「プロレポ」で会社、チーム、個人の目標をリンクさせる

・会社の方針への納得感を高めたい
・目標に対する意識を高めたい
・当事者意識を持ってほしい

LECTURER

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事管轄 曽山哲人氏

1974年、神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文科卒業。1998年、新卒で伊勢丹に入社。紳士服配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1年後の1999年に当時社員20名だったサイバーエージェントに転職。インターネット広告の営業担当として入社し、のちに営業部門統括に就任。2005年、人事本部設立とともに人事本部長に就任。2008年から取締役を6年勤め、2014年より執行役員制度「CA18」に選任されたのち、2016年より現職。おもな著書に『強みを活かす』(PHPビジネス新書)、『クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす』(光文社新書)、『最強のNo.2』(ティスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

概要

サイバーエージェントでは、会社の方針への納得感を高めるための施策として、プロジェクトレポート、略して「プロレポ」という仕組みを推奨しています。

プロレポでは、会社の方針発表があったタイミングでチーム全員が集まり、「チームの目標は何にするか」を話し合います。頻度は半年に1回で、強制ではなく、あくまで推奨という形にしています。

そして、レポートと名前についている通り、会議で決めた目標をポスターや冊子にして発表してもらうようにしています。他チームと目標を共有することで、連帯感を強め、目標達成意欲も高めるためです。

ポスターや冊子には組織の目標がキャッチコピーのように書いてあり、デザインもそれぞれのチームが独自で作っています。

チームだけでなく、個人の目標も書くというルールを設けていて、会社の方針、チームの目標、個人の目標がリンクされるように工夫しています。

このように、会社の方針は一方的に伝えるだけでなく、プロレポの作成を通じて、「従業員にも一緒に考えてもらう」ことで、納得感を高めることができます。

実際のプロレポの様子

 

始めたきっかけ・背景

この月イチ面談は2005年から始めています。それまでは、上司と部下のコミュニケーションがうまく取れていない事例も多々あり、離職率に課題もありました。そこで、コミュニケーションを取る機会を設けるために、月一回、上司と部下の二人きりで面談を行うことを人事から推奨するようにしました。

実施ポイント

1.ファシリテーションが大事

プロレポの作成はチームメンバーといかに活発な議論を行うかが重要になってきます。

そのため、チームリーダーのファシリテーション能力が成功の鍵です。

サイバーエージェントでは人事部の中に、プロレポ作成のためのファシリテーションを得意とする人がいて、派遣を要請されることもよくあります。

ファシリテーションのポイントは「GAT」です。

GATは、GOAL(ゴール)、AGENDA(アジェンダ)、TIME(タイム)

の頭文字をとっています。

■GOAL(ゴール)

良いゴールの提示とは、「今日何ができればOKなのか」を会議の最初に決めていること。「何について話す」では合格ラインが、はっきりせず、あいまいな形で議論が進みます。

どこまでやればOKなのかを明示することで議論の集中度が高まります。

■AGENDA(アジェンダ)

いわゆる「議題」をきちんと提示することが大事ですが、特に大事なことは「書き出しておくこと」。

ホワイトボードでも紙でもよいのですが、議論は盛り上がるとよく分散するので立ち戻れるものが必要です。

■TIME(タイム)

時間とはまさにそのとおりですが、「今日の時間配分」だけでなく、「特に大事なことは最終期限からの逆算を話す」という点が意識できると効果的になります。

たとえば顧客への提案や上司への提出期限があれば、そこから考える。今日だけという狭い視野ではなくおもいっきり広げて考えることが効果性を高める秘訣です。

この3つを意識するといいでしょう。

2.役員審査のインセンティブで盛り上げる

プロレポは役員審査を通して、賞を与えています。

役員が見て「このプロレポはチームが盛り上がるな」「いい目標の立て方だな」と感じたものを選んでそれぞれインセンティブを渡しているのです。

社長賞は100万円、役員賞は10万円と結構いいインセンティブを用意しています。

会社にとってもプロレポは従業員のパフォーマンスを上げるためにとても重要なものです。積極的に参加してもらうために、インセンティブで盛り上げることも効果的だと思います。

効果、成果

プロレポをしっかり作っているチームは成績もいい傾向にあります。強制ではないのですが、毎年ジワジワと提出数が増えているので、従業員もその効果を実感してきているようです。

会社の方針を自分事として考え、チーム、個人の目標を考えるプロセスによって

「会社の方針への納得感」と「パフォーマンス」を高める効果を発揮しています。