が間に入って、どう言うニュアンスで「バグ」という言葉を使っているかを説明することで、すれ違いを解消しました。
最初の頃はこうした言葉の壁からくるすれ違いが生まれないよう、両者の立場が分かる人間がフォローしていくことが大切だと思います。